1999年8月
明日から全日本選手権決勝そんな夏休みにモンコレ部はこれから合宿が始まる。
「少し早いですがこれからうちの車で東京へ向かいます。部長忘れ物はないですね。」
「はいっ、もみっちゃん大丈夫です。」元気よくあおばが返事をする。
「でも早すぎませんか?渋滞していたとしても昼頃には東京についてしまいますよね。」
「部長がサンシャイン60に行ってみたいということで会場のホテル浦島に行く前に池袋へ行こうと思います。」
「そうですか、わかりました。」池袋・・・あかりは何か引っかかっていた。
数時間後
「さぁここがサンシャイン60ですよ」
「おぉ高いなぁ」あおばが建物を見上げて喜んでいた。
「私は高所恐怖症だからあかりさんと二人で上がってきてください。」
「はーい、あかりちゃんいくよ」あかりの手を引いてあおばは勢いよくサンシャインへ60向かう。ガシ あかりはあおばの首をつかみ後ろを振り向く。もみじが乗ってきたリムジンに乗らずリムジンを送り出し横断歩道で信号待ちをしているのが見えた。
「部長、もみじさんを尾行しますよ。」
「え、えぇサンシャインは?」あおばが泣きそうな顔で懇願する。
「行きません!!」あかりはものすごい形相で睨みつける。
もみじは横断歩道を渡りお店の前で扉を開けようとしたとき
「お嬢さんハンカチが落ちましたよ。」
「ありが・・・」もみじが振り返るとそこにはいるはずのない怒りの形相のあかりと泣きそうな顔のあおばが立っていた。
「もみじさん」あかりが落ち着いた感じで声をかけた。
「サンシャイン60は道路を渡って反対側ですよ。」もみじは平静をたもちなんとか返事をする。
「も み じ さ ん」あかりが語気を強くかえてもう一度声をかける。
「ごめんなさい」もみじが頭を下げて謝った。
「わかればよろしい。では一緒に入りますよ。」あかりはもみじを連れてお店に入っていく、
「あかりちゃんサンシャインは?」あおばがあかりに声をかける。
「もう見たでしょ?」さっきまでの怒りの形相があおばに向かう。
モンコレ部の3人は普通の書店とは違う書店に入っていくのであった。
「もみじさん今日は楽しかったですね。そろそろ帰りましょうか」
「そうですね、十分堪能できたから車を呼びますね。」
「あの、合宿は?」部長からモンコレ部らしい一言がでる。
「もちろんこれから向かいますよ。」もみじからあわてて訂正が入る。
夕食をとり会場となるホテル浦島へは夜遅くに到着したのであった。
次の日の朝
「さぁ起きてみなさん準備してください。」
「はい、わかりました。」眠たい目をこすりながらあかりが起きる。
「部長!!えいっ」あかりがまだ寝ていたあおばの腹部へ正拳突きをおみまいする。
(ぽよん)
「ハート様!?」あかりの正拳突きが効かなくなっていた。そう あおばのおなかが・・・
「あかりさん何をしているんですか?」もみじから注意が入った。もみじがあおばを起こして準備を済ませていた。
会場そうJGC99のホテル浦島のイベントスペースにモンコレ部の3人が顔を出したのは昼過ぎになっていた。3人はまず合宿の目的でもある公式初の召喚術師を使用した大会「モンコレ・サモナー・ファイト」で優勝するため、先行発売の「黄金樹の守護者」の購入をするため物販コーナーを目指した。
「売り切れ?!」3人は声を上げてしまった。今日の大会に参加するためには先行発売の「黄金樹の守護者」からでる召喚術師が必要、「黄金樹の守護者」が買えないということは大会に参加できない。
「残念ですね。購入できないと大会に参加できませんから全日本選手権の見学へ行きましょう。」もみじの提案で全日本選手権が行われている晴海客船ターミナルへ移動することになった。
「あったぁ!」客船ターミナルに到着してあおばが突然駆け出していた。
「あおばさん会場は走らないでください。」もみじの注意も聞かずにあおばが駆け付けた場所には
「これだよこれ」あおばは黄金樹の守護者の段ボール箱をばんばん叩いていた。
