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大型カンファレンス at Will Work 崖っぷちからの大成功?!〜運営での苦労とそこで得られたこと〜

今回は、先日書いた at Will Work を設立した背景に関する記事の続きです。

2016年の年始。
藤本あゆみさんに出会ったことがきっかけで、一般社団法人 at Will Work を共同で設立することを決め、取り組み内容についての議論が始まりました。

働き方の選択肢を増やすことを目的に自分たちがやるべきことは何だろう?
そんな話をする中で大きな取り組みの1つとして、1年に1度の大型カンファレンスの開催を決めました。

今でこそ、大型のカンファレンスもよく開催されるようになりましたが、当時の日本においてはカンファレンスというもの自体があまり一般的ではありませんでした。

国際展示場などで開催される展示会イベントはありましたが、終日、多数のパネルセッションが同時に進行するカンファレンスは、まだ珍しかったのですね。

日本においては、経営者やリーダー層が対象の「G1サミット」や「IVS」と言ったカンファレンスがこの少し前から開催されていて、一般のビジネスパーソン向けにはSansan 社が 「SIP(Sansan Innovation Project)」というカンファレンスを始めていたくらいだったと思います(第1回 2016年開催)。

世の中に働き方の選択肢を広げるという大義のため「働き方を考えるカンファレンス」と題して、複数のテーマで専門家や実践者のパネルセッションを行うことを決め、怒涛の準備が始まりました。

ここからは、当時、大型カンファレンスの運営に一切関わったことのなかった私にとって、先の見えない不安との闘いの日々でした。

カンファレンスには多数の関係者がおり、各所と適切にやりとりをしながら、未確定情報を含むあらゆるタスクを同時並行で進めなくてはなりません。コンセプトメイキング、セッション内容の決定、登壇者選定、プロジェクト進行管理、当日の運営オペレーション、収支計画と、決めなければいけないことは山ほどありましたが、私は、主として運営に関わるロジスティクスと収支の管理の担当になりました。

中でも、一番の苦労は、やはりお金のやりくりでした。
(何ごとにおいてもそうかもしれないですね)

動き始めて早い段階で「これはとても自分たちだけで運営するのは難しい...」と気付き、at Will Work の設立以来、現在もお付き合い頂いてるホットスケープ社に相談し、運営準備や諸経費の見積方法についてアドバイスを頂きました。その結果、カンファレンスを開催するのに、なんと約3000万円がかかることがわかりました。

当時のストリートスマートの規模も今よりもずっと小さく、その年の利益見込みがカンファレンスにかかる金額より小さいくらいの頃でした。会社のメンバーが1年間努力して積み上げた利益をたった1日で吹き飛ばしてしまう...

弊社専務取締役でストリートスマートの事業部門を統括してる森田さんとの会議で、この事実を伝えた時に流れた重たい空気は今でも忘れられません。

今の私であれば「腹括れよ!」と思えるかもしれませんが笑、うまくいく保証もなく、多大なプレッシャーの中で、とてもそうは思えませんでした。でも、自分で言い出したことですし、とにかくできることをやるしかありません。

考えられる収入源は2つ。
1つは、カンファレンスの参加チケットの収入。
もう1つは、スポンサーとなる企業からの協賛金です。

収益化が見えないままでしたが、登壇候補者の方へ登壇の依頼を開始していきました。

実はこのカンファレンス開催にあたって最初に登壇の承諾を受けて頂いたのは、当時、経済産業省の大臣を務められておられた世耕 弘成さんでした。

at Will Work を創設するにあたり顧問として相談をさせて頂いていた小口日出彦さんのご縁で、設立後すぐに世耕 弘成さんに自分たちの取り組みについてプレゼンテーションする機会を頂きました。

まだカンファレンスの内容もほとんど固まっていない時で、おそらく「このままで大丈夫かな?」と思われていたのではないかと思いますが、「応援するよ!」と激励の言葉を頂き、この時はとても嬉しかった反面、くれぐれもこのような機会をくださった小口さんの信頼を裏切ってはなるまいと背筋が伸びる思いでした。

その後、世耕 弘成さんをはじめ、多数の方がカンファレンスへの登壇に快諾くださり、最終的には54名の登壇者が決まりました。準備も進み、カンファレンス開催の実現性は日に日に高まりましたが、お金の問題は以前、先の見えないままでした。

