いつかは忘れてしまう話
いい感じのタイトルをつけたけど、ただの日記。
とりあえず8月から年末まで。
飽きたら1カ月で終わるかも。
8月1日
ATMでお金を下ろしたらぜんぶ新紙幣で出てきて興奮した。
たぶん今日一日で感情の働きがあったのはこれくらい。
8月2日
常に金欠な友達の「お腹が空いたらお菓子が貰えるから献血に行く」という話に爆笑した。
ちなみにそいつのエピソードトークの中で1番好きなのは、遠距離恋愛をしている彼女から「距離を置きたい」と言われて別れた話だ。
8月3日
サウナが結構好きで、この前サウナハットを買った。ファイターズのロゴが入っていて、マスコットキャラの耳が付いているサウナハットだ。
全然ファイターズファンではないけど、そんな僕が周りの人からは「この人めっちゃファイターズ好きなんだな」って思われると思うと面白い気がして勢いで買った。今思うと何も面白くない。
今日はそんなサウナハットのデビュー戦。
機能性は最高だった。サウナに対するモチベーションも高まって、いつもより長くサウナ室に居られた分しっかり整った。
懸念点は見た目だけ。向かいに座る大学生集団から「耳付きダサくねww」って言われた。
…。
懸念点のほうがギリ勝るので、おすすめの個室サウナとかあれば教えてください。
8月4日
犬にプリンを作ってあげた
8月5日
傘を差せるようになりたい。
ここでいう傘は折りたたみ傘に限った話で、友達と一緒にいて急に雨が降ってきたとき、自分は折りたたみ傘を持っていても、友達が傘を持っていなければ自分も傘を持っていないことにしてしまう。
自分だけ傘をさすのはなんか後ろめたくて、それなら濡れたほうがいいやってなるから。
一瞬自分を友達想いのいい奴かと思ったけど、たぶん違う。単純に自己主張ができないだけだ。
8月6日
一日中YouTubeのつまらない動画を観ていた。
「いつかは忘れてしまう話」というこの投稿は、「いつかは忘れてしまうような一日でも、それが今後の自分をつくっていくのは事実だから、そんな一日も忘れないよう大切にしたい」みたいな気持ちで始めた。
でもこれだけは言える。
今日だけは別に忘れてもいい一日だったかもしれない。
8月7日
塾講師のアルバイトを始めて、今年で4年目になった。
今日、社会の問題を解いていた生徒に、「なにか質問ある?」って聞いたら、「んーーーー、好きな歴史上の人物とかいますか?」って聞かれた。
本当に天然な子の話って、人に話したら作り話かと思われそうだ。
8月8日
募金活動をしている人に言っちゃいけない一言
「バイトしろよ」
8月9日
昨日は何も書くことがなくて思いついたギャグを載せた。これからも書くことがない日はギャグを載せるかもしれない。
というわけで8月9日、
めちゃくちゃ気になる話をしてる奴ら
「(胸ぐらを掴みながら)何笑ってんだよ…お前んとこのインコのせいで、うちの家族は終わったんだぞ…」
8月10日
ずっと晴れていたのに一瞬ものすごい雨が降った。そのときたまたま外に出ていてすごく濡れた。
僕はもう諦めて普通に歩いていたけど、小学生くらいの女の子が濡れないように必死に走っていた。上品そうなワンピースに、リボンをつけたポニーテールの女の子は、天気雨だったからか輝いて見えた。まるで濡れていないかのようだった。
なんかいい小説が書けそう。
濡れることに慣れた僕と、まだ濡れないよう頑張っている女の子。これが大人と子供、将来に対する希望の意識の違いを表すのか。
もしくは自分だけが濡れていて、周りは輝いて見える、これが他人ばかりよく見えてしまい、劣等感に苛まれる主人公(僕)の心情を表すのか。
いい感じの表現ができそう。
タイトルはきっと『雨に濡れない少女』だ。
8月11日
久しぶりに外で一人でお酒を飲もうと思って街に行った。
久しぶりにおしゃれな服を着て、髪もちゃんとセットしたら、自分がすごくかっこよく見えた。