「申し訳ありません。」もみじはあおばの後ろに立っている人に頭を下げていた。
「おっちゃん」あおばも後ろを振り向き後ろの人物に声をかけた。
「まさか、ナンバーさん大会で優勝するために黄金樹の守護者を買い占めたんですか?」あかりがあおばの後ろに立つ人物に質問をした。
「そうそう、公式初の召喚術師戦 モンコレ・サモナー・ファイトで優勝するために買い占めました。」
「えぇ」モンコレ部とナンバーの会話が聞こえた範囲のモンコレファイター達が声を上げた。ここには全日本選手権決勝1日目に参加する人やその見学者がホテル浦島の物販が開始されるより前に集まっていて、大会終了後に先行発売の黄金樹の守護者購入を考えていたからだ。
「・・・」買い占めを素直に認めたナンバー、モンコレ部はもう何も言えなかった。
数時間後、決勝1日目のスイスドローが終了して次の日の決勝トーナメント参加の16名が発表された。大会参加者や見学者も本来なら過ぎに先行発売の黄金樹の守護者を買いに行きたいところだが、すでに黄金樹の守護者が完売していることが会場に広まっていた為、会場に残りフリープレイやトレードを行っていた。
モンコレ・サモナー・ファイトに参加できるかわからないけど確認のため開始1時間前に会場へ向かったモンコレ部の3人。
「すくな!」会場についたあおばが声を上げた。
「大会に参加される方ですか?」スタッフが手を握りしめ確認してくる。
「大会に参加したいのですが、召喚術師カードがなくて参加は・・・」参加断念を告げようとするもみじにスタッフが説明を始める。
「召喚術師戦ですが召喚術師のカードを持ってなくても参加できます。その場合は召喚術師《カオス》になります。だからどなたでも参加できますよ。」説明の間もスタッフの人が手を握り締めて放そうとしない。
「わかりました。参加をお願いします。」もみじが仕方なく参加を決める。
「もみじさん参加するんですか?」あかりは遠巻きにもみじに質問する。
「もみっちゃん参加するのかぁ」あおばがもみじに声をかけた瞬間、もみじにつかまれる。
「2名参加でお願いします。」もみじはあおばを捕まえてスタッフに参加登録をお願いする。もみじのオークデックとあおばの水デックならまだ召喚術師《カオス》でもなんとかなるかもしれないけど、あかりの1レベルユニットの多い明星弓矢デックは相性が悪すぎるとさすがのもみじも誘うことはできなかった。もちろん、全日本選手権決勝1日目に参加したプレイヤー達も参加は考えていただろうが、公式レポート常連のナンバーが黄金樹の守護者を買い占めをしたという情報から参加をあきらめるしかなかった。
結局大会は6名しか集まらなかったためスイスドロー3回戦で始まった。
第1回戦あおばvsもみじ
「いきなりもみっちゃんかぁ」
「人数が6人では仕方ありません。」あおばのデックはもみじも一緒に考えて構築したもの、もみじは自分のオークデックとデックの相性が悪いことは承知していた。さらに追い打ちをかけるかのように手札の《封印の札》と《ロマンシングストーン》をあおばに見せる。
「あおばさん申し訳ありません。手札にユニットがいないのでデックを切りなおします。」召喚術師カオスの効果により初期手札が2枚しかない為ユニットがいないということはよくあること、しかし、これが2回続くと手札の有効カードを破棄しなければならなくなる。
第1ターンあおば
「さて もみっちゃんこれでもくらえ、あおば本陣に《ウォーター・ドラゴン》と《シー・サーペント》を普通召喚。」
第2ターンもみじ
第1手札調整で手札上限が+1されたので手札を1枚補充しもみじが開始する。特殊能力の攻撃対抗を持つユニットをいきなり2体出されかなり負けが濃厚になる。手札にあるユニットも《欲深き皇帝》《オーク長槍隊》と攻撃しかできない。
「もみじ本陣に《欲深き皇帝》《オーク長槍隊》を普通召喚します。」
第3ターンあおば
「私も1枚補充してやっと手札3枚」
