運動会の騎馬戦に兵法を用いる
【単騎編】
運動会の騎馬戦に勝利する方法を考えたことがある。
その1「指示に従うのが単騎の場合」
その2「全軍指揮権を与えられる場合」
まずはその1を考えてみる。考えるべきは単独活動でいかにリスクを少なく戦果を上げられるかである。狙われる機会を減らし、一方的に狙う機会を増やすにはどう動くのが良いか?
1 防御は草食動物(NARUTOのフォーマンセル、戦争におけるバディシステムの適用)
騎馬は3人の馬役が前、左、右に1人ずつ(以降、前馬、左馬、右馬と記載)と騎手の4名で構成される。その組み合わせ上、前馬は前しか見れないので彼が見るのは前方になる。左右の馬はそれぞれの側面を警戒する。騎手は全般を見渡すようにする。それぞれの馬が敵に気づいたら騎手の太ももを叩いて合図する。前馬は頭を振って騎手の腹に合図を出せば良い。唯一死角になりやすい後方は以下の位置取りと機動方針でカバーする。「場外を背にして横向きにカニ移動」単純ではあるが、これで物理的に後方の敵は存在しえない。なぜカニ移動をするかと言えば、皆が動く中で動かない存在は却って目立つからである。不意打ちを受けないように、前と左右に警戒しつつ、移動をし続ける。移動先に敵や味方がいた場合は移動方向を変えても良いし、それが敵味方の争いなら以下に示す肉食動物モードに切り替えて介入する。
2 攻撃は肉食動物
隙なく逃げるだけでは戦果は挙げられない。単純考えでは1騎少ない分味方が不利になってしまう。攻撃に転じるとしよう。注目すべきは敵味方が戦っているところである。ご想像の通り背面から敵の帽子を奪う。
騎手「目標捕捉、破壊する。」
騎手が合図して速やかに前進、真正面は腕が伸ばしにくいので利き腕の斜め前方にターゲットを捕捉。右腕でかすめとる。左手は自分の帽子をガードしつつ行う。攻撃に転じる瞬間は隙が生じる。特に背面不意打ちがありえるので左手ガードを残しておくのが望ましい。一仕事終えたら素早く草食動物モードに戻る。
3 複数に狙われた場合
運悪く2方向、あるいは3方向から襲われそうな場合。私に呂布クラスの武勇があれば別だが、基本は逃げることだ。やりたいこと(単騎で2騎以上の相手を撃破)とやれることは違う。そういったことは一部の一流、規格外の勇者に任せて、二流の最大値である超二流を目指す私としてはできないことからはとっととトンズラッシュする。
むろん、逃げ場がない場合はあきらめずに執念深く戦うわけだが、ここで考え方は2つある。1つは防御を固める。もう1つが一か八かの反撃である。防御を固める場合は1番弱そうな敵に向かって突進しつつ、両手で帽子を防御する。反撃する場合も1番弱そうな敵に突撃して一撃を狙う。
共通するのは1番弱そうな相手に突進すること。待ち構えるのが最悪で、複数方向からの同時攻撃をくらうだけである。防御を固めて「複数の敵を1人で引きつけている」というプラスを考えれば、粘るうちに味方増援がくる可能性も期待できるだろう。
あるいは2つの敵を結ぶ直線状に逃げる。前の敵が邪魔して後ろの敵がこちらに近づきにくくなるようにする。これは理想であって実現は難しいわけだが。
とりあえず単騎で思いつくのはこのくらいである。戦い方が生きてくるのはやはり集団戦である。次は騎馬戦の集団戦を語ってみる。
さて、全軍の意思統一ができている場合の「読み合い」は将棋で良く語っているので、意思統一ができている自軍VS意思統一ができていない敵軍という条件で考えてみる。
「局所的に自軍2VS敵軍1を多く作る」「自軍1VS敵軍2は極力避ける」という基本は単騎が集団になっても変わらない。ただ、単騎ではしょせん「戦法」レベルだったのに比べ、集団になれば「戦術」レベルを語れるようになる。たとえば、下準備1つとってもエリート騎馬の編成ができる。「リーチや運動性能に優れた人間だけを集めた『エリート騎馬』を数騎作る。それこそ一流の運動能力者にはここに参加してもらうと良い。
前回も書いているように「やりたいこと(理想)」と「やれること(現実)」は大いに乖離している。二流である私にとってはなおさらのことだ。ただ、超二流を目指す手段として普遍的な真理を心得ていくことは有効だ。一流と二流の差異を埋めるものがそういった法則、定跡、普遍的真理になるのだろう。
二流には二流なりに戦い方がある。それはできもしない一流のマネをすることではあるまい。(元々一流である存在がこういった普遍的な真理を用いると、超一流なのだろう)
「自軍だけ一方的に集中して2騎1組、敵軍だけ分散して1騎の状況を作るには?」そんな都合の良い話が運動会の騎馬戦で可能なのか?結論から言えば「めっさ簡単」である。次回でそれを考えてみるとしよう。
開戦後、敵軍が近づいてくるのを単純な横陣で待つ。(ACFのCになるだろうか)下手に部隊を突出させるとそこに集中打撃を受ける危険性がある。相手が攻撃してきた部分の部隊はわずかに後ずさって引き込みを狙いつつ、すぐそばの味方が退路をふさいで包囲する。
相手が突出しやすいように1騎だけ隅っこに囮騎馬を用意しておくのも良い。隅っこにいれば相手に背面を取られにくいのは前も書いたとおりである。そしてそれを襲う敵の背面を襲うのは簡単である。かといって隅っこ騎馬を無視すれば、今度はそいつが敵軍の側面や背面を突くことになる。
敵軍に意思統一がないということは「ガンガン前に出て戦うぞ!」という敵と「とりあえず後方で様子を見よう」という敵でバラつきが出る。「世の中色々な人間がいて色々な考え方がある」と言う基本原則の通りである。全員が慎重に歩を進めてくる可能性や全員が積極的に突っ込んでくる可能性もゼロではない。だが、実際に運動会の騎馬戦を見てもらうのが1番早い。意思統一をしていない集団の動きは非常に無駄が多いものだ。単純に移動力の違いもあるので、移動させるだけで敵軍の足並みは乱れる。
序盤に少しでも数的優位を築いてしまえば勝ちは見える。あとはエリートは1VS1で敵を防ぎ、他の余裕がある味方は2騎で1組を作り敵軍を攻撃すればいいだろう。将棋と違って王様がいないゲームなので一発逆転の危険性も低い。「数は力」「数は正義」「数で圧倒」すればよい。
「相対的で局地的な数的優位⇒絶対的で全体的な数的優位」という流れで優位を拡大して勝利する。
市販の孫子やクラウゼヴィッツは史実の戦争やビジネスでの応用例ばかり書いているが、ご近所で毎日行われている騎馬戦(嫌なご近所だな)など身近な例に対して、どう考えるのか?という記述がほとんど見られないのは不思議である。題して「生活に役立つ兵法」。売れると思うんだけどなぁ。「予習してない授業で指名されないための兵法」とか「会社で面倒な仕事を押し付けられないための兵法」とかw。ご近所の特売品をいかに効果的に入手するかとか、「主婦の生活の知恵」とか「おばあちゃんの知恵袋」みたいな兵法・・・。(なんかダメっぽい。)