テンションが上がって今日は飲むぞー!と思ったけど、居酒屋で40歳手前の金持ってそうな男が女子大生と飲んだ話を自慢げにしていて嫌な気持ちになったから一杯だけ飲んですぐ家に帰った。
8月12日
1ヶ月に1回はインスタをやめようと決意する日がある。他人と自分を比較して疲れてしまうから。
でもこれ以上人との繋がりが無くなるのはまずいと思って、毎回ギリギリで思いとどまる。
8月13日
地元の代表校の試合日だったからテレビで甲子園を観た。
高校球児たちはもう年下になったはずだけど、未だになぜか年上に見える。
8月14日
今日は地元で地区祭りがあったらしい。
この間もお祭りがあったけど、その日は塾のバイトをしていて花火の音だけが聞こえてきた。いつもは、多い時間帯で15人くらい生徒がいるのに、その日はみんなお祭りに行っていたのか、3人しか生徒が来なかった。
確かに自分も小中学生の頃は毎年欠かさずに行っていた。高校生になってからも当たり前に行くものだと思っていたけど、友達を誘ったらみんなそれぞれの予定があって誰も捕まらなかった。
あの時に感じた「みんな次第に大人になっていく感」ほど寂しいものはない。
8月15日
「犬を飼うと思春期の子どもの幸福度が向上する」という研究結果があるらしい。本当かよと思われるかもしれないけど、僕はこの研究結果を信じて疑わない。
高校1年生の頃から“ブレーブ”という名前の犬を飼っている。高校時代、ブレーブがいなかったら僕は本当にやばかったかもしれない。やばかったというのを分かりやすく言うと、生きることを諦めていたかもしれない。
とにかく友達のいなかった当時の僕にとってブレーブは、唯一と言っていい話し相手だった。
こっちがスマホをいじっていたり、本を読んでいると、おもちゃを持ってきて「これを持って俺と遊べ」と言わんばかりに僕の手におもちゃを押し付けてくるような強引な奴だけど、僕が悩んだり落ち込んでいるときは不思議とおとなしく、ただそばにいてくれて、静かに僕の話を聞いてくれた。ブレーブにだけは悩みでも何でも話すことができて、そのおかげで僕は辛かった日々をやり過ごすことができた。
来年から僕は社会人になって、ブレーブとも離れ離れになる。だから今年中に、犬も泊まれるコテージみたいなところを見つけて、二人で旅行に行けたらなと思っている。
8月16日
気付いたら8月ももう折り返しだ。驚かれるかもしれないけど、8月はバイト先の人を除けばまだ一度も友達と会っていないし、これからも誰かに会う予定はない。ぼっち大学生の夏休みなんてこんなもん。もう4年生だし別に慣れた。
一人でいるのは楽だ。誰も傷つけないし自分も傷つかないから。でも一人でいるより誰かと一緒にいたほうが楽しくて嬉しいことは分かっている。分かっているから辛くなる。
8月17日
ブレーブがうちに来る前、ミントという犬を飼っていた。同じゴールデンレトリバーだ。
今日はお盆の時期だからミントのお墓参りにいった。ブレーブも一緒に。
8月18日
バチェラーのシーズン1を観た。35歳で実業家のバチェラー(男)が25人の女性の中から最後に選んだのは22歳の女子大生だった。
なんともやるせない気持ちになって、そこで7日前の居酒屋で感じた”嫌な気持ち”の正体に気付いた。大人の男たちはもう僕と同い年の子達を一人の女性として見れるんだって実感したのが怖かったんだ。
単純な悔しさみたいなのもある。小学生の頃、マルモのおきてが流行ったとき、鈴木福くんと芦田愛菜ちゃんを見て、初めて自分と同世代の人たちが活躍している姿を目の当たりにしたから、死ぬほど悔しい気持ちになったのを覚えている。
最近気付いたら活躍する有名人は同世代になってきたけど、この悔しさだけは忘れずにこれからも生きていきたい。
8月19日
ブレーブにソーナンスのぬいぐるみを買った。
2ヶ月に1回くらいはぬいぐるみを買ってあげるけど、きまって1日で壊れる。
でもこれが1番喜んでくれるから。
8月20日
高校の頃、自転車屋さんで新手の手口でお金を払わされたことがある。