「《妖精の輪》をあおば本陣前に配置して《シー・サーペント》を《妖精の輪》へ進軍させます。」もみじは一瞬《ウォーター・ドラゴン》でないことに不思議に思った。
「さらーに《せせらぎの音》をもみじ本陣前に配置して《ウォーター・ドラゴン》を《せせらぎの音》へ進軍させます。」
「手札を2枚補充してもみっちゃんどうぞ」
「あおばさん」
「えっもみっちゃんなに?」あおばはもみじにいきなり呼ばれて慌ててしまう。
「《妖精の輪》を支配したから手札上限が4枚になったのでもう1枚補充してください」
「あ ありがとう」あおばも普段落ち着いたもみじから焦ったように声をかけられて動揺してしまう。
第4ターンもみじ
もみじは第1手札調整で少し考え込んでしまう。
このターンに《ウォーター・ドラゴン》を何とかしなければ次のターン確実にもみじ本陣へ進軍されてしまう。かといって今の手札では《ウォーター・ドラゴン》を倒せない、結局1枚補充して開始する。
「もみじ本陣に《オーク騎兵隊》《オーク死神部隊「紅」》を普通召喚します。」
第5ターンあおば
あおばの手札上限5枚になりあおばは手札を1枚補充してターンを開始する。
「もみっちゃんとうとう最後の時が来たようだね。《ウォーター・ドラゴン》をもみじ本陣へ進軍、《グリズリー》《七つの海の王子》を即時召喚。」
「こちらは即時召喚ありません。」もみじは平静を装うが自分が進めたオークデック対策の《グリズリー》がここにきて自分を苦しめる存在になった。
お互い隊列を決める。
あおば先:《グリズリー》《七つの海の王子》《ウォーター・ドラゴン》
もみじ先:《オーク騎兵隊》《オーク長槍隊》《欲深き皇帝》《オーク死神部隊「紅」》
イニシアチブの差が5もあるので同時攻撃はありえないが、もし同時攻撃が出ればもみじの一方的な本陣陥落負けである。ありえないが確率は0ではないモンコレの怖いところである。もみじは気合を入れてダイスを振る。
「とう!」あおばがお気楽にダイスを振る。ダイスは6。豪運なあおばに一瞬焦るがもみじのダイスは3で何とか先攻。先攻型デックの常套手段から開始する。
「《オーク長槍隊》が《遠見の水晶球》を使用します。」もみじはあおばが唯一対抗できる《滅びの粉塵》を持っていないことを祈る。
「ぐぬぬぅ、対抗ありません。」あおばはもみじに手札をみせる。
《ミラー・イメージ》《ミラー・イメージ》《プロテクション》
「《ミラー・イメージ》を2枚破棄してください。」
「うおぉぉそれはひどい。」あおばの手札は《プロテクション》1枚になってしまう。
「《オーク死神部隊「紅」》の「特殊能力:不意打ち」を《グリズリー》に使用、3点ダメージです。」
「対抗《ウォーター・ドラゴン》が《プロテクション》を《グリズリー》に使用します。」あれ?もみじは手札にある《ロマンシング・ストーン》をみて一瞬悩む?《ウォータードラゴン》の「特殊能力:津波」ようにとっておいたカードだ。
「対抗はありません。」《オーク死神部隊「紅」》が特殊能力を使ったのは攻撃対抗の津波対策で攻撃に加わらない為のはず・・・
「《オーク騎兵隊》《オーク長槍隊》《欲深き皇帝》で攻撃します。攻撃力はチャージがあるので10点。」あおばさんのパーティの防御力には足りないけどここは本陣を守ることが優先。
「《グリズリー》の「特殊能力:ベアハッグ」を《欲深き皇帝》に使用します。ダイスは3なので3点ダメージ。」あれ? もしかして詰んだ? いやあおばさんは気づかないはず。このままでは残ったユニットの後攻の攻撃で全滅。
「《オーク騎兵隊》から《グリズリー》へ《ロマンシング・ストーン》で特殊能力を打ち消します。」さぁ《ウォーター・ドラゴン》の「特殊能力:津波」を使いなさい。
「怒ったぞぉ《七つの海の王子》の「特殊能力:海の怒り」を《ウォーター・ドラゴン》に使用します。」もみじの対抗手段がないことを確認して今までになく冷静に対抗を行った。もみじの攻撃を耐えて後攻のあおばが《ウォーター・ドラゴン》ディフェンダー攻撃でもみじの本陣が陥落した。
