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サマーリーグ ペイサーズ vs ウィザーズ 2023年7月8日

新生ペイサーズの若手選手たちで構成されたチームでの初陣。

ネムハード
マスリン
シェパード
ウォーカー
シェパード

予想される本チームのロスターも、サマーリーグのロスターも、並べて書くだけで「強すぎだろ」と他チームファンからの声も聞こえてくるレベルの層の厚さ。正直、試合前から全く負ける気がしませんでした。

ディフェンス、ハードワーク、チーム全員が同じ方向を向いていること、こういったことのバックボーンがしっかりと感じられ、観る側としてもどっしり構えていられました。

第1Q、いきなりファンが見たかったペイサーズのプレーが次々と、レイボー光線のように鮮やかに目に飛び込んできました。
怪我をしていない、自由に飛び回るケンドール・ブラウン。明らかにディフェンス技術が上達しヨコのクイックネスが上がっているマスリン。強くなりすぎて相手のパンチがスローモーションに見えているボクサーの如く、雲の上のプレーを見せるネムハード。
そして、ルーキーのジェイレス・ウォーカーがゴツい、長い、速い。シュートは入らなかったけど、ディフェンスでは明らかに、他と数段違う動きを見せていました。

健康ケンドールは軽やかに走り回り、その運動神経を活かしてディフェンスでも非常に良い動きを見せていました。1Qだけで3ブロック。カレッジ時代はディフェンスの評価も高かったですが、ここまでできるとは驚きでした。
僕の中でずっと謎の選手だったケンドールの100%のプレーを観ることがこの試合の目的の一つだったので、良い意味で、見たことないケンドールが見られて大満足でした。チームカラーに合った、かなり良いバックアップフォワードになれると思うので、是非重用してほしいです。

1Qは危なげない試合運びで、23-19でリードして終了。

第2Qは、ジェイレス・ウォーカーのディフェンス力が爆発します。
オンボールディフェンス時のプレッシャー、ヘルプディフェンスのうまさ、体の強さとディフェンシブリバウンドのポジショニング。
8:57に相手のディフェンスリバウンド直後の隙を突いてスラップしてマイボールにしたり、5:10相手の速攻ドリブルを美しいスティールからワンマン速攻で決めたり、誰も持っていないようなディフェンスの技術やセンスをたくさん持っていて、もはや職人の域だろこれ、と感嘆してしまいました。
この選手はペイサーズを変える、と確信しました。

4:20、ジェイレスがフローターシュート時にファウルを受け、2本フリースロー獲得。1本目を決め、ペイサーズタイムアウト後、2本目を外しますが、なぜか選手も審判も全員が1投目と勘違いしておりそのままリバウンドしてダンクで2点獲得。
誰もが1投目と信じていた(テクニカルファウルをアピールする相手選手もいた)ところを見ると、おそらく審判がそれが1投目かのような合図を出したのではないかと思いますが、これをチャンスと見てわざと外して決めたのであれば、相当厄介な奴です。

オフェンスは微妙な時間帯が続き、ウォーカーも引き続きミドル~ロングのショットは全然決まらず。前評判通り、サイズの割にあまりインサイドを攻めに行かない印象です。

そんな中、ケンドールからジャクソンへのアリウープ。こういうのが普通に出来て、流れを変えたり撹乱させたりする役割がケンドールに期待できるのは良いなと思いました。

残り53秒には、ゴール下でボールを受けたジェイレスが相手の裏を突くビハインドザバックパスでジャクソンのダンクをアシスト。

オフェンスが停滞していても、ディフェンスが強固であれば焦らず落ちついていられるのだなということを身に染みて感じるクォーターでした。
余程のスーパースターでもいない限り(ほしいけど)、オフェンスは水物。プレイオフを勝ち抜いていくには、チームの拠り所となるディフェンス力が必要なんだとあらためて思います。

そしてこのクォーターは、オスカー・シブエのオフェンスリバウンドが光っていました。

51-29でリードして折り返し。

第3Q、オフェンスが一気に停滞してしまいますが、引き続きディフェンスが堅いので安心感はあります。

2:38、ジェイレスがついにスリーを決めます。

そして最終盤、この試合最大の見せ場が訪れます。ウィザーズのクエントン・ジャクソンのドリブルからの渾身のダンクをジェイレスがパーフェクトブロック。トランジションでシェパードとケンドールが走り、ケンドールがレイアップを決めアンドワン。
生まれ変わったペイサーズを象徴するようなシーンでした。

64-61と3点差まで詰められて3Q終了。

第4Q、オフェンスの停滞が続きますが、ジェイレスの動物的な執念と嗅覚を使ったディフェンスが、オーラのようにチーム全体を包み、鼓舞しているように感じられます。ついに逆転されますが、このまま負ける気は全然しませんでした。

6:57、ジャクソンが泥臭いプットバック。マスリンがスリーを決め、試合を通してスコアリングの仕事を黙々とこなします。

2:59、ゴール下で行き詰ったマスリンがダンカースポット付近のジャクソンにパス。ジャクソンがフリースローライン付近のジェイレスにパスすると、ジェイレスはそれをワンタッチでゴール右下のマスリンにリフレクションパスしてアシストするという必殺技を披露します。
さらに1:16には相手ディフェンスの間を通すバウンドパスでジャクソンのダンクをお膳立て。

高校時代はガードでプレーし、1番から5番までどこでも守れる自信があるという本人コメント通り、パワーとスピード、ディフェンススキルに加えてパスビジョンや創造性まで持ち合わせることを証明してみせるジェイレス。

最後はジャクソン、ジェイレスを中心としたゴール下の堅い守備からの速攻で突き放し、91-83で快勝となりました。

全体感としては、ネムハード、マスリン、ジャクソンはほぼ無双状態。ジェイレスは周りの味方の戦意に影響を与えるレベルのSクラスのディフェンスクオリティーを見せてくれ、彼を中心に試合を通して相手へのプレッシャーがかかっていない時間帯はほぼ皆無という感じでした。
明らかに、ディフェンスで勝利した試合と言えます。

サマーリーグなので、相手選手の強度もそれほど高くなくどこまでレギュラーシーズンでのリピート性があるかは未知数ではありますが、少なくとも、ジェイレスのディフェンススキルとIQの高さ、視野の広さはすぐに貢献できる水準にあると感じます。

試合後インタビューでジェイレスは、コミュニケーションをベースとしたパス回しが思ったよりうまく行き、すでに恋人のように意思疎通ができていることに驚いた(まだ最初だし、もっとずさんになると思っていた)と話しました。
マスリンは、最強のNBAプレーヤーになるためにステップアップが必要なのはディフェンスだとはっきり述べ、コービー・ブライアントのような最強の2-wayプレーヤーになるべくトレーニングをしていると話しました。
選手たちが、チームの目標に向け正しい方向を向いているのがこれほど感じられるシーズンはここ数年記憶にありません。

このパス回りの良さ、ディフェンス意識、スピードに、ハリバートンやトッピン他主力メンバーが加わると思うと、ワクワクが止まりません。

IND 91 - 83 WAS
マスリン 27P 5REB 1BLK
ネムハード 14P 3REB 8AST 1STL 1BLK
ウォーカー 8P 13REB 5AST 3STL 3BLK
ジャクソン 21P 14REB 1STL 1BLK
ブラウン 20min 9P 4REB 5BLK
(WAS)
クリバリ 9P 4REB 1BLK
デイビス 17P 5REB 3AST 2STL
ボールドウィン 13P 4REB 1STL 3BLK

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