ミスターミニット

小さい頃から気になっていた謎の店、「ミスターミニット」についに行きました。

おそらくカギ屋さんだろうとは思っていましたが、駅や大型スーパーやモールなどの目立たない場所にひっそりとある、暗くて不思議な空間というイメージを持っていました。ファミコンのゲームで、たどり着けるとカギをくれるおじさんがいる小さな部屋のようなイメージでした。
腕時計の電池交換をやっていると知り、今回初めて行ってきました。

駅ビルの中の店に行ったのですが、フロアの地図を見ると改札の向こう側にあり、「あれ?改札内店舗かな?」と思いましたが、よく見ると反対側の改札外でした。
駅の外からちょっとややこしい道を通って駅ビル反対側の入り口から入らないとたどり着けない構造になっていて、イメージ通りのミスターミニットの奥ゆかしさを感じてしまいました。

カウンターに立って店内を見ると、年配の女性店員が黙々と靴の修理をしていました。
工業的な薬剤の香りが漂います。
真面目そうな男性店員に、「いらっしゃいませ」と言われ、腕時計の電池交換の依頼をすると、親切に応対してくれ、10分ぐらいでやってくれました。

ミスターミニットは、靴やカバンの修理、合鍵作製、時計の修理、傘の修理、それに靴磨きやビデオテープからDVDへのダビングなどもやっているそうです。時代を越えて必要とされる、地道な職人技を売るお店なんですね。そのひたむきさがすごく良いなと思い、なんだか心が温かくなりました。

帰り道、駅のいつもと違う出口から適当に歩いていたら、来たことのない居酒屋街に入ってしまいました。レトロで良い感じの店が並び、歓談する人々の声が聞こえました。まるで異世界に迷い込んだようでした。
よく来る駅なのに、まだ知らない場所があったんだな~と、ミスターミニットが、知らなかった世界への入り口だったかのような、不思議な感覚になりました。

記憶スケッチ「ミスターミニット」

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