タイヤがパンクして通学路の途中にあった70過ぎのおじいちゃんがやっている自転車屋さんに入った。パンク修理にどれくらい時間がかかるか分からなかったけど、テスト期間だったから早く帰りたくて、自転車を預ける予定だった。でも店主さんが、「10分もあれば終わるから!」と言うので、終わるのを待つことにした。しかしこの修理は結果として1時間くらいかかった。
まず「道具を取ってくる」と言ったきり10分戻ってこなかった。この時点で約束の時間は過ぎたのに、戻ってくるなり僕の顔を見て「あ、道具忘れた」と言ってまた裏へ戻っていった。じゃあ何しに行ったんだよ。
修理が始まってから、僕は自分が客であることを忘れるくらい「ここ持ち上げて」とかいろいろ手伝わされた。さらにおじさんは修理しながら雑談を始めたけど、どうやら喋ると手が止まるタイプのようで、時間に追われていた僕にとってはすごくタチの悪い相手だった。
結局1時間かかって修理は終わった。こんなことになるなら預ければよかったと後悔しながら帰っている途中、自転車の異変に気付いた。先ほど直してもらったはずの後輪がまたパンクしている。
走り出して5分も経っていなかったから直ってなかったんじゃないかと疑ったし、今すぐ店に戻ったらさすがに無料で直してもらえるよなと思って急いで店に向かった。
店のシャッターは閉まっていた。
散々だ。その日は泣きながら自転車を押して帰った。
翌日、また学校帰りにその自転車屋に立ち寄った。幸いにも同じ店主が出てきたから事情を説明すれば無料で直してもらえると思った。
「昨日ここでパンクの修理をしてもらったんですけど、直ってなかったみたいで…」
「は?昨日?覚えてないなぁ」
この店主はとんでもない畜生だった。パンクが直っていなかったと言われたことに対して不満を抱いたのならまだわかる。でも違かった。この店主は昨日僕がこの店でパンクを直してもらったという事実すら知らないふりをした。
老人の記憶力がどんなものか分からないけど、昨日訪れた客の顔と自転車すら覚えていないものなのか。結局話にならなかったからまたお金を払ってパンクを直してもらった。修理してる途中、前日に聞いたのと同じ雑談を聞かされて、こいつまじかよと思った。
そんな出来事から数年が経った今日、久しぶりにその店の前を通ったけど店はまだ続いていた。店主は結構なおじいちゃんだったからそろそろ店を閉めるかもしれない。でもどうせなら"引退"なんて華々しい形じゃなくて、"潰れた"という形で終わってほしいものだ。
8月21日
田代島という宮城県の石巻にある小さな島に行ってきた。住民よりも猫の数が多くて、「猫の島」とも呼ばれているここは、現実逃避にはもってこいの場所であり、人付き合いを苦手とする僕にとっての安全地帯のようなところだ。
ここに来たのは大学生になってから4回目。
もう慣れているからスマホもカメラも家に置いてきた。ここに来るときは、なんとなくそういうものから離れたくなるときだから。
たくさん歩いて汗をかいて、疲れたら海を見て休んで猫と交流した。
猫は可愛い。
過去に行った時の写真でも載せておこう。
8月22日
1日何も予定がなかった。
朝早く起きて犬と散歩に行ったから眠くなって、15時頃にお昼寝をした。
寝すぎると夜眠れなくなるから理想は1時間だけ寝ることだった。かといってアラームで起きるのも嫌だったから、変な体勢で寝ればちょうど1時間くらいで起きられると思って、枕を高くして首だけ起こして寝た。
起きたら21時だった。首が痛い。それならちゃんと寝ればよかった。
でも間違いなく幸せな1日だったといえる。
8月23日
犬と一緒に、家の近くの山で遊んできた。
小学5年生のとき、この山にタイムカプセルを埋めた。埋めたというより大きい岩と岩の隙間にスッと置いてきた。なぜか誰もスコップを持っていなくて、「ここちょうどいいじゃん」って笑いながら置いてきたのを覚えている。