「はじめてあおばさんに負けましたは、あおばさん優勝目指して頑張ってください。」
「なんか今日は優勝できる気がする。もみっちゃんあとは任せろ!」
第2回戦あおばvsナンバー
あおばの対戦の横ではもみじが1回戦勝った1勝のプレイヤーと対戦、1勝のプレイヤーと0勝のプレイヤーが対戦する「通称:階段」といわれる状態だ。
「おっちゃん、今日は絶対倒す。」昼の件があって少し怒っているあおば、
「ぶっちょさん久しぶりだね。今日は私が負けたら部長様って呼び方を変えてあげるよ。」
「いや、負けなくても名前の変更を要求する。」
「じゃぁ ぶぶっちょならいいよ。」
「ぶぶぅ」
「えっ気に入った?」
「気に入るわけないだろ。」
「まぁぶっちょはウォータードラゴン主体の水デックのカオスだろ、こっちは4レベルカッシェだ。」
「はいはい」あおばは対戦しか考えてないのでナンバーの言葉をよく聞いてない。
第1ターン ナンバー
ナンバー本陣前に《多きな大きな部屋》を配置してナンバー本陣に《カトブレパス》《アース・エレメンタル》を普通召喚。
第2ターン あおば3
手札が3枚だというのにモンコレ力(運)だけは高い。
あおば本陣に《ウォーター・ドラゴン》《七つの海の王子》を普通召喚。
第3ターン ナンバー
《大きな大きな部屋》に《カトブレパス》《アース・エレメンタル》を進軍させ、
《シー・サーペント》《ウォーター・エレメンタル》を普通召喚。
第4ターン あおば4
あおば本陣前に代理地形を配置してから《ウォーター・ドラゴン》《七つの海の王子》を代理地形へ進軍させる。
あおば本陣へ《シー・サーペント》《マーメイド女王親衛隊》を普通召喚する。
第5ターン ナンバー
「戦場に攻撃対抗のユニット多いなぁ、やっぱりオーク主体のデック対策なのかな? 《アース・エレメンタル》を《ウォーター・ドラゴン》の地形に進軍します。」ナンバーは質問をしながらも進軍してきた。相手に答えは求めていないようだった。
「《ファイア・エレメンタル》を即時召喚します。」
「おっちゃーん。《ファイア・エレメンタル》は即時召喚できないんだよ。そんな基本も忘れたのか?」
「すごい、すごいぞ、ぶぶっちょがルールを覚えているなんて!」
ナンバーはあおばをからかいながら召喚術師カードの《カッシェ》をあおばに見せる。
「ぬわんだぁこのカードは!!」あおばが叫び声を上げたが戦闘は開始される。あおばは普通召喚ユニットを守る王道の隊列で即時召喚ユニットを先頭にした。
あおば先《七つの海の王子》《ウォーター・ドラゴン》
ナンバー先《アース・エレメンタル》《ファイア・エレメンタル》
ダイスを振る・・・
「同時攻撃!」
代理地形の上には《ファイア・エレメンタル》だけが残った。
「あおば本陣前の代理地形を《花咲く旅路》に張り替えます。」
《花咲く旅路》へ《カトブレパス》を進軍させ《大きな大きな部屋》にナンバー本陣の《シー・サーペント》《ウォーター・エレメンタル》を進軍させた。
「ナンバー本陣へ《ホーリーコアトル》《髑髏の騎士》を普通召喚します。」
第6ターン あおば5
手札を1枚補充してターンを開始する。
あおば本陣の《シー・サーペント》を《花咲く旅路》へ進軍させることはできるが、あおばのデックで《花咲く旅路》に進軍できるユニットは《シー・サーペント》しかいない。モンコレ部のスイスドロー対策でスイスドロー戦で重儀式や判定勝ちデックでは優勝できないという結論から地形対策の《吹き抜ける風》を入れてはいなかった。あおば本陣右側に代理地形を配置して《シー・サーペント》を進軍させた。
「あおば本陣に《ウォーター・ドラゴン》と《メロウ》を普通召喚します。」
第7ターン ナンバー
あおばの配置した代理地形に合わせるように《花咲く旅路》の左側に《大きな大きな部屋》を配置して《カトブレパス》を進軍させる。《花咲く旅路》の《ファイア・エレメンタル》をあおば本陣へ進軍させ《アクア・マリンスター》を即時召喚した。
「なにそれ? ジャッジきてー」あおばは即時召喚されたユニットカードをみてジャッジを呼んだ。
