ヴェラキッカ考察感想3-ただ愛しただけ-
作演出:末満健一さんのTRUMPシリーズ最新作、ミュージカル『ヴェラキッカ』考察感想まとめ。
鉄は熱いうちに打てということで、記憶が薄れないうちにまとめていこうと思います。
1回目、2回目はこちら。
1回目では初見感想・花言葉・時系列についてを、2回目ではぱっと見狂人三人衆(偏見)のウィンター・クレイ・マギーについてを、それぞれまとめていきました。
2回目に引き続き、今回もキャラクターに焦点を当ててまとめていきたいと思います。
それではさっそく始めていきましょう、の前にワンクッション。
※ゆうて4回しか見ていないので、台詞や展開など間違っているところがほぼ確であります(円盤が出てから確認予定です)
※同シリーズ他作品含め、ネタバレの連続なのでご注意ください
※考察するとはいったものの記載時点の内容になります。今後、加筆修正が入る点、ご留意ください
ジョー・ヴェラキッカ
演:愛加あゆ
妹キャラきたー!! ということで本作の妹枠のジョー。
シオンの妹であり、自称ノラの一番の親友。
溌剌とした女性で、冒頭から不穏な空気が漂い始めるまで、率先してキャンディを構う面倒見の良いお姉さんといった感じです。
アパレルカンパニーの社長を務める彼女は、本作中トップクラスの狂気度の低さを誇り、カイが言うようにまともなキャラクターでもあります。
・ジョー:人物像について
両親亡き後、兄シオンと共に遠縁であるヴェラキッカ家へ養子に引き取られたジョー。
きっと、ヴェラキッカ家に引き取られてから、カイと出会って彼を愛して、でもこちらは養子でカイは当主、叶わぬ恋だと想いに蓋をして、恩を返すためにアパレルカンパニーを任されるまで努力をしたのでしょう(妄想含む)。
本作でもっとも翻弄されたのは彼女だと思います。
家訓のままにノラを愛し、本心ではカイを愛し、その感情の混乱に心を乱し、それでもなんとか事態を理解して解決に動こうとする彼女は、本作中で一番まともでした。
まともだからこそ、かわいそかわいいですよね。
家族を、想い人を、自然に愛していただけの彼女がこんなことになるんですから、TRUMPシリーズは本当に最高なんだなぁ!(ニッコニコ)
ジョーに関しては、作中で要素がいっぱい出ていたし、一番隠し要素がない、描かれたままを素直に受け止めて良いキャラクターだと思います。
さすがまとも枠。
と、思っていた時が私にもありました。
・ジョーが愛した記憶
不穏な見出しで恐れ入ります、すみません。
そして、一番隠し要素がないと言いましたが、確かに隠し要素はないのかなと……考察する要素はほぼ全部作中で出ていたと思います。
ジョーを考察する上で唯一、あれはなんだったんだろう、となる箇所がありました。
そこを突き詰めて、点と点を繋いだら、地獄をみました。
4人目にして激長考察もとい激重妄想が、はーーじまーーるよーーー!!!
唯一(いや、カイとの出会いから愛するに至るエピソードは詳しく知りたいし、詳しく語ってほしいな末満さんと思いますけれども)、唯一、ジョーに関して考察するべき要素があるとしたら、
「ノラを愛してあげなくちゃ……じゃないと、ノラがひとりぼっちになっちゃう……」
ここですよ。
この台詞ですよ。
カイへの愛を思い出し、混乱の極みにいた彼女が呟いたこの台詞。
何故、ジョーはノラがひとりぼっちになってしまうことを知っていたのか。
何故、愛してあげないといけないとジョーが思ったのか。
それは、ジョーがひとりぼっちで最後を迎えた生前のノラと、愛されるために作られた幻想のノラ、どちらのノラも知っていたからではないでしょうか。
生前のノラを知っていただけなら「愛してあげなくちゃ」 には繋がらないと思いますし、幻想のノラを知っていただけなら「ひとりぼっちになっちゃう」には繋がらないと思います。
というかよく考えたら、屋敷の全員がイニシアチブをとられる前に、カイはイニシアチブを取られて幻想のノラに夢中になっていたのだから、ジョーはこの時のカイを見ていたはずです。
当然、ジョーは思ったことでしょう。
「カイだけに見えているノラって誰!?」
となれば、古くから教育係を担っていたロビンや他の使用人を問い詰めるでしょう。
他の使用人はノラのことを知らないので、ロビンから生前のノラのことを、カイの嘆きを聞いたのではないでしょうか。
(ほんと本作一番の罪深キャラクターはロビンだと思います。詳しくはロビン考察回にて!!)
