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【のんびりオスロ旅行】 市庁舎とムンク美術館

サンデフィヨール空港からVy Busのシャトルバスを利用し約1時間半後、オスロ市内に到着。その後最初の目的地、市庁舎(Rådhuset)へと向かいます。

壮大な壁画と木彫り作品が人々を暖かく迎え入れるオスロ市庁舎

市庁舎の外観。一部の日程を除き、毎日午前9時から午後4時まで開館しています(詳しくはこちら)。入場料は無料。

到着後さっそく、入り口の両脇の外壁に何かが飾ってあるのを発見!

16点にもわたるこれらの作品はノルウェー出身の彫刻家Dagfin Werenskioldによるもの。『古エッダ』と『スノッリのエッダ』を基に、北欧神話の一場面を表現している作品で(作品付近のキャプションから引用)、鮮やかな色使いと木彫りの質感に目を惹かれます。

寄り道はこれでおしまいにして、本来の目的である壁画を見るため中へ…

人々で賑わうホール

市庁舎の見どころ、メインホールの壁画はAxel Revold, Alf Rolfsen, Per Krohg,  Henrik Sørensenにより制作されたもの。ナチスによる占領や人権運動などのノルウェー史における重要な場面の数々が描かれています。特にRevold, Krohg, Sørensenの3人は野獣派の代表的画家であるアンリ・マティスのもとで学び、かつキュビスムに関心をもっていたため、その強烈な色彩づかいや大胆な構図が存分に活かされています⑴。歴史的場面に実際に立ち会っているかのようで、圧倒されてその後しばらく眺めていました。

本来は2階も見学可ですが、その日は何かのイベント会場となっていたため残念ながら見学できませんでした…この市庁舎はノーベル賞の授賞式や結婚式に至るまで幅広い用途で使用されているとのことですが、こんな素晴らしい壁画に囲まれてかけがえのないひと時を過ごせるのはいいだろうな〜としみじみと思いました。歴史と日常が交差するオスロの名所です。


新鮮な寿司を食べてひとやすみ…

左上から順に、サーモン、オヒョウ、サーモンの炙り、オヒョウの炙り寿司

海どこに来たなら寿司、日本でも大量輸入してるサーモンを食べなくては!という使命感のもとに来たのはThe Salmonというレストラン。こちらで寿司のセットをいただきました。日本の寿司クオリティには流石に負けますが、どの寿司も脂がたっぷりでなかなか美味しかったです。特に今まで食べたことがなかったオヒョウがお気に入りでした、さらさらとした食感と甘さがクセになります :)


ムンク美術館で芸術家の世界観にどっぷり浸かる

今にも倒れそうな建築が特徴のムンク美術館は月火は午前10時から午後6時まで、
その他の日は午前10時から午後9時まで開館しています。

お寿司を食べてエネルギー満タンになったところでムンク美術館へ向かいました。ムンク美術館は2021年10月に開館したばかりの比較的新しい美術館で、有名作品である『叫び』を含む彼の多種多様な作品を鑑賞し、様々な展示を通して作家の人生を深く知ることができます。個人的に印象に残ったことのいくつかを紹介します。

①『叫び』は1点だけでなはい!
実は『叫び』は全てで8バージョンこの世に存在しています⑵。ムンク美術館はそのうち1893年に制作されたクレヨン画バージョン、1895年に制作されたリトグラフの2つのバージョン(そのうち一つは色付けされたもの)、1910年の油彩画バージョンの計4点が所蔵されています⑶。(ムンクが初めて製作した1893年の油彩画の『叫び』はオスロ国立美術館にて展示されています。国立美術館に行った時の感想は旅行3日目の記事にて…) 

引用元:"The Scream," Munchmuseet. https://www.munchmuseet.no/en/The-Scream/

⚠︎ここで注意してほしいのがムンク美術館で4つのバージョン全てを見られるとは限らないということ。全ての作品がキャンバスなどではなく紙に描かれているため光や空気の影響を受け劣化しやすく、その影響を最大限に抑えるために4点を交代交代で展示しています。私が見られたのは色付けなしのリトグラフのバージョンでした。全て見られなかったのは残念でしたが、自分が思い描いていた作風とは異なる『叫び』に出会えただけでも豊作と言えるはず。

②画家が残した自画像の数々
美術館にはムンクが人生の節目節目で自画像が(以下の2点を含む)複数展示されています。それらを通して彼の作風の変化だけでなく、画家としてではない彼の日常の一面を垣間見ることができます。

"Self-Portrait."1888? Wikimedia Commons, https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Edvard_Munch_-_Self-portrait_(1888%3F).jpg
"Self Portrait with Bottles," 1938, The Metropolitan Museum of Art, https://www.metmuseum.org/art/collection/search/668371

③『太陽』を含む大規模絵画の展示室

"The Sun," 1910-1911, Munchmuseet, https://www.munchmuseet.no/en/exhibitions/edvard-munch-monumental/

ムンク美術館で見た作品の中で一番好きだったのがこちらの作品。『太陽』は生命のパワーをテーマとし、自然科学や宗教、宇宙の誕生の要素を取り入れた、ムンクの普段の作風とは趣の異なる作品⑷。白や水色、黄緑など明るく柔らかい色彩とそれに対する荒々しい輪郭線が、この世のものとは思えない景色を私たちに見せてくれます。この作品はオスロ大学のセレモニアルホールのために制作したものの一部で⑸、展示室では完成に至るまでの過程をデッサンや彫刻、その他の大規模絵画などから知ることができます。ムンクの世界観を大きな画面で感じることができるのはまた一味違った体験です。

美術館にはその他にも木版画やムンクが実際に使った日常品の展示など多くの見どころとたくさんの発見があり、充実したひと時を過ごすことができました。(滞在時間は3時間ほどでした。)ムンクの作品をここまでガッツリ見ることができるのは日本の美術館の特別展でもなかなかないと思うので、オスロを訪れた際には欠かせないスポットと言えます。

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引用元

  1. Meg Pier, "Oslo City Hall Features Murals by Renowned Norwegian Artists," People Are Culture. Accessed July 27, 2022. https://www.peopleareculture.com/oslo-city-hall-norwegian-artists/

  2. "Where Can I See the Scream?" Munchmuseet, Accessed July 27, 2022. https://www.munchmuseet.no/en/The-Scream/where-can-i-see-the-scream/

  3. "5 Things You Should Know about the Scream," Munchmuseet, Accessed July 27, 2022. https://www.munchmuseet.no/en/our-collection/5-things-you-should-know-about-the-scream/

  4. "Edvard Munch Monumental," Munchmuseet, Accessed July 28, 2002. https://www.munchmuseet.no/en/exhibitions/edvard-munch-monumental/

  5. 同上


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