ヴェラキッカ考察感想1-初見感想、花言葉、時系列整理-
作演出:末満健一
音楽:和田俊輔
TRUMPシリーズ最新作のミュージカル『ヴェラキッカ』東京公演を4回見た感想考察まとめです。
他のTRUMPシリーズの例に漏れず、最後まで考察要素たっぷりな作品だったため、何回かに分けてまとめていこうと思います。
今回は準備段階です。
あらすじやシリーズについて、本作品の出来事整理などをできる限りまとめました。
特に出来事整理は今後修正が入ると思いますが悪しからず。
※ゆうて4回しか見ていないので、台詞や展開など間違っているところがほぼ確であります(円盤が出てから確認予定です)
※同シリーズ他作品含め、ネタバレの連続なのでご注意ください
※考察するとはいったものの記載時点の内容になります。今後、加筆修正が入る点、ご留意ください
TRUMPシリーズとは
<吸血種><不死><人間種>といった、闇のオタクの皆々様なら心惹かれるだろう言葉が並ぶ本シリーズ。
安心してください、さらに<サナトリウム>や<繭期>、<花言葉>といった要素も加わります。心躍りますでしょう?
このシリーズの魅力は、引き込まれる世界観とあれよあれよという間に変わっていく展開。作品単体だけでなく、シリーズ全体で絡み合う複雑さ。シリーズ全体の年表は、今やパンフレットの3ページにわたってびっしり書かれるボリュームです。
こういう関係が複雑で考える要素が多かったり、あっと驚く展開があったり、アハ体験ができたり、ゴシックでダークなファンタジー作品、闇のオタクは好きでしょう??(偏見)私は大好きです!!!(クソデカボイス)
発表順に見ていった方がより楽しめるかと思いますが、いかんせん演劇だけで9作品(被り除く)あるので全部見るのはなかなか大変だと思います。
安心してください、ほぼほぼある程度の説明が入るので、キャストなりあらすじなりで気になった作品から見ても大体大丈夫です。
1日で消費できそうな本数、4本に絞って見てもらうなら、個人的に以下がおススメになります。
順番指定なのでそこも含めてよろしくお願いします。
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1:TRUMP
2:リリウム
3:マリーゴールド
4:黑世界-雨下の章-
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前置きはこの辺りにして、早速本作について語っていきましょう。
あらすじ
初見感想
(これは……宝塚……!?)
となる程度には宝塚的なエンターテイメント感が強くあり、何を観に来たのか若干混乱しました。
<S06:見たぞ>で、あっそうだこれはTRUMPシリーズだ!となり、最後まで見た結果、若干の物足りなさを感じてしまったことは否めませんでした。
(いい話だった……いい話だったけれど……私の知ってるTRUMPシリーズ……だった、のか……?)
周囲から聞こえる「よかったね」「泣けた」という感想。わかるけれども素直に同調できない違和感。今までのTRUMPシリーズと絶対的に違うこの空気。
1回目は私よりも古参の繭期発症者と観に行っていたので、そっと顔を見合わせ、素晴らしかった演者さんの話をしながら規制退場を待ち、速やかに居酒屋に移動しました。
コロナ対策をバッチリしている店内で方やビール、方やレモンサワー片手にあーだこーだ話をした結果
ヴェラキッカはTRUMPシリーズ入門編、いわばメジャーデビュー1発目的なシリーズ初見さんいらっしゃい枠なのではないか
という結論に至りました。
初回観劇後、Twitterに投稿した感想でも似たようなことをまとめてましたので貼っておきます。
(2022.1.24訂正:下記投稿は2回目観劇後のものでしたので、訂正いたします。失礼いたしました。)
細かく言えば、下記点から推測した感じです。
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・どのシリーズにも繋がっていなさそう
→過去作に登場した名前や、不死者が出てこなかった
→マギーがいるけれど、デリコであることが本筋に関係なさそう
(パンフ見てあぎゃってなりましたが、ひとまずこの認識は変えていません)
・ノラ的にも演出的にも宝塚感が出ていてよりエンターテイメント色が強め
→末満さんが宝塚的な作品をつくりたかった?
→今作の集客層を見込んだ?
→両方なんじゃないか
・終わり方がいい意味でライト
→一見めでたしめでたし、という雰囲気
→とっつきやすさがある
・ライトな一方で、考察すればしっかりTRUMPシリーズ
→メリバにウキウキ、シオンウォッチング
・リリウムの対をなす要素
→人間関係や構図、流れがリリウムとの類似点/相違点が多数ある
→次回作がリリウム再演なので、ある意味前振り?意識していそう
(和田さんの配信で明言きましたね!!)
