ゆがみのない状況把握

状況の分析には感情をさしはさまず、極力客観的に見るように心掛ける。感情の眼鏡を通すと途端に正しい認識ができなくなる。情報は入手ルートによるバイアス(ゆがみ)が生じるというのは仕方のないことだが、最後にして最大の難関は分析者自身の感情である。人間は往々にして自分が嫌う人間の実力を低く見たり、ひいきする人間を高く見積もりすぎたりする。

また、もともとが楽観的過ぎると計画が第3セクターのように大アマになるし、悲観的過ぎると失敗を恐れて何もできなくなる。

感情を否定するわけではない。行動の「原動力」は感情から始めて良いくらいだ。「あいつが胡散臭い」「あいつは怪しい」と思って調査を開始する。それで充分だ。(実際それで呆れた所業に気づくことができたし)

ただ、状況の「判断や分析」に入ったら、感情的要素を交えてはならない。理性でもって純粋に事象、問題、状況を見つめる。

好き嫌いと状況把握は本来別モノなのだが、人間の脳は脳梁で右脳と左脳がつながっているからか、しばしば混同する人が多い。かなり多くの人間が行動の動機のみならず、相手の分析にまで感情的な好き嫌いを持ち込んでいると思う。感情の赴くままに動いても冷静、冷徹な状況分析ができる一握りの人間ならともかく、私くらいの二流が監査人を務める上では感情を制御して、状況をなるべく客観的に観察できるようにすることが前提となる。

CIA(内部監査人)や行政書士資格から「ルールについて」、将棋の趣味から「格上との戦い方」に特化して思考を掘り下げている人間です。