メンバーは僕を含む男女4人で、当時4人でやっていた交換日記とか、それぞれへの手紙とか、お気に入りのキーホルダーなんかを箱に入れて、20歳になったら取りに来ようと約束をした。
あれほど仲が良かった僕らが、今まったく連絡すらとってないよって言ったら当時の僕は信じるだろうか。というか、僕以外のみんなはそもそもタイムカプセルの存在を覚えているだろうか。たぶん今世ではもう彼らと連絡を取ることはないだろうから、ここで伝えたい。
あのさ、タイムカプセルを置いてきた場所、今は太陽光パネルが設置されてて立ち入り禁止のフェンスに囲まれてるよ。
8月24日
バイト先に向かう途中、夕立にやられた。
でもそのあとすぐ晴れたから、終わりかけのひまわりが水滴をまとって輝いてた。
8月25日
人付き合いをするうえではどうしても、「バカにならなきゃいけない時」というのがある。
僕はたぶん、その時をうまくやり過ごしてこられなかったから、大切な友達も減ってしまったし、人と関わるのが苦手になってしまった。
8月26日
1人で鳥貴族で飲むという夢を叶えてきた。
8月27日
髪を切った。帰ったらお母さんに、「せっかく行ったならもっと切ってもらえばよかったのに、もったいない。」と怒られた。
僕ももう大学生で、もちろん自分のお金で切ってきたのに、まだこんな怒られ方をするとは思わなくてムカついた。
8月28日
いつ撮ったのかすら覚えていないフィルムを現像してきた。たぶん現像し忘れていたというより、撮り終えたとき現像する価値がないと判断したんだろうなと思うような写真ばかりだった。
でも、映える写真なんかより、そんな何気ない日常を残した写真のほうが、自分の過ごした本当の世界を写している気がする。
8月29日
2週間くらい前にインスタをやめた。
理由はいろいろある。1番は、楽しそうにしている人たちを見ると、急に寂しくなったり、人との間に見えない壁があって、自分だけ一人でいるような気になるから。ほかにも、自分は常に人と繋がっていないと、誰かに認められないと、生きていけないのかなと情けなく思えたから、とか。
あとは、やめたことを誰かに気付いてほしいみたいな気持ちもあるかもしれない。
このnoteだって本当は「誰かに理解されたい」「自分のことを知ってもらいたい」その一心で書いている。
結局のところ、自分は他人との関わりを求めているはずなのに、それがうまくできなくて、誰とも本気でぶつかろうとせず、人との繋がりを適当にしてしまうこともあった。
だから、自分が大切だと思っている友達も、その友達にとって自分は大切ではないんじゃないかと不安になって、それに気付く前に自分から人間関係をリセットしようとする癖がついてしまった。
この期に及んで、このnoteを読んだ誰かが自分の悩みに気付いて、助けてくれるんじゃないかなんて期待している自分がいる。いい加減、自分の人生は誰かに期待なんてするものじゃないってことを僕は知ったほうがいい。かといって、一人で生きていけるわけでもない。
まだ遅くない。友達は大切にしよう。
8月30日
犬も入れるカフェに行った。
8月31日
最終日だからといって特別書くことがあるわけではない。なんなら今日は一日中バイトで特に書くことがない。
好きな詩でも載せておこう。大切な友達が教えてくれた『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』という本に出てきた詩だ。
おわりに
8月から始めたこの日記。冒頭でとりあえず年末まで、飽きたら1ヶ月でやめると書いた。ちょうど楽しいまま終われそうなのが1ヶ月だった。
備忘録のつもりが回顧録になる日も多かった。
8月は結局、友達の誰とも遊ぶことはなくて、書くことがない日は犬に助けられた。
この日記を書いたうえでの気付きは、いかに犬が僕の生活に充実をもたらしてくれているかだった。
ブレーブ、いつもありがとう。
載せられなかった彼の写真を載せて、この投稿は終わりにしよう。