「おっちゃんが黄金樹の守護者のカードを使ってます。」公式のルールでは先行発売されたカードは正式発売日まで大会で使用できない。
「今日は黄金樹の守護者先行発売の記念大会なので黄金樹の守護者のカードは使用可能です。」公式スタッフの審判が丁寧にあおばに説明する。
「まじでぇ」
「おいおい、召喚術師カードが黄金樹の守護者のカードなんだけど、ところでぶっちょの即時召喚は?」
「《マーメイド女王親衛隊》を即時召喚だ。」
あおば先:《マーメイド女王親衛隊》《メロウ》《ウォーター・ドラゴン》
ナンバー先:《ファイア・エレメンタル》《アクア・マリンスター》
二人の隊列が決まりイニシアチブダイスが振られた。
あおばのダイスが4、ナンバーのダイスが1。
「イニシアチブ対抗《ファイア・エレメンタル》が《ウォークライ》を使用。」イニシアチブ結果に関係なく同時攻撃にする戦闘スペルをナンバーが使用した。あおばは《ウォークライ》の使用に対してお互いのユニットを確認した。かつてのあおばではありえない。あおばの攻撃力の合計が8・防御力の合計が10、ナンバーの攻撃力の合計が8・防御力の合計が8。同時攻撃なら《ウォーター・ドラゴン》以外は破棄され本陣は守れる。
「対抗はしない!」少し考えてからあおばが答えた。
「さらに対抗《アクアマリン・スター》の特殊能力あの星へを使用する。」
「なにそれ?どんな効果?」あおばが《アクアマリン・スター》の特殊能力を確認した。
「出現頻度:稀(星のアイコン)」のユニットを手札に返す。あおばの本陣には「出現頻度:稀(星のアイコン)」のユニットが《ウォーター・ドラゴン》と《メロウ》の2体がいる。
「まじでか!」本陣のユニットが《マーメイド女王親衛隊》だけになって同時攻撃になったら本陣陥落負けである。
「対抗するする。《ウォーター・ドラゴン》から《ウォータードラゴン》へ《ミラー・イメージ》を使用します。」
「まぁもってるよね。こちらの対抗はなし。」あおばの《メロウ》が手札に戻り《アクアマリン・スター》が行動完了状態で同時攻撃になった。あおばの本陣に《ウォーター・ドラゴン》がのこり、《アクアマリン・スター》が《花咲く旅路》に戻される。
第8ターン あおば6
手札調整で補充したカードを見てあおばは愕然とした。
《ネーレウス》
オーク系の先行チャージデック対策としていれたカードの一つであったが、「出現頻度:稀」であった。《シー・サーペント》が支配している代理地形を《妖精の輪》に張り替えてメインフェイズを終わる。第1手札調整で手にした《ロマンシングストーン》を信じ《七つの海の王子》か《マーメイド女王親衛隊》を引いてこい。
第2手札調整をした。
第9ターン ナンバー
「手札7枚になった対戦相手は倒しずらいなぁ」ほぼ棒読みであおばをあおっている。
「ここから逆唱が始まるんだ、覚悟していろ。おっちゃん!」
「最後の進軍かな《アクアマリン・スター》であおば本陣へ進軍、即時召喚《アクアマリン・スター》、ぶっちょも即時召喚どうぞ」
「《ネーレウス》・・・ 即時召喚は以上」
あおばは即時召喚を引けなかった。手札には《ミラー・イメージ》が1枚あるが《アクアマリンスター》2体にはどうにもならない。《シー・サーペント》をあおば本陣へ戻すという手もあったがあおばは気づけなかった。そして、同時攻撃という最悪な結果であおばは本陣陥落負けをしてしまう。
第3回戦 もみじ vs ナンバー
「全勝はナンバーさんだけ狙い道理ですね。」いやみをこめてもみじはナンバーにきつく当たる。
「モンコレ部やってるんですよね。ルールぐらいきちんと読んだほうがいいよ。」もみじが思っているナンバーの発言ではなかった。過去お店でよく対戦していたナンバーは適当に対戦していつも負けてばかりのイメージしかなかったからだ。
「そんなこと言われなくてもルールならきちんと覚えています。」
「大会運営ルール読んだかな?」
