通勤最速理論、そして地下鉄でスカウト?
あくまでも自分の体験及び知人から聞いた話によるフィクションだということをお断りしておく(笑)
まあ私の読者になっている時点で運の尽きと観念していただきたい(笑)。
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通勤経路が変わって早一か月。乗り込む車両と使用する階段、最短距離ルート取りによる「通勤最速理論」も確立し、どのあたりで乗り降りが多く、席が空きやすいかという「椅子取り合戦の理」についても明瞭になってきた初夏である。
ハナーは1時間30分早く出て残業さえなければ1時間30分早く帰れるという形でフレックスを勝ち取ったので通勤ラッシュはある程度避けることができる。その分、乗客もまばらで限られており、なじみの人間を観察する余裕もある。違和感がある相手や不審人物には常に警戒を怠らない!・・・とか言うのではなく、単に人間観察が好きなだけだ。眠い時は寝ちまうし、興味のある本がある場合は読書優先なので、人間観察は絶対優先ではない。
この一週間、帰路において、なぜか私を凝視している人物に気付いた。最初は私ではなく、私の奥にいる誰かを見ているかと思ったのだが、私の動きに合わせて視線を動かしていたので(直接ではなくガラスに映した相手の姿で確認をした)どうやら間違いないらしい。
凝視しているのは浅黒い肌のややマッシブな「おっさん」である。
・・・悲劇の予感しかしねぇ(笑)。
一週間の観察で相手の正体を探ろうと情報を収集したが、観察の成果もなくわからないままであった。いつかこちらから問いただしてやろうと思ってはいたが、そのなんというか私自身は同性的なアレやコレに興味はない。考え方こそエキセントリックだろうが、性癖としてはいたって小市民であり、ノーマル…だと思う。
そして先日、電車を降りようというところでついに動きがあった。
相手から仕掛けられた!
相手「あのーすいません。驚かれると思うんですが、ちょっとだけいいですか?」
私「なんでしょう?」
機先を制されたが、考えようによってはチャンスでもある。警戒して身構えつつも相手を不機嫌そうににらみつける。とりあえず口論ならともかく、肉体言語なケンカになれば圧倒的絶対的にケチョンケチョンに負ける自信がある。
周囲を見ればまばらながら人は多数いる。あまり無茶はしてこないだろうが油断は禁物だ。
相手「実は私、こういうものでして。」
相手が差し出した名刺には見たこともない雑誌の名前が書かれていた。
いわゆる「同性愛後癖的なものではないこと」だけは確認した。
相手「失礼ですが会社勤めの方ですか?」
私「はい。まあそんなところです」
そんなところもなにも、そのものズバリ直撃なのだが(笑)、こういうのは断言せずにお茶を濁しておくに限る。後でいくらか言い逃れができるように。
相手「雑誌モデルの仕事とかに興味ありませんか?」
雑誌モデル!? なんだ、その「原宿でのスカウト」みたいな響きは。ついに世界が俺様の美貌に追いついたのか!(すいません、言ってみたかったんです、出来心なんで石を投げないでください)
ただ現実はコテコテの関西の地下鉄で当事者はおっさん2名である。
私「モデル? いやでも、うちはそういう副業はダメですから」
相手「大丈夫です、顔は出ませんのでバレることはないですから」
モデルだが顔が出ないだと?どういう意味だ?
相手「体の部位のモデル、手タレとか鼻タレとかってご存じじゃないですか?」
私「ああCMとかで手のアップとかだけ使われるやつですか」
相手「そう、それなんですよ。実はあなたのヒップラインが実に良いので」
俺のケツが目当てか!(白目)
彼が凝視していた個所は私の「尻」「ヒップ」「臀部」だったのである。
「同性愛好癖から逃れたと思いきや、やはりケツ狙い」だったことに変わりはなかった。
実際、東京時代に同僚女子陣に「社内で最もヒップラインが美しい」と評価されたことはあるが、ちっともうれしくない(苦笑)。
私「いや、ちょっとそういうモ・・・」
セリフの中途のタイミングで動くと相手はとっさには反応できない。タイミングを見計らっていた電車ドアが閉まる瞬間にギリギリで乗り込み追跡を断った。やっと通勤経路が固まってきていたのにしばらくは変更せねばなるまい。やれやれだ。
逃げておきながらいまだに少しだけ悩んでいるハナーでした。
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