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翌日に2回目を見ましたが、上記の内容がより納得感を得ました。特に考察すればしっかりTRUMPシリーズのあたりと、リリウムとの対比。
ぜひ皆様、2回はみてください。色々と見えてくるものがあります。
こと、ノラ役美弥るりかさんとシオン役松下優也さんの演技や視線の意味がわかって、あぁ〜!となると同時にその細やかさに脱帽するかと思います。
花言葉
TRUMPシリーズでの登場人物が花の名前を冠している場合、その花言葉が人物を表していることが多々あります。
特にリリウムは全員がそうなので、ヴェラキッカがリリウムと対になってるぞ!?となるとね、調べないわけにはいかないですよね。
ということで、ヴェラキッカの人物にも花言葉が関係しているのでは??と思い調べてみました。
ですが、ストレートに花の名前を冠しているのがシオンだけのようで、こじつけ感がすごい事になりました。
それがこちら。
こじつけ感がすごい!!!ややどころではない!!!
ノラとシオンだけ……いや、素直にシオンだけ花言葉が関係しているような気がします。
ノラ・シオン・カイ・ロビンには花言葉あると思ったんですけどね……。なお、クレイを調べていたら、ハイビスカス・クレイとかクレイジートゥー(バラの一種)が出てきましたが、マギーが出てこなかったのでなんか違うと思って外しました。
有識者の方々の見解を待つことにします。。
ともかく、シオンの花言葉ですよ。
追憶、きみを忘れない。
やめてくださいそれはリリウム好きにはシルベチカを思い出して刺さります……!
それでなくとも、シオンのノラに対する感情の大きさを表しているのかなと思ったり、忘れないため?にやっていることの規模の大きさよと思ったり……。
あ゛あ゛ぁ!!!ってなります。
末満さんさすがですまたやってくださりやがりましたねこにゃろ(行き場のない感情)
時系列整理
演出に沿った流れではなく、作品の中での本編開始前から終了時点まで、ざっくりとした出来事を時系列でまとめました。
演出そのままのシーンについてはひとまず割愛しています。
メモも一緒に書いたのでごちゃついてます。
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・ノラ:誕生
→先代と前妻との子供
→誕生後、前妻が亡くなり、後妻が来る(妾や第二夫人ではなく、後妻という表現だったのでこの順番でしょう)
・カイ:誕生
→先代と後妻との子供、ノラの異母兄弟
・ノラ:先代死後に隔離、ロビンが世話役に
→当主の命令でーなので恐らくこの時点で先代は死亡しており、後妻が当主になっているはず
・シオンとジョー:両親を亡くしヴェラキッカ家へ引き取られる
→ジョーとカイの雰囲気から、ほぼ同世代?ジョーの方が年上?
→→この辺りの時系列がよくわからない
・シオン:ノラの世話役につき鉄の扉越しに交流を深める
→おそらくロビンも継続なので、2名体制で世話をしていたと思われる
・ジョー:カイを好きになる
感想:ここはもっと詳しく語ってくださってもいいんですよ末満さん
・カイ、ジョー:シオンがたまにいなくなる(ノラの世話に行っている)ことに気がつく
→この時点で深追いはしていない
・ノラ:死亡
→シオンがいない間に衰弱死、ロビンが埋めた?
→当主の命令でひっそり埋められたなら、この時まだ後妻は存命?
→→ロビンは屋敷にいたのでは?ロビンのノラへの関わり方が不明
・カイ:ヴェラキッカ家当主の座を継ぐ
・カイ:ノラのことを知る
→存在を感じていたものの、具体的な自分との関わりを知ったのはここが初
妄想:カイにとっては優しい母親でも、周囲から恐れられるているのは気がついていた? 支配的な愛情を注がれていて盲目的になっていたけれど、何かあることは薄々勘づいてでも見ないふりをしていた。 それがこの形でわかり、間接的に自分のせいであり、自分が信じていたみていたものが一気に変わったこともショックが強くなった要因?
・シオン:カイのイニシアチブをとる
→「カイ・ヴェラキッカ、ノラは生きている、生きてお前の目の前にいる」
→→愛せよとは命じていない
・カイ:ノラに夢中
→ノラを当主にと言い出し、周囲から狂人扱いされる
・シオン:屋敷の人間全員のイニシアチブをとる
→ノラの存在を認め、愛するように命令?
→この時点でマギーとクレイもいる?
→ノラがやれと言った
→→この時のノラは狂気的、シオンの罪悪感の現れ?屋敷の人間を憎んでいないはずがない?