「大会運営ルール?大会やイベントを開催するわけではないので読んでいません。」もみじにとっては大会運営ルールは大会スタッフなどが読むものでプレイヤーは読む必要がないと思っていたからだ。
「1勝1敗のもみじさんが私に勝って2勝1敗の21点でもみじさんが優勝。」
「そんなことはないはずです。私に負けてもナンバーさんは2勝1敗の21点同じ点数じゃありませんか。」
「21点なら あおばさんやクィーンが2回戦で対戦したプレイヤーも21点になります。」
「それこそだれが優勝するかわからないじゃないですか?」
「しかし、大会運営ルールを知っていれば誰が優勝するかわかるんですよね。」
「そうですか。やる気を出させる嘘ではなさそうですね。」
「同じ点数の人がたくさん出た場合の順位のつけ方に 対戦相手の点数の合計を比較して高い人を上位にする。ということで、私の対戦相手の点数の合計が45点。クィーンの点数は63点ほかの人もクィーンさんの63点には届かないから私に勝てばクィーンさんの優勝になります。」
「ちょっとまってください。まだ3回戦始まってませんよ。なんで最終の点数がわかるの?」
「ふーむ、まずクィーンさんの場合最終戦の私が負けた場合私の点数が21点、2回戦の相手のプレイヤーは最終戦に私の1回戦の相手と対戦します。その彼は私のコレクター仲間、売り切れを聞いたときに大会中止になるのを危惧して彼にも参加するようにお願いしました。もちろん彼は今回デックを持参してないからデックは黄金樹の守護者のカードのみのデック、しかも今日の決勝に参加したプレイヤーとの実力差からも間違いなく3敗します。部長さんの対戦相手も私のコレクター仲間だから間違いなく部長さんは勝ちます。だからクィーンさんが勝つことができれば間違いなく優勝ですよ。」
「そもそもナンバーさん大会中にほかのプレイヤーのことを考えなくてもよくないですか?」
「強豪プレイヤーで全勝すれば優勝とかならほかのプレイヤーなんて考えなくてもいいかもしれないけど、強くもない私のようなプレイヤーは他のプレイヤーを考慮に入れていかに上位に入るかを考えてしまうんだよね。」
第1ターン ナンバー
普通召喚でナンバー本陣へ《シー・サーペント》《カトブレパス》を召喚
第2ターン もみじ3
手札を1枚補充してからもみじが開始する。
普通召喚はもみじ本陣へ《ファイア・ドラゴン》《オーク長槍隊》を召喚
第3ターン ナンバー
ナンバー本陣前に《花咲く旅路》を配置してナンバー本陣の《シー・サーペント》《カトブレパス》を《花咲く旅路》に進軍。
ナンバー本陣に《アクアマリン・スター》《アース・エレメンタル》を召喚
第4ターン もみじ4
手札を1枚補充しもみじ本陣前に代理地形Aを配置して代理地形へ《ファイア・ドラゴン》《オーク長槍隊》を進軍させた。
もみじ本陣に《オーク傭兵団》《オーク騎兵隊》《オーク騎兵隊》を召喚した。
第5ターン ナンバー
《花咲く旅路》の右側に《大きな大きな部屋》を配置し《カトブレパス》を進軍。
ナンバー本陣の《アクアマリン・スター》を《花咲く旅路》に進軍。
ナンバー本陣へ《髑髏の騎士》を召喚
第6ターン もみじ5
手札を1枚補充したもみじは《大きな大きな部屋》の《カトブレパス》なら即時召喚ユニットがいなくても《ファイア・ドラゴン》の特殊能力を使えば倒せるのではないと思考をめぐらす、ナンバーの即時召喚が4レベルであってもそうそう防御力が6以上のユニットはいないはず、それならイニシアチブマイナスを持つ《カトブレパス》がいる今がチャンスではないか?《ファイア・ドラゴン》に手をかけて不思議なことに気づいた。なぜ《シー・サーペント》ではなく《カトブレパス》を《大きな大きな部屋》に進軍させたのかと、《シー・サーペント》ほかの4レベルユニットの即時召喚で先攻または同時攻撃で《ファイア・ドラゴン》を倒しやすいはず、《カトブレパス》のほうが圧倒的に不利である。《花咲く旅路》にいる《アクアマリン・スター》に目が行く、進軍させてから《アクアマリン・スター》で攻めてくる?