さらには、初めて開催するイベントということで認知も全くと言っていいほどなかったため、集客も先が見えない状況でした。

カンファレンスの開催は、2017年2月。
刻々とその日が近づく中、ようやくカンファレンスのサイトがオープンしたのが、2016年12月。その時点で、協賛企業は0社。参加予定者は数名という状況でした。

無我夢中にカンファレンス開催に向けて走っていましたが、この頃は精神的にも余裕がなく、無人でガラガラのカンファレンス中にホールに1人立っているという夢を何度も見ては目を覚ましました。

藤本あゆみさんが企画や全体設計と登壇のお願い、集客や運営は私ともう1人の理事の猪熊真理子さんとが共同で進めていたのですが、12月に新しく日比谷尚武さんを紹介いただきました。

日比谷さんは当時、Sansan社 のエバンジェリストとして働かれてましたが、ちょうど現在のように様々な社外活動を広げようとされているタイミングで、日比谷さんにも at Will Work に理事として参画頂くことになりました。

「最初に話を聞いた時、あとはカンファレンス開催するだけって感じだったけど、入ってみたら決まってないことだらけでやばかった」
と日比谷さんは笑いながら当時の事をおっしゃいますが、まさにその通りでした。

その後、年末ギリギリの12月27日にパーソル社(当時はインテリジェンス)の木下学さんと三石原士さんに協賛のご提案させて頂き、年始明け早々に木下さんに協賛決定の連絡を頂きました。

まだ実績もない私たちでしたが、その思いに共鳴頂き、「応援するよ!」と言って協賛して頂いたことは本当に嬉しく感謝してもしきれません。カンファレンスの会場を貸して頂いた森ビル社やその他14社の企業の協賛が集まり、まだ赤字見込ではあるものの、何とか許容の範囲になったことで1月以降は理事全員で集客に力を注いでいきました。

やはり初回のカンファレンスは実績がなく認知もないため、集客にも苦労しました。
開催の3週間前の時点で、参加予定者はわずか30名ほど...。

550席があるホールに30名の参加者で、数々の著名な方々に登壇頂くことを想像すると、毎日、息をしている心地がしませんでした...

素晴らしい登壇者の方々が決まっていたし、企画内容には自信があったので、理事5名の知り合いに地道に声をかけ続け、また、日比谷さんの繋がりから日経新聞社とメディアスポンサーでの集客連携がうまくいったことがきっかけで、ようやく最後の3週間で一気に申込数が増え、最終630名に参加を頂く大盛況のカンファレンスとなりました。

今でも当日の様子は目に浮かびますが、運営としてセッションを見ながら何度も涙しました。カンファレンスが終わって無事に終わった時の感動は心に深く刻まれてます。
(前日も、ストリートスマートのメンバー総出で、夜の12時を過ぎるまで配布資料の封入作業してくれてましたね笑)

その後も限られたリソースの中で大きなカンファレンスやアワードなどの活動を5年間継続するために、お金のやりくりが非常に大変でしたが、継続できたのは私たちの取り組みに共感頂き、ずっと応援頂いた方々のおかげです。ここで名前を上げさせて頂いた方以外にも本当にたくさんの企業や個人の方に応援を続けてもらって、at Will Work の働き方の選択肢を増やすための5年間にわたるプロジェクト活動は無事に終了しました。

改めまして、5年間の活動に関わって頂いた皆様には本当に感謝しています。
自分1人でできることが限られていて、たくさんの方々のおかげでいろんな事が実現できている。その事をこの活動を通じて、これまで以上に感じるようになりました。

日々の生活の中で当たり前になってる裏側には、様々な努力の積み重ねがあり、そこに深い感謝を持って生きていくことが大切だと思っています。だからこそ、社会や関わる人に少しでも貢献すべく努力を続けていこうと考えています。

最後に..
at Will Work の1回目のカンファレンス後、理事で反省会をしていて盛り上がったことが1つありました。

それは、カンファレンスのモチーフであるルービックキューブのデザイン。
6面に小さなキューブが54個入っているんですが、1年目のカンファレンスの登壇者が偶然にも54名でした。

これに気づいたとき、理事全員が思わず大声を上げて叫んだのですが、この偶然の出来事で、私は必ずこの活動をやり遂げることができると確信したのでした。(ほんまかい!?笑)

本当に奇跡的な理事や事務局のチームだったと思います。

ちなみに、カンファレンス運営に関するより詳細のノウハウをまとめたものも、at Will Work のサイトに公開していますので、関心がある方はこちらからどうぞ。

at Will Work 活動振り返り&運営ノウハウ共有シリーズレポートvol.1~