1998年9月

1998年9月
いつものように快適な部室で紅茶を飲みながらお菓子を食べているあおばの姿があった。
「今日は第1回全日本選手権の総括をおこないます。」
もみじが場を仕切ろうとすると
「そうかつ? 新しいお菓子ですかぁ?」
やる気もなく腑抜けながらあおばが聞き直す。
「そうですそうです。」
あおばのこめかみをぐりぐりしながらやさしく答えるもみじの顔は平然としていた。あおばは全日本予選でお店の大会の常連であるモンコレ弱小おっちゃんに負けていらいやる気が出ないのである。
「イタタタ! もみっちゃんそのお菓子はどこだ!」
あおばはもみじの攻撃をものともせずお菓子が気になる。
「お菓子ではありません。冗談も通じないんですから、やる気を出してもらうためにも真実を言っておいたほうがいいですね。あおばさんが言っているおっちゃんはナンバーさんといって実はかなりの上級者です。お店でいつも負けるのもかなり変わったデックを使って実験や練習をなさっているようです。その証拠に帝王さんとモンコレ最強サークルを作ったと聞いています。」
「なんだと、あのおっちゃんそんなにすごいのか、では私が負けたのも仕方ない。」
「では本題にいきましょう。まずは決勝戦で使用されたデックについてです。」
あかりからの説明が入る。
「優勝者のデックは以前私が参考にした天使弓の弓がないユニット多めになっていますね。」
「関東圏で流行りの《星を掴める距離》対策のスフィンクスにさらに《太陽と月の六分儀》まで入れて、儀式対策に《雷が鳴る前に》と多くの低レベルユニットに《アクアマリン・バックラー》と万全。決めては《黒の剣》による本陣陥落勝ち。」
もみじの開設が終わる。
「どんなデックなら勝てるんだ?」
あおばは最初から考えていない。
「儀式デックはきつそうですね。オークデックなら通常のリミット8地形でも2レベル3体・1レベル2体の5体用意できますよね。これならスフィンクスロックもできないから勝てそうですよね。」
「そうでもないですね。スフィンクスロック以外にも《明星に奏でる天使》の効果で防御力が上がるため1レベルの《鏡蟲》でさえ防御力が4になります。チャージなどで攻撃力を上げても1レベルユニットを数体倒すことしかできません。」

優勝:くら    
ユニット・カード (37枚)
《シグナル・レッド》×2
《アクアマリン・バックラー》×2
《ゴブリン馬車強盗》×2
《シュリーカー》×3
《ブルー・シルフ》×1
《モーヴ》×1
《ウィル・オー・ウィスプ》×3
《鏡蟲》×3
《ケルブ》×2
《採魂の女神フレイア》×1
《幸せの白い鳩》×3
《シャイニング・バタフライ》×3
《スフィンクス》×3
《虹の雫の精霊》×3
《明星に奏でる天使》×3
《未来の女神スクルド》×2
アイテム・カード (4枚)
《太陽と月の六分儀》×1
《黒の剣》×3
地形カード (9枚)
《雷が鳴る前に》×3
《星を掴める距離》×3
《魔法陣「湖」》×3


「つぎは準優勝者のデックについてです。」
「戦闘重視の対抗防衛型デックですね。関西圏の流行りで《ノスフェラトゥの軟膏》や《リザレクション》等の防衛型のカードが多く重儀式対策が満載です。」
「やっぱりスフィンクスロックが破れなかったから優勝できなかったんか?」
「そうですね。対戦したこともないデックが相手だったので対策もできなかったのでしょう。」


準優勝:ルル  
ユニット・カード (27枚)
《アクアマリン・バックラー》×2
《ウォーター・ドラゴン》×2
《ゴブリン馬車強盗》×3
《ブルー・シルフ》×2
《現在の女神ベルダンディ》×2
《採魂の女神フレイア》×3
《シャイニング・バタフライ》×2
《虹の雫の精霊》×2
《サキュバス》×3
《髑髏の騎士》×3
《ナイトメア》×3
《ワイト》×3
アイテム・カード (4枚)
《封印の札》×2
《ノスフェラトゥの軟膏》×2
戦闘スペル・カード (7枚)
《ミラー・イメージ》×2
《ウィンド・カッター》×2
《リザレクション》×3
地形カード (9枚)
《雷が鳴る前に》×3
《吹き抜ける風》×2
《星を掴める距離》×1
《魔法陣「湖」》×3


「3位のデックは一度の戦闘で本陣を落とす凶悪なものです。」
「凶悪というわりには3位どまりユニットも少ないし強そうに見えないな。」
「戦闘を一回に集約するから多くのユニットは必要ないのでしょう。
その分いろいろなタイプのデックに対するカードをたくさん入れることができます。」
「いろんなカードを入れても相手のデックによってはいらないカードになるんだよな。」
「そこがこのデックの運用の難しいところです。できる限り早く相手が整う前に本陣を攻めるため、スクルドの能力などを使い早く手札をそろえなければなりません。今回唯一の敗北も本陣戦での同時攻撃によるもの、もちろん同時攻撃対策カードもデックに入っていましたが引くことはできませんでした。」


3位:帝王
ユニット・カード (15枚)
《ブルー・シルフ》×2
《現在の女神ベルダンディ》×3
《シャイニング・バタフライ》×1
《虹の雫の精霊》×2
《未来の女神スクルド》×3
《髑髏の騎士》×2
《ナイトメア》×2
アイテム・カード (12枚)
《キュクレインの矢》×1
《シューティング・スター》×3
《空飛ぶモップ》×2
《テルブレットの矢》×2
《トルクメンの矢》×3
《ブレイズの矢》×1
戦闘スペル・カード (3枚)
《アクエリアス》×2
《ウィーク・ポイント》×1
儀式スペル・カード (10枚)
《ジャガーノート》×1
《スターライト・イクスプロージョン》×1
《ディスペル・レイン》×1
《デーモン・コントラクト》×1
《デーモン・トレード》×1
《ファーマシー》×1
《モラル》×1
《ロケート・オブジェクト》×3
地形カード (10枚)
《十字路にそびえる塔》×2
《ストーン・サークル》×3
《吹き抜ける風》×2
《星を掴める距離》×3


1998年の主流デックタイプ
・先攻型
 オーク(オーク主体のアイテム)
  ファイアドラゴンやファイアジャイアントからウォークライも使う。
 鳥豚(バードン&オーク主体のアイテムデック)
  星を掴める距離からのバードマン部隊の本陣強襲などがある。
・重儀式
 デス・スペルやファイア・ストームなどの儀式スペルでユニットを排除して判定勝ち狙い。
・同時攻撃型
 ユニット数頼りの同時攻撃狙い。 


※参考文献 Groupsne イベントレポート第1回モンスター・コレクションTCG全日本選手権デックリスト
https://web.archive.org/web/20001015122541/http://www.groupsne.co.jp/htm/htm/new/report/jgc-98/mc/jgc98-mcdeck-1.htm

https://web.archive.org/web/20001208080100/http://www.groupsne.co.jp/htm/htm/new/report/jgc-98/mc/jgc98-mcdeck-2.htm

https://web.archive.org/web/20001117061600/http://www.groupsne.co.jp/htm/htm/new/report/jgc-98/mc/jgc98-mcdeck-3.htm

https://web.archive.org/web/20010111005100/http://www.groupsne.co.jp/htm/htm/new/report/jgc-98/mc/jgc98-mcdeck-4.htm

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