ノラの最後をカイの嘆きを知ってしまったジョーが、ノラに夢中なカイも幻想のノラの存在をも受け入れて、カイを理解し、支え、愛し続ける為に、話しかけた結果、
そこで聞かされたのが、ノラを愛さなければいけない、ノラを愛している、というカイの意志だったとしたら。
ジョーはシオンにイニシアチブを取られる以前に、ノラが幻想であることを見て知っていて、さらに生前のノラの最後やノラを知ったカイの嘆きをロビンから聞き、幻想のノラは愛されるためにいることをカイから聞いてしまった可能性が高いと思います。
っということはですよ、ジョーはイニシアチブを取られていない正常だった状態で、愛するカイが自分じゃない幻想を愛していること、幻想を愛する理由、周囲から狂人扱いされているカイ、これら全てを知っていた上で、カイを愛し続けたのではないでしょうか。
えっ……えっ、しんど……あまりに、しんどくないです……???
しかし、しんどさはここでは終わりません。
カイが幻想のノラに夢中になり、あの特級貴族ヴェラキッカ家の当主が狂ってしまったと使用人に噂され、きっとこの時、シオンにも頼れる空気ではなかったでしょう。
何故ならシオンもまたノラを失っていたから。
そんな状況なら、ジョーはきっと自分だけでもカイを理解し愛し支えようと苦しんだことでしょう。
普段は頼れる兄の様子すらもおかしければ、私がしっかりして恩あるヴェラキッカ家を支えなければ、と奔走したことでしょう。
そんな中で、唯一の愛する家族、シオンまで狂ってしまったら。
愛する家族が、しんどさと狂気に塗れたあの顔で、幻想が望んだといったら。
カイからの愛を向けられている幻想を愛して欲しいと、お願いをされたら。
唖然としている間に噛まれ、挙句、これまで大切に、きっと大切に育んできたカイへの愛が、ノラへの愛に上書きされてしまったら。
その時のジョーの絶望たるや、如何程のものだったのでしょうか。
・ノラの一番の親友
誰かを愛し、独り占めしたいと思った時、真っ先に思い浮かべる地位は恋人だと思います。
けれどもジョーは、ノラの一番の親友を自称していました。
ノラの性別は明かされていないですし、よしんば明かされたとしても、ノラを愛し愛されたいのなら、恋人を目指すのが自然なことのように思います。
たとえそれが禁断の恋的なものだったとしても。
それでも、ジョーはノラの一番の親友を自称し、その上で「ノラを一番愛しているのは私よ」と主張してもいた。
ノラを愛しているのに、親友を自称していたのは何故か。
ノラの性別云々ではなく、ジョーが愛しているカイがノラを愛していたから、無意識にノラの恋人の地位をカイに譲っていたではないでしょうか。
ジョーのノラへの愛は、カイへの愛の上書きといっていたけれど、イニシアチブがきっかけの愛がイニシアチブが解かれても残るのだとしたら。
イニシアチブがきっかけに変わってしまった愛でも元々の愛が消えたわけではないと、考えることもできると思いました。
・ジョーの愛について
自分で考察しておいてなんなんですが、これはあまりにしんどい。
しんどすぎて太文字使いまくっちゃう。
末満さんやりやがりましたねこんなろ(行き場のない感情)。
何がしんどいって、ジョーは何も悪くないし何も知らない知らされないまま、あれよあれよという間に巻き込まれてるんですよ。
こんなクソしんどい出来事の当事者たちに最も近い位置にいたから、巻き込まれたんですよ。
ジョーはただカイを愛しただけなのに。
こんなしんどさの中でまともであろうとし、苦しみながらもカイを愛し続けて、ノラを愛していることも受け入れたジョーって、たとえイニシアチブの影響があったとしてもすごい。 強い。
狂気度がやばいキャラクターたちの中で、トップクラスに狂気度が低いからこそ、まともであろうとできたし、苦しかったんじゃないでしょうか。
先にまとめたぱっと見狂人三人衆のうち2名については、いくらノラが望んだからと言ってイニシアチブからの解放を選んだことに違和感を抱きました。
(時系列整理で書いたように、ノラの望みを叶えることがイニシアチブによる命令の根幹なら納得がいくとも書きましたね)
でも、ジョーに関しては、愛する人が望んだこと、という理由だけで、イニシアチブによって命令されていなくとも、(それがたとえイニシアチブで命じられた欲でも) 自分の欲を抑えて、愛する人の望みを叶える選択をすると思います。
ジョーの愛って、与え続ける愛だったんだなぁ。。。
強いわぁ……TRUMPシリーズのネームドの大人の女性強すぎるわぁ……。
あゆさんが演じたTRUMPシリーズのキャラクターって、こんな感じのまともであり愛情深いがゆえにしんどいことになる人ばかりですね。
・ジョー:演者について
本作の愛情深いつよつよ女性枠ジョーを演じたのは、これで3役目ですね! 元宝塚・雪組トップ娘役の愛加あゆさん!!
