決定権を放棄する選択

一般に「選択肢は多い方が良い」とされます。また決定権はある方が良いとされますし、敵には情報を与えない方が良いとされています。だが、選択肢や決定権を放棄し、敵に情報を与える方が有利になることがあります。さあ、どんな時でしょう?(ちょこっと考えてみてくださいw)え?「偽情報を流す」ですか?いえいえ、ちゃんとこちらの正しい情報を相手に教えてなおかつ有利になる方法です。「選択肢や決定権を放棄したフリをする」?いえいえ、ちゃーんとすっきりさっぱり放棄しますよ。


たとえば、車2台で正面からぶつかり合うチキンレースを想像してください。ルールは道を譲らない方が勝つというものですが、当然意地を張れば正面衝突をして両者とも命を落としかねないという危険なチキンレースです。相手がビビッてよけてくれることを期待しつつ、お互いに恐怖を押し隠して勝負!

私は自分の車のハンドルを相手に見えるようにぶっ壊します。これで私の車に「よける」と言う選択肢はありません。正面衝突か回避するかの決定権も私は失います。(相手に押し付けたとも言いますね)ハンドルを壊すのも本物の情報です。これで圧倒的に有利になります。もちろん実際にやりたくはありませんがね。

将棋で言えば「手を渡す」と言う発想です。兵法ならば「背水の陣」です。一見論理を超越したところにこんな策もあるから侮れないもので。
自分自身も退路を断つことで「追い詰められたもののパワー」を発揮するという「イチかバチか」の危険な賭けですね。相手が理性的であれば「衝突して自分が大ダメージ」よりは「よけてダメージを抑える」を選ぶわけですね。意地や信念を張る人が相手の場合は両者衝突さようならになってしまいますが。(そういった直線的な考えの人には、また別の手法を用意します)

4万の軍勢を率いていた7千の吉川元春の「背水の陣」を見て、戦わずに軍を退いた「馬野山の戦い」に見られるように、理性があって最終目的がはっきりした相手に有効な手段です。目の前のことに意地を張り「絶対退かん!」というやつに対して用いると共倒れにされてしまうので注意しましょう。その意味ではある種相手海理性を信頼していればこそ行える手法でもあります。

交渉事もこれに似ているところがあります。売り手は買い手の最大額を知りたいし、書いては売り手の最低額を知りたいあまり、自分から価格の提示をしないことがあります。自分の手の内は知らせずに、相手の手を知りたいという気持ちは分かりますが、正直やりやすい相手です。ACFでいうC(カウンター)狙い、後出しジャンケンにはF(フェイント)でのかく乱が有効です。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。