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ヴェラキッカ考察感想2-ぱっと見狂人三人衆-

作演出:末満健一さんのTRUMPシリーズ最新作。
ミュージカル『ヴェラキッカ』の考察感想まとめ、2回目になります。

1回目はこちら。

1回目では、初見感想・花言葉・時系列に沿った出来事をまとめました。
2回目では、登場人物に焦点をおいて、考察と感想をまとめていきたいと思います。

それではさっそく始めていきましょう、の前にワンクッション。


※ゆうて4回しか見ていないので、台詞や展開など間違っているところがほぼ確であります(円盤が出てから確認予定です)
※同シリーズ他作品含め、ネタバレの連続なのでご注意ください
※考察するとはいったものの記載時点の内容になります。今後、加筆修正が入る点、ご留意ください


ウィンター・ヴェラキッカ

演:西野誠

初っ端がウィンターかーい、と思われたかもしれませんが、ナチュラルボーン狂人、本作の繭期よりヤバい大人枠のウィンターからいきます。
とりあえずヴェラキッカ単体で考えた時に、一番わかりやすいキャラクターがこのウィンターだと思います。

・ウィンター:人物像について

ヴェラキッカ家に仕えている執事で、買い出しもする大人のヴァンプ。
(なんで執事が食料買い物してるんだと思いましたが、展開的に最低限の人数で屋敷を回しているなら、本当に何でも……もしかして食事の支度も含めて、ウィンターの仕事なのでは? 悪魔で執事の人かな??)

作中で言われているように、繭期のヴァンプよりもヤバい大人で、新人イビリが定番として認知されている程のノラ強火同担拒否派。
彼のメイン楽曲<S 09:身の程を知れ!>で(作品的には)コミカルに新人イビリをしています。

そして、本作品のキーキャラクターのひとりでもあります。
彼がノラを独り占めしたいあまりに滅多刺しにするところから、物語が大きく動きました。

正直このシーンは、クレイとマギーの演技が鈍色に光り輝いていたので、まさかウィンターがぶっ込んでくるとは思いませんでした。

いや、あの、お前かーーーーーいっ!!!となったのはきっと私だけではないでしょう。
でもよく考えなくても、ヤバいやつというところが強調されていたし、独占欲で1曲歌い上げていたし、彼ならやると思った系の人でしたね。

シオンがイニシアチブで下した命令は、直接的に人格に影響する内容ではないと思うので、彼は元々ヤバい人だった可能性が高いと思います。
ただ、作中で唯一ウィンターだけ、執事として仕えていること以外の過去や、ノラへの偏執的な執着心に起因する以外の心情が語られていないんですよね。。。
登場シーンも他キャラクターと比較して少なかったような気がします。

みんなノラに「あなたは一体なんなんだ!?」と疑問を浮かべていましたが、こちらから言わせればウィンターこそ一体なんなんだ!? です。

ジョーやキャンディと同じように感情が上書きされていたのなら、あの執着心が向けられていた誰かがいたわけで……いやあのめっちゃ気になるんですけれど、末満さん!? 今後に語ってくださるんですか!!??

そんな謎が多い中で、これだけの爪痕を残してくるんですから、TRUMPシリーズの繭期よりヤバい大人枠はすごいですね。

過去や彼自身がほとんどわからなかったウィンターですが、ウィンターというキャラクターが本作中の役割を果たすためには、ノラへの偏執的なまでの執着心が最も重要で、
極端な話、執事であることや、ウィンターという名前や年齢すらも、役割上で言えば絶対的に必要な要素ではなかったのではないでしょうか。

チュラルボーン狂人であることだけが、彼に絶対的に必要な要素だったのだと思います。

・ウィンター:演者さんについて

そんな本作きってのナチュラルボーン狂人ウィンターを演じたのは、TRUMPシリーズでの演者としては2度目ましてな西野誠さん。
『マリーゴールド』ではクロッカス役で出演され、同作内まさかの人気ナンバーワン楽曲<S 06:ケリトン出版社>をメインで担当されていました。
今回のウィンターでも、流石の歌唱技術の高さや演技力を遺憾無く発揮されていらっしゃったと思います。
(ど素人の見解です)

また他の曲を押さえて人気ナンバーワンになる可能性があるのでは?? と思うほど、メイン楽曲の<S 09:身の程を知れ!>はインパクトがありました。
高い技術に裏打ちされているからこそ、安心してコミカルさを楽しめるんだと思います。

彼のあの独特な初っ端から滲み出るヤバさは、西野さんだからこそ出たものなのかなぁと思いました。好きです。


クレイ・ヴェラキッカ

演:大久保祥太郎

本作のネームド繭期枠1人目のクレイ。
彼の繭期は、愛が殺意に変わる(うろ覚え)。
いやそんな繭期あるんかい! と思いましたが、予知夢みちゃう子だっているんだから、愛が殺意に変わるぐらいあり得ますよね。

・クレイ:人物像について

ヴェラキッカ家の養子の一人で、貴族社会の中では位が低く生き難かったクレイ。
そんな中で養子に引き取ってくれたノラに感謝と敬愛を捧げている彼ですが、貴族社会の中で勝ち組にあたる特級貴族出身のマギーに強い劣等感を抱いていました。

同じ養子の一人になった時点で、貴族階級的には同列になったはずですが、拭いきれない強い劣等感があるあたり、養子になる前に何かしらあったんだと思います。
TRUMPシリーズって貴族の階級格差が度々描かれていますし。
繭期の子供があんな劣等感を抱いてしまう貴族社会……闇が深いですね……ファンタジーなので、とてもよい要素だと思います。 ファンタジーなので!
このあたりって今後語られるのでしょうか?

繭期の子供である彼が、ノラを独り占めするためにとった繭期のお薬を飲まないという選択はひどく幼稚で子供らしい、ある意味自然なものだったと思います。
そして、その愛が殺意に変わってしまうのは、さすが繭期さすが……なんですかね。
殺せば誰のものにもならないという思考回路は、実行するかはともかくとして、わりとこう、思い至ってもおかしくはない考えだと思いました。
健全ではないですけど。

幼稚で身勝手で独りよがりな思考回路は、繭期だということを除いても、あの特殊空間で思春期を過ごしていたら行き着いてしまう結論なのでは?と思いました。

そう思うと、ロビンの監督体制どうなってるんじゃ、というところに行き着くんですけれど。。。
まぁ、そこらへんはロビンの考察回で語ることにしましょう。

「美の宝石箱やぁ〜〜!」や「だいちゅき〜!」「見てません→見てません→ガッツリ見ましたすみません」といったギャグパートで観客の笑いを誘ったかと思えば、崩壊の皮切りになる繭期暴走をマギーと共に引き起こしたクレイ。

物語の先導役だったのではないかと思います。

・クレイ:演者さんについて

クレイを演じるのは、繭期のヴァンプを演じるのは一体何回目なんだ、TRUMPシリーズ常連の大久保祥太郎さん。
流石の安心安定感! 
私この考察感想まとめで一体あと何回、流石や安心安定って言うんでしょうね。

大久保さんの繭期演技はもう流石の一言です。
メイン楽曲、<S 017:愛は殺意>では繭期の狂人さを文字通り全身で表していらっしゃいました。
あんだけ動き回って転げ回って歌えるの本当にすごい。
超汗かいてらっしゃったのも納得な運動量。

ギャグパートからの繭期パートの表情の差、演技の差がえぐいえぐい。
この落差こそがTRUMPシリーズの醍醐味のひとつなんだよなぁ〜〜〜!! ありがとう流石大久保さんありがとう!! と感服いたしました。

ところでクレイの「頭からぱっかーんと割れていずれ2つになります」のクリオネネタがわけわかんなくて好きなんですが、これ末満さん考案なんでしょうか。
私、気になります。


マギー・ヴェラキッカ

演:斎藤瑠希

本作のネームド繭期枠2人目のマギー。
元はデリコ家の人間で、デリコ家とヴェラキッカ家を繋ぐため、養子に入りました。
クレイとマギー以外の養子のバックボーンは明かされていませんが、クレイの発言を鑑みるに、マギー一人だけがクレイを含む他の養子とは事情が違うんだと思います。

