理想の勝ち方
いわゆる黄金時代(ジョージ・ヒル、ランス・スティーブンソン、ポール・ジョージ、デイビッド・ウェスト、ロイ・ヒバート)のときの勝ちパターンであった、堅い守備で相手のオフェンスをペースダウンさせ、最終的に失点を90点台以下で抑えロースコアゲームを制する勝ち方が大好きでした。カンファレンスファイナルに進出した2012-2013と2013-2014の2シーズンの守備は本当に堅く、1試合の平均失点は100点前後でNBAでも1位~2位を争うレベルだったと記憶しています。(やや盛ってるかも)
その頃、正直オフェンスのバリエーションはそんなになく、ポール・ジョージの個人技とウェストのミドルを中心としたハーフコートオフェンスで地道に得点していた気がします。それでも、圧倒的なディフェンス力があったから安心して見ていられたし、ディフェンスが心の拠り所であったし、何よりもそれがチームのアイデンティティでありキャラクターだったので、多少オフェンスが渋くても「これで勝てなければ仕方ない」と胸を張れたものです。
ところがその後ペイサーズはポール・ジョージの移籍あたりを境に自分たちを見失っていきました。なかなか微妙な戦力でハイペースオフェンスに傾倒しディフェンスが二の次になってしまいました。ディフェンスのアイデンティティを継承しながらもオフェンスでの多様性、柔軟性が足りなかったネイト・マクミランHCを解雇し、ネイト・ビョークレンを新HCに迎えた頃が迷走のピークだったと思います。ペイサーズディフェンスの魂であったダン・バークACをも解雇し、何をしたいのかわからない変なチームになってしまいました。
月日は流れ、幾多の敗北を喫し、やっと今、ペイサーズは自分たちの正体を見つめなおすことができているのではないかと思います。リック・カーライルHCやケビン・プリチャード球団社長、チャド・ブキャナンGMの口からもディフェンス改革の重要性や優先度がしばしば語られるようになり、個人個人が強烈なディフェンス意識を持つことが勝利の鍵と語るマイルズ・ターナーはチームのリーダー格に成長しました。
ペイサーズは、良い意味で身の程を知るというか、勝つために何を求め何を犠牲にするかのメリハリが付けられるようになってきたのではないかと思います。
僕の地元の秋田商業という高校が、2004年に当時あった「希望枠」という推薦枠でセンバツ甲子園に出場を果たしましたが、推薦理由はその圧倒的な守備力が評価されたからでした。僕は、ペイサーズはこういう存在になれば良いと思っています。オフェンスに関しては、チームで役割を決めて愚直に得意なことを繰り返していけば良いです。幸運にも、ハリバートンというリーグトップクラスの司令塔が居るので、あとは絶対的な得点パターンがあれば、絶対またカンファレンスファイナルに行けると思います。こうして成長軌道に乗れれば、僕は大満足です。
良い流れが来ている今のチームに、素晴らしいディフェンシブマインドを持ったフォワード、ジェイレス・ウォーカーが入団してくれました。ドラフト候補者の中には他にもたくさん素晴らしいタレントを持った選手はいたけど、ディフェンシブマインドという点においてはウォーカーが随一であったと思います。非常に貴重なタイプの選手であり、ペイサーズのキャラクターをより鋭いものにし、勝利のための正しい方向に導いてくれると信じています。
こんなにサマーリーグが待ちきれないのは久しぶりです。