それはないか、進軍成功した場合《大きな大きな部屋》は破棄され代理地形にするのはわかっているはず、代理地形にされれば2レベルの即時召喚で《アクアマリン・スター》対処できてしまう。そうもう一枚《アクアマリン・スター》を手札に持っている。《カトブレパス》のほうが同時攻撃になりにくいから《シー・サーペント》ではなく《カトブレパス》なんだ。もみじは《ファイア・ドラゴン》の進軍をあきらめナンバーの《大きな大きな部屋》に対峙するように代理地形Bを配置し代理地形Bへ《オーク長槍隊》を、もみじ本陣の《オーク傭兵団》を代理地形Aへ進軍させた。
もみじは普通召喚で代理地形Bに《ガーゴイル》を召喚。
第7ターン ナンバー
「そろそろこちらも動かないと相手の手札が多くなって困ってしまうなぁ、まずは代理地形Bへ《カトブレパス》を進軍させ《ホーリー・エレメンタル》を即時召喚します。クィーンさん即時召喚をどうぞ」
「こちらは《オーク錬金術師団》《オーク歩兵隊》を即時召喚します。」あきらかにもみじパーティの攻撃力不足、しかし、ここは無理に倒す必要はないはずでも守りたい。
もみじ先:《オーク錬金術師団》《オーク長槍隊》《ガーゴイル》《オーク歩兵隊》
ナンバー先:《カトブレパス》《ホーリー・エレメンタル》
イニチアチブダイス もみじ:4 ナンバー:2
「こちらはイニシアチブ対抗なし」
「イニシアチブ対抗します。《オーク錬金術師団》から《ウォークライ》を使用します。」《ウォークライ》により同時攻撃になれば、もみじは《ガーゴイル》《オーク歩兵隊》ナンバーは《ホーリー・エレメンタル》が残りナンバーの進軍は失敗する。
「《ウォークライ》を使用した《オーク錬金術師団》へ《ホーリー・エレメンタル》から《ジャスティス》を使用します。」ナンバーは少し考えてからユニット1体に2点ダメージを与える戦闘スペル《ジャスティス》を使用した。
「《オーク長槍隊》から《ロマンシング・ストーン》を使用して《ジャスティス》を打ち消します。」もみじはここを守るためどうしても同時攻撃にしたかった。
「《ホーリー・エレメンタル》から《ディスペル・マジック》を使用して《ウォークライ》を打ち消します。」
「え?」もみじは一瞬混乱したが、もみじの最後の1枚の手札は《オーク死神部隊「紅」》しかなかったのでどうしようもなかった。
「対抗ありません。」《ウォークライ》が打ち消されてイニシアチブの結果もみじが先攻になった。
「全員で攻撃します。」《オーク歩兵隊》《オーク錬金術師団》《オーク長槍隊》《ガーゴイル》の合計攻撃力8
「攻撃に《カトブレパス》の特殊能力:死の視線を使用します。」
「対抗ありません。」もみじは《ガーゴイル》以外のユニットが死亡してしまった。
「では後攻こちらも攻撃します。」もみじの《ガーゴイル》を倒しナンバーは進軍を成功させる。《花咲く旅路》の《シーサーペント》を《大きな大きな部屋》へナンバー本陣の《髑髏の騎士》を《花咲く旅路》へ進軍させた。
普通召喚でナンバー本陣へ《ファイア・エレメンタル》を召喚。
第8ターン もみじ6
ナンバーの《ホーリー・エレメンタル》が次のターンもみじ本陣へ進軍可能になっている。もみじは《花咲く旅路》左側に《遠く遠く》を配置して《ファイア・ドラゴン》を進軍させ、代理地形Aの《オーク傭兵団》をもみじ本陣へ移動させる。もみじは自軍本陣前をあけて次のターン本陣を守りその後《ファイア・ドラゴン》でナンバー本陣を落とすことにした。第2手札調整で本陣に召喚するか悩んでいた《オーク死神部隊「紅」》を破棄した。
