コロナパラドックス(コロナの癒し)
今回は新型コロナウイルスの不思議な現象についてのお話。データから見るコロナの癒し効果、コロナパラドックスについてです。なんと、新型コロナが来ると超過死亡を上がるのではなく、下がるのです。このコロナの癒し効果について迫ってみます。
コロナパラドックス(コロナの癒し)とは?
2020年初頭、新型コロナウイルスが日本に入って来て世間を騒がせました。そのウイルスは当初、脅威のウイルスだと思われていました。しかし、超過死亡数を見ると、増えているのではなく、逆に減少しているのです。この逆説的な現象は何なのでしょうか。
その部分がこれです。
不思議ですよね?
あれほど怖いと言われたウイルスなのに、超過死亡数は減少・・・。
とてもワンダーです・・・。
超過死亡とは、平年と比べて死者数の増減を知るための指標であり、WHOが推奨している最も信頼できる指標です。この超過死亡数が、コロナが入ってきた時、減少しているのです。
風邪の効用説
まず、当然のことながら、コロナウイルス自体に癒し効果はないと思います。昭和期の有名な治療家・野口晴哉は『風邪の効用』という本を書きましたが、こうしたコロナウイルス健康法はあるのでしょうか?
データを見ます。
これは新型コロナ以外の死因による超過死亡数です。で、やはり2021年初頭に超過死亡数が減少していますね。ですから、コロナウイルス健康法説は却下となります。
交通事故減少説
私が最初に思いついたのは、交通事故が減ったからかな?と思いました。コロナの時期に交通量が減りましたよね。しかし、それなら緊急事態宣言時の方が更に減っていると思います。ですから、コロナパラドックの交通事故説は却下されます。
ちなみに国立感染症研究所も解析をしているようですが、よくわかっていないのが現状ですが、警視庁のデータから、交通事故と自殺は減っていないとしています。ですから、交通事故減少説と自殺減少説は却下となります。その記載が以下となりますのでご覧ください。
リモート説
コロナが入ってくると、みんなリモートになりましたよね。で、電車通勤がなくなり、自宅勤務が増えたり、会社が休みになったりと。だから、それが癒しになったのかな、とも思われます。
この通勤時の満員電車はとても健康に悪いです。人間にはパーソナルスペースというのがあり(脳の中にある自分の空間みたいなものです)、そこに侵入されるととても不快です。満員電車にいるとパーソナルスペースに侵入されまくりですよね。で、その時の唾液を採取するとコルチゾールやアドレナリンが増加しているという研究報告もあります。そうすると、会社についた頃にはクタクタになりますが、そこで更に気合を入れて仕事をするものですから、もう大変ですよね。
しかし、これもやはり超過死亡数が減少するなら緊急事態宣言時になるかなと思われます。ですから、リモートワーク説も却下になります。
ヘルスクライシス説
私が今のところ、これかな?と思うのは、ヘルスクライシス説(健康危機説)です。
ヘルスクライシス説とは、普段の健康に危機感を持つと、健康に配慮するため、人は健康になると言う説です。病気になりたくないとする警戒感・危機感が健康効果を生んでいるという考え方です。そうした心理的要因がコロナパラドックス(コロナの癒し)を生んだのではないかと見ています。
つまり、凶悪なウイルスが来た〜!と思うことで、自分の健康が脅かされ、警戒することで、普段よりも健康に気を使おうとするのが要因ではないか、と思うのです。
病院が消滅すると健康になる?
例えば、財政破綻した夕張市で病院が消滅すると、人々は危機感を持って自分の健康をマネジメントするようになりますので、病気が減り、病死が減るという現象があります。これは海外でも報告されています。
夕張市立診療所の元所長、森田洋之医師は「日本人の主な死因であるガン、心疾患、肺炎の死亡率について、女性のガンを除きすべて破綻後のほうが低くなっている」と指摘しています。
出典:プレジデントオンライン
「病気になっても大丈夫」という安心が病気にさせており、「病気になったらおしまい」という危機感が健康維持につながっているのではないでしょうか。
医療費が高いと健康になる?
アメリカでは、医療費が高いので病気になったら破産する、くらいのストレスがかかるため、その危機感が病気を減らしているのかもしれません。以下はアメリカのガンの推移です。
出典:がんメディカルサービス
この記事では、「アメリカなどでは、3大治療から免疫や遺伝子医療などの代替療法などにシフトしつつあり、年間数千人単位でがんの死亡者数が減ってきています。」と書かれていますが、「病気になったらおしまい」という危機感、健康への配慮という心理的因子もあるのではないかなと思います。
情報の敏感さが関係?
2020年1月の超過死亡のデータですが、全ての県を確認してみました。すると、全ての県において超過死亡数が減少しているという驚くべきデータが確認できます。特に超過死亡数の減少が多いのが東京です。
↓大阪も減少。
↓福岡も結構、減少が確認できます。
福岡の近くの県を見ます。
↓まず佐賀県。超過死亡の減少は一カ所のみ。
↓次に熊本県。ここも一カ所のみ。
↓大分県も一カ所のみ。
↓宮崎県も一カ所のみ。
↓唯一、超過死亡数の減少が確認されなかったのが沖縄です。
もし新型コロナが凶悪なウイルスなら、人口の多い都心部が集団感染して死者数が多くなると思うのですが、事実は逆です。都心部の方が超過死亡数は減少している、つまり、都心部の方がコロナパラドックスは起こりやすいと言えます。これは何を意味しているのでしょうか?
「怖いウイルスが来た!」と健康に危機を感じると健康になる、というヘルスクライシス仮説から見ると、こうした情報に敏感な東京都などの都心部の人の方が警戒心が強くなり、健康に配慮するようになり、それが超過死亡数を下げているのではないか、と考えられるのです。
結論
人間は、未知なるものを恐れます。それが「凶悪なウイルスだ!」と言われれば言われるほど、強く警戒します。しかし、実際は超過死亡数に影響を与える程の強いウイルスではありませんでした。公式は以下のようになります。
ウイルスの強さ ー 警戒感の強さ(健康配慮) = 超過死亡数
もしウイルスが強ければ、警戒感も強くなり、そのウイルスが実際に凶悪で、警戒し健康に配慮しても追いつかない場合、超過死亡数は増えます。しかし、ウイルスが思ったよりも弱い場合、超過死亡数は減少します。今回は超過死亡が減少したので、ウイルスは弱く、警戒感が強すぎたと見るべきでしょう。
こうした健康への危機感からの健康への配慮が「コロナの癒し」という「コロナパラドックス」を生んでいるのではないか、というのが私の個人的な考えです。
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