・マギー:人物像について

先述の通り、おそらく養子の中ではひとりだけ異質なバックボーンを持ち、本作中で唯一、同シリーズ他作品に出てくる家系と明確に関係があるマギーですが、デリコ家であることは本筋に影響していないように思いました。
逆にここが今後どう関係してくるかめちゃくちゃ気になります。

本編後、キャンディ以上にヴェラキッカ家を去っていてもおかしくないんですよね。。。いやむしろ去ってないとおかしいぐらいな気が。。。

もし彼女がデリコ家に戻ってたとしたら、過去作登場人物の祖先かもしれないんですよね。
末満さんならそんな仕掛け入れてそうでワクワクしていますが、現時点では闇の中、末満さんのみぞ知る。

マギーの繭期の症状は、全てが楽しくなること。
クレイのそれと比較しても平和です。
ようはゲラになるってことでしょう?(暴論)
一見なんてことない症状だからこそ、クレイの繭期と合わさることで、その狂気っぷりを遺憾なく表現していたように思いました。
ただ楽しくなるだけ、愛する人を殺すことすらも、楽しくなるだけ。
倫理観ぶっ壊れてていいですねぇ〜〜〜! 思わずにっこり!

って思うとですよ、繭期の症状が、お薬も飲まず暴走した繭期が、ノラが滅多刺しされたぐらいで落ち着くんでしょうか……滅多刺しショック療法効きすぎなのでは???

クレイの繭期は愛情が殺意に変わるなので、対象が滅多刺しにされたから行き場がなくなって呆然とする→結果的に落ち着くのはわかります。
けれど、マギーの繭期なら滅多刺しにされたことも、呆然となっているクレイも、楽しくて愉しくて仕方がなくなってもおかしくないのでは???
(というかあのシーンでマギーがひとりゲラってたら温度差ありすぎるし、展開的にちょっと大人しくしててねってなるのはまぁわかるんですよね。わかるんですけど、納得とは別物)

この疑問がきっかけで、後述する彼女の本質を考えることになりました。

マギーは彼女だけで主導的に動いていることはなく、クレイが先導役なら、マギーは煽り役というか、引っ掻き回す役なのかなと思いました。
クレイの独白シーンを聴きながらうっていたマギーの相槌は、ただの相槌ではなくて、煽りの様な面白がって聞いているように感じました。
愉快犯的な動きだなと。

デリコ家であることもヴェラキッカ家であることも、なんなら特級貴族であることすらも、マギーにとっては大した意味をなさないのではないでしょうか。
劣等感をもたれることも、どうでも良さそうでしたし。

「あんたに言われる筋はなくってよ」と言ってましたけれども、それは確かにそうなんですよね。
あと、ここで急に貴族的口調になるの個人的に超超超ツボです。

マギーは愉快犯的な面を持ち合わせつつも、内心はとても理性的なキャラクターなんじゃないでしょうか。

繭期を除けば……いや、繭期があっても、本質として理性的で、本作中トップクラスで狂気度が低い、つまり、理性的に狂気を選んでいたタイプのキャラクターだと考えています。

だからこそ、ノラ滅多刺し後、急激に落ちつくことができたのではないでしょうか。
自分でコントロールできない事態が発生している場で、理性的な彼女が繭期のままに狂気状態でいる選択は取れなかったんじゃないかなと。

いや、普通に繭期ってことは子供なので、ショック療法が効いて混乱してるだけって説も全然あると思いますけれど。
でも、ON/OFFが選択できる人が狂気的な行動を選ぶって、ゾワッとしません???

理性的に面白いと思った選択肢を選べる、選ぶことができてしまう。
そんな彼女が狂気的な選択をしていたことが、彼女のキャラクターとしての深みをうみ、かつTRUMPシリーズの住人であることをありありと示しているように思いました。

・マギー:演者さんについて

髪型が特徴的なマギーを演じたのは、これがシリーズ初参加、本作の直前がまさかのディズニーな新人女優の斎藤瑠希さん。

いや振り幅、ディズニーからの繭期って
となりましたが、いい意味で新人っぽさが一切なく、錚々たる演者さん方の中でも見劣りなんてしない、堂々たる演技と確かな歌唱に度肝を抜かれました。
すごい新人が来たぞ!!!