→「ジョー、お前もノラを愛してやってくれないか」
→「これで、共同幻想の完成だ」
考察:おそらくこの時点で、生前のノラのことを知っているのはシオンとロビンのみになっていて、屋敷の他の人間にとって“ノラ“は全く知らない人物になっていた。 つまり、カイが狂人扱いされていたからではなく、過去にせよこの世界に生きていたノラがカイの妄想でしかない=最初からこの世界にいないものとして扱われることが耐え難かったから、シオンは屋敷の人間全員を噛んだんじゃないだろうか。 TRUMPシリーズにおいて、他人のイニシアチブをとることは当たり前にやってはいけない常識として扱われている(の割に他人のイニシアチブをとっているキャラクターが1作品に少なくとも1人はいるけれど)ことから、よっぽどの理由がない限り噛まないように思う。
感想:カイの時しかり、この時しかり、シオンの追い込まれっぷりがめちゃんこ表現されていてとても良いです。 噛めば噛むほど増しているしんどそう感、松下さんの演技が光っていました。
・ロビン:シオンに自分も噛むように請う
→「償いたいんだ」
感想:ここのロビン卑怯〜〜〜!!! 罪悪感から逃げまくってるじゃないですかやだ〜〜〜!!! 演出が途中で変わってよりロビンの卑怯感が強くなったように思いました。 そして、ここのシオンの唖然としたような絶望しきったような表情がしんどさの極みでとても良いです。
感想:演出的にここの一連のシーンがすごくとてもTRUMPシリーズで、繭期発症者はダイレクトにニッコニコだと思います。 初見だとここが1番盛り上がったシーンで、この後の展開にんおや? TRUMPシリーズ息してる……? となりましたが、安心してくださいこれはTRUMPシリーズです(ニッコリ)。
・シオン:養子を増やす
→都度イニシアチブをとる
→→ノラが望んだ、ノラを愛する人は多い方がいい
→ある意味共犯だったロビンも共同幻想にいったことで吹っ切れた?
・シオン:クランフェストでキャンディを見つける
→ヴェラキッカ家のため、優秀な人材が必要なのは本当っぽい
・キャンディ:両親を亡くす
→火事でクランにいたキャンディ以外の家族が全員死亡、キャンディはひとりぼっちに
→→ここの前後関係は不明、シオンが屋敷全員のイニシアチブをとってからどれぐらいの時間が経っているのかもわからない
・シオン:キャンディのイニシアチブをとる
→「お前も家族だ。どうか、ノラを愛してやってくれ」
・キャンディ:ヴェラキッカ家の養子になる【本作冒頭】
・ノラ:キャンディを愛そうと思う
→マウント合戦のバランスが崩れ始める
・シオン:イニシアチブの制御が甘くなる
→マウント合戦の過激化や、クレイ/マギー/ウィンターの暴走はここが理由?
・カイ:ノラとの子供の頃の思い出がないことに気がつき、ノラに対して疑問が浮かぶ
・ジョー:ノラへの愛がカイへの愛を上書きしているようなものと気がつき、ノラがイニシアチブをとっているのではないかと疑い始める
(諸々、演出の通りなので割愛)
・ノラの秘密が明かされる
・全員:シオンにイニシアチブを解放するように迫る
→ノラと会えなくなることは嫌だけれど、ノラが望んだから、イニシアチブからの解放を了承している
→繭期拗らせてたクレイもマギーも繭期ではないけど拗らせてたウィンターも比較的、大人しくなっているのはなぜ?
→ノラ滅多刺しからの復活で拗らせているどころじゃなくなった?
考察:どうみても独りよがりにノラに執着してそうな約3名がわりかしあっさり解放を受け入れているのは不自然。でも、シオンのイニシアチブによる命令の根幹がノラの望みを叶えることだとしたら納得ができるように思う。 それならこの時点でノラの望みは“愛されたい“ではなくて“幻想世界を終わらせたい“そしてシオンに声が届かなかったことが心残り=“シオンと話がしたい“になり、全員がイニシアチブからの解放を受け入れることと、すぐ後のカイの行動にも納得がいく(あれ、でもこの後のカイはイニシアチブから解放されているからノラの望みは反映しない……? いやでもイニシアチブ解放後も愛が残るなら、ノラの望みを叶えたい気持ちが残っていてもいいか)。
・カイ:シオンのイニシアチブをとる
→「会いにいくか、ノラに」
→「シオン・ヴェラキッカ、ノラがお前に会いたがっている。愛するかどうかは、お前が決めろ」
・シオン:ノラと再会
→カイ(シオン以外の全員)とシオンの立場が逆転し、共同ではない幻想の中にシオンだけが囚われた状態になる
・キャンディ:ヴェラキッカ家を去る
→理由は謎
・数十年経過:気がふれた老人が一人で生きている
→狂った老人=シオン
→シオンだけが街に残った?
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いや整理できてない!!!時系列の出来事整理はある程度できている気はしますが、疑問も考察も感想も垂れ流し!!!!
追々たくさん修正することになりそうです。
さて、ここまでそこそこ長くなってきたので、メモしたこと以外で今後考えていきたい疑問を書いて、今回は終わろうと思います。
それでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。また次回。
・ノラ=幻想が生んだ人物に自我はあるのか
・ロビンの行動と想いはなんなのか
・カイがノラを忘れ、愛するようになったのはいつでなぜなのか
・ノラへの愛が既にある愛への上書きなら、キャンディとジョー以外の既存の想いはなんなのか
・キャンディがヴェラキッカ家を去ったのはなぜか