第9ターン ナンバー
「《遠く遠く》へ《花咲く旅路》にいる《アクアマリン・スター》を進軍させます。こちらの即時召喚はありません。クイーンさん即時召喚ありますか?」手札にあるレベル2ユニットが《オーク傭兵団》と《オーク長槍隊》ナンバー側が《アクアマリン・スター》1体しかいないのでできれば同時攻撃で被害を出したくない。しかし、次に来るであろう本陣攻めでも同時攻撃にしたいところ、悩んだあげく《オーク傭兵団》に決めた。
「即時召喚は《オーク傭兵団》を召喚します。」イニシアチブダイスはもみじが先攻となった。ナンバーの対抗は《アクアマリン・スター》の「あの星へ」しかないから、もみじは何も考えず攻撃を宣言しナンバーも対抗で特殊能力「あの星へ」の使用を即答した。もみじの手札には対抗できるカードが《ロマンシングストーン》しかない、対抗をしなくても《オーク傭兵団》はのこるので防衛は成功するが次のターンにナンバー本陣へ進軍できなくなる。もみじ本陣は《オーク騎兵隊》《オーク騎兵隊》《オーク傭兵団》がいる、もしこのターンにナンバーが本陣に進軍してきて攻撃対抗ユニットの《カトブレパス》や《シーサーペント》を即時召喚をしても本陣が落とされることはないはず。もみじは特殊能力「あの星へ」に対抗して《オーク傭兵団》から《ロマンシングストーン》を使用して特殊能力を打ち消した。
「進軍失敗失敗、と言う訳で《ホーリー・エレメンタル》をクイーン本陣へ進軍させて即時召喚《ナンディン》ですクイーンさん即時召喚をどうぞ。」
ナンバーが予想外に本陣に進軍してきた。しかも予想と違うユニットを即時召喚してきた。
「こちらの即時召喚は《オーク長槍隊》です。」
もみじ先:《オーク傭兵団》《オーク騎兵隊》《オーク騎兵隊》《オーク長槍隊》
ナンバー先:《ホーリー・エレメンタル》《ナンディン》
もみじが先攻なら攻撃力12でナンバーのユニットは壊滅、ナンバーが先攻なら攻撃力10でもみじのユニットは壊滅、同時攻撃ならもみじのユニット《オーク騎兵隊》《オーク長槍隊》だけが残る。イニシアチブは《オーク長槍隊》の+1があるのでもみじ有利な状況。イニシアチブダイスの結果もみじが先攻になり攻撃を宣言、ナンバーも対抗無しを宣言して本陣を守れたはずだった。
「こちらのユニットが死んだので《ホーリー・エレメンタル》が《リザレクション》を《ナンディン》に使用します。対抗ありますか?」
「対抗ありません。」後攻の《ナンディン》のディフェンダーによる攻撃力9で攻撃されもみじ本陣が落ちてしまった。もみじは《ロマンシングストーン》を無駄遣いしなかったら本陣は守れた。しかし、第2回全日本選手権当時は弓矢や《鏡蟲》全盛の時代でもあり戦闘スペルに対する知識の少ない人も多かったもみじが《リザレクション》の存在を軽視していても仕方がなかった。
※参考文献 「グループSNEイベントレポート JGC99 モンコレ・サモナー・ファイト」
https://web.archive.org/web/20001028013557/http://www.groupsne.co.jp/htm/htm/new/report/jgc99/jgc99-2-2.htm#2
あとがき
1999年6月と1999年7月を飛ばして先に8月を公開してしまった。6月と7月が書き終わらない