あゆさんが演じられるTRUMPシリーズの女性は、愛情深く、強く、そしてアホほどしんどい展開に巻き込まれることに定評がついてしまったのではないでしょうか。
いえね、二度あることは三度あると思っていましたよ。
思っていましたけれどもね、やっぱりですか!!! 末満さん!!!
なんてことをしてくれたのでしょう!!!
演技歌唱ともに安定感しかない流石元宝塚トップ。 流石愛加あゆさん。
その技量には素晴らしいの一言です。
前回出演の『マリーゴールド』しかり、感情のぶつかり合い楽曲で特に特に輝くあゆさん。
今回の感情ぶつかり合い楽曲<S 11:裏腹の水掛け論>も言うことなしでした。
ここ、カイとぶつかり合ってるんですよね。
カイを理解している、ずっと小さい頃から見てきた、って言っているんですよね。
ただでさえしんどかったどんどんか細くなる「あなたのことが」が、考察踏まえると思い出しゾッッッッワとなったんですけれども。
…………。
え、まってセルフでしんどさに拍車をかけている気がする……。
<S 04:Welcome to the Verachiccas!>では、ジョーがとにかくもー歌う歌う。
「そして私はジョー・ヴェラキッカッ!」で最後上に上がるところがすごく好きです。
この曲中、ジョーが優しいお姉さんって感じで、キャンディを連れて回って一緒に踊って、ってしているところが平和ですごく好きです。好きです。
ところで、個人的にシオンがジョーを噛むあのシーンの、あゆさんの悲痛極まりない叫びに毎度、ナイス叫び!(ニッコォ) となっていたのですが……
今後、円盤で見るのが楽しみですね!ニッコォ
まとめと次回予告
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?
私は、しんど楽しかったぁ〜〜〜〜!!! です。
お察しいただいているかと思いますが、一連の記事は考察をしながら書いているので、冒頭以降は順不同で書き進めています。
冒頭とここは、流石に最初と最後に書くようにしていますけれどね。
ざっと書きたいことを出してから、考察を進めつつ、こっちに気がつくと、こっちも気になる、と言った感じでフラフラと書いていたので、書いている時のテンションが一定ではなくなっています。
今回特に、自分の考察でめちゃくちゃしんどくなっていたので、テンションがガッタガタになっている気がします。
ここ描き終わったら推敲するので、読みにくさが強かったら修正しますね。
基本的にこの一連の記事、というより私がブログ的な記事を書くときは、誰かにお話をしているつもりで書いているので、気づいた時の感想や想いはそのまま伝えたいな、という気持ちもあります。
その方が衝撃とか感想がより伝わるんじゃないかなと。
伝わっていたらいいなぁ。。。
そういう意図もあって、基本的には話し言葉を使っています。
読みにくかったらごめんなさい、善処するかもしれません。
前回の最後と上記Twitterの通り、本当はこの記事ではジョーとキャンディを扱うつもりでした。
なので、サブタイトルも「ナチュラルに愛した彼女たち」で仮置きしていたのですが、ジョーの考察もといもはや妄想が捗りすぎたため、変更です。
正解でしたね!!
ここにキャンディの考察を入れようものなら、何字になっていたことか。
次回こそはキャンディについて考察したいと思います。
おそらく今回ほどしんどくはならないでしょう。
それでは、また次回。