1999年4月


モンスターコレクションパワーアップカードセット「空中庭園の降臨(TC:Terrain Collection)」が発売されて1か月後。

「今年の第2回全日本選手権終わってから富士見書房が公認した大会が開催できるようになるみたいですね。」放課後あかりがにこにこしながら話しかけてきた。
「公認した大会?」あおばは意味が分からずに頭をかしげていた。
「そうですね。今までは公式による全日本選手権やイベントの大会以外にお店が主催して開催する大会、個人やサークルで開催する大会がありました。
そういう公式以外の大会を富士見書房がサポートしていくのが公認大会ということです。」
あかりがネットで収集した情報は今まで主流であったトーナメントからスイスドロー方式になるらしい。今までは大会へ参加するために交通費をかけて会場へ向かっても、トーナメントは1回負ければそこで終わってプレイヤーの負担ばかり大きい。これからは大会参加者に応じて対戦数が決められ、
どんなに負けても決められた対戦数だけ対戦を行うことができるスイスドロー方式が取り入れられる。万年1回戦負けのあかりがにこにこしていたのもたくさん対戦できることを喜んでいたからだ。さらにあおばにもうれしい知らせ「デック点システム」これであのにっくき《鏡蟲》と対戦する可能性が減少、次の店舗大会がすごい楽しみになってきた。

数日後

「小学生!?」つい声がでてしまった。自分の背の低さはおいといて店舗大会の最終戦の相手が背の低い子供だったからだ。
「中学生です!」すぐさま対戦相手から訂正されてしまった。対戦相手にはかわいそうだけど念願の初優勝がかかっている最終戦負けるわけにはいかない。

本来なら8名参加の3回戦、4卓で対戦が行われるはずが最終戦は全勝者2人の卓しかなかった。ほかの参加者達はあおばの初優勝を見ようと2回戦が終わった時には大会を途中棄権したのだった。あかりともみじもあおばの席の後ろであおばの初優勝を願い見守っている。
「私の子豚も初優勝まであと少し手札も揃っているし問題ないわね。」
もみじはあおばの手札に《ウォーター・ウォータードラゴン》をみつけ優勝を確信していた。
「もみじさん、こころの声が駄々洩れですよ。部長のことを子豚だなんて・・・」

あおばの後手で対戦は開始される。さてお子様はどんなユニットを召喚するのかな?
第1ターン
みみが召喚したのは
《バードマン攻撃隊長》《バードマン偵察隊》《ホーク・ウィンド》・・・
あおばから笑みがこぼれる。自分のデックはいつもの《ウォーター・ドラゴン》主体の攻撃対抗デック。バードマンデックといえば先攻攻撃型、相性的にこちらが有利、しかもカス極稀の《ホーク・ウィンド》まで使っているなんて資産的にも困っていそうなデック。さらに自分の手札には2枚の《ウォーター・ドラゴン》

超速攻の先攻チャージデック、まさか《ホーク・ウィンド》までいれているなんて1回戦で対戦したもみじは驚きを隠せなかった。普通に速攻をかけるため長距離飛行ユニットを選択するのであれば《シルバー・ファルコン》《シルバー・イーグル》さらに《ペガサス》が入るぐらいなのに攻撃力もない《ホーク・ウィンド》まで入れていた。たしかに「空中庭園の降臨」により地形を使った戦闘を回避するために長距離飛行の選択はありかもしれない。

第2ターン
あおばは《ウォーター・ドラゴン》《七つの海の王子》を召喚。
手札には《ミラー・イメージ》《タイダルウェイブ》《メイルシュトローム》といい感じに揃っている。
第3ターン
みみは代理地形を張って《ホーク・ウィンド》《ブレイン・イーター》を進軍。それを見たあおばはまるで宇宙人とUFOのようなイラストに吹きそうになる。バードマンが本陣から出てこないのは《ウォーター・ドラゴン》が見えているからだろう。そのまま本陣にいてくれたほうが倒しやすいかも。

「凡才の手か」
みみが第2手札調整をしたときに背後からぽつりと聞こえてきた。
そうこれはあなたに教えてもらった凡才の手、最高の勝利の一手。
第一回戦のもみじさんのオークデック、第二回戦のあかりさんの鏡蟲入り明星弓矢デック、すべて凡才の手で勝利をつかんだ。

第4ターン
あおばも代理地形を配置して《ウォーター・ドラゴン》《七つの海の王子》を進軍させ本陣へ《ウォーター・ドラゴン》《メロウ》を召喚。

第5ターン
みみはすでに勝利を確信していた。
《ホーク・ウィンド》と《ブレイン・イーター》を本陣へ進軍します。
「えっ!なに」突然本陣に進軍されて《ホーク・ウィンド》のカードを確認させてもらった。
「ただのカス極稀じゃなかったのね」
みみは即時召喚で《ゴブリン馬車強盗》と《モーブ》
あおばの手札は《ミラー・イメージ》×2《タイダルウェイブ》《メイルシュトローム》《マーメイド女王親衛隊》《魔力のスクロール》
あおばの即時召喚は《マーメイド女王親衛隊》
みみ:《ホーク・ウィンド》《モーブ》《ゴブリン馬車強盗》《ブレイン・イーター》
あおば:《メロウ》《ウォーター・ドラゴン》《マーメイド女王親衛隊》
あおばの手札は最高にそろっている、先攻・後攻さらには同時攻撃でも本陣は守れそう。《モーブ》とイニシアチブを持ったユニットがいるため、みみの先攻確定。
イニシアチブ決定ダイスを振って最終戦初の戦闘開始。
ダイスはあおば1みみ6
後攻を意識していたあおばは《メイルシュトローム》を準備していた。
しかし、みみから「イニシアチブ対抗します。
《モーブ》の特殊能力でみみのイニシアチブダイスを6へ変更します。」
???
みみのダイスは6なのに6へ変更?
「対抗はありますか?」みみから質問された。
「対抗ないよ」あおばは即答する。
「さらに対抗で《ブレイン・イーター》から《アクエリアス》を使用します。」
水属性のデックでさすがにアクエリアスは危険なカードだ。あおばもさすがにこれには気づいた。
「対抗で《魔力のスクロール》を使用して《アクエリアス》を打ち消します。」
脳筋のあおばは敵軍パーティに《ゴブリン馬車強盗》がいるにも関わらず《魔力のスクロール》を使用してしまう。
《魔力のスクロール》? みみは想定外のカードに一瞬驚いてしまった。
《鏡蟲》環境で《魔力のスクロール》をデックに入れることは稀であったからだ。
きっともみじさんあたりのアドバイスなのだろう。
「対抗で《ゴブリン馬車強盗》が《魔力のスクロール》を打ち消します。」
あおばは切り札を使う。
「対抗で《ウォーター・ドラゴン》が自身に《ミラー・イメージ》を使用します。」
みみがそっと《ブレイン・イーター》を差し出してくる。
「えっ!なにそれ、ずるいそっちだけ戦闘スペル使用できるの?」《鏡蟲》以外に戦闘スペルを使用できなくするユニットがいたなんて・・・
《ブレイン・イーター》この場にいるみみとあかり以外で特殊能力を知っている人はいなかった。

※参考資料「プレモンコレファイト」
https://web.archive.org/web/20001010212207/http://www.groupsne.co.jp/htm/htm/new/report/990418mc/418-1.htm

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