<S 05:ノブレス・オブリージュ>の「おかげで〜」からの「何不自由なく〜」の変化にまずやられて、その後の<S 13:愛は毒だ-Liebe ist Gift->のソロパート「どうせなるようにしかならないんだから」でいい意味でゾッッッッワとなりました。
この新人さんすごいぞ(確信)

繭期を演じるって、絶対的に日常生活であり得ない言動や、あり得ない思考回路を演じるので、正直とてもすごく楽しんじゃないかなと。
斎藤さんもあの非日常を楽しんで全力で繭期にぶつかって下さっていたように思いました。

キャンディの腕を掴んで一切離さず不動にニコニコしていたマギーのシーンがとても好きです。


クレイとマギーについて

本作におけるセットポジションの2人。
共に繭期のネームドキャラクターで、本作がまごうことなきTRUMPシリーズであることを象徴しているキャラクターでもあると思います。

だって繭期だし。

繭期であること、(これはノラ以外の全キャラクター共通ですが)ノラを愛していること、この2点以外は対照的なキャラクターとして設定されているように思いました。
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・羨望する者と羨望される者
・内へ籠る繭期と外へ出す繭期
・主導的な行動と便乗的な行動
・本能的と理性的
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繭期の暴走って、きっかけはキャンディであったり、そもそも薬を飲むのをやめたクレイであったにせよ、悪化させたり行動に移させたりしたのはマギーの存在でした。
2人でいたからこそ起きた暴走だったように思います。

クレイにとって、マギーは羨望の対象であり負けたくないライバルであり、でも共にノラを殺しに行くことを許容するぐらいには愛着があって、
対してマギーは、羨望の対象になっていることを自覚しつつもそれ自体は気にしているそぶりがなく、面白いから一緒にいるだけだとしたら。

クレイからマギーへ、一方的なクソデカ感情が向いている気がしてなりません。

そんな2人が常に一緒にいてセットで動いていること自体が個人的にものすっごぉ〜〜〜くワクワクするんですが、2人の関係や過去、未来が深掘りされることはあるのでしょうか。
どうなんですか末満さん?
これ逆転してくれてもいいんですよ!
隠していただけで実はよりクソデカな感情持ってたのはマギーの方っていう展開でもいいんですよ!! 末満さん!!!


クレイとウィンターとそれからマギー

ぱっと見狂人三人衆な彼らですが、共通しているのは、狂気のままに行動することを選択したことだと思います。
繭期によるものにせよ、繭期関係ないナチュラルボーンにせよ、面白そうだからにせよ、3人とも狂気を選んで行動しました。
(シオンは?ってなりますが、彼の選択は狂気以外の色も濃いので除外します)

繭期の子供に混じれるウィンターまじウィンターって感じですが、そこがウィンターの魅力ですよね!(にっこり)

TRUMPシリーズにおいて欠かせない要素である狂気を、わかりやすく表立って示してくれた3人。
物語を引っ張り動かす重要な役割を与えられていた彼らに敬礼です。


まとめと次回予告

いかがだったでしょうか?
3キャラで6千字を超えそうなので、今後どうなるのか戦々恐々としています。できれば毎回6千字程度に抑えたいところ。。。
いやしかしでも楽しい!!! 考察楽しい!!! ひゃっほーーー!!!(そして増える文字数)

一応、キャラクター考察一発目でこの3人を選んだのは、ぱっと見狂人三人衆という共通項があったからでした。
この3人、3つの円で構成されたベン図のように、3人や2人、それぞれで共通していることがあって面白いんですよね。
そのうち図に起こしたいな。

あと、3人とも過去と未来が語られなさすぎて、現時点で考察できる範囲が狭かったのも、キャラクター考察の初回で扱うことにした理由の1つです。
他のキャラクターと比べれば、比較的ライトに考察ができる人たちだったと思います。
っというか、他のキャラクターは考察要素が多すぎぃ!!!

次回はジョーとキャンディについて、考察感想をまとめていきたいと思います。
もうキャンディ!? と思っていただけたならしてやったりです。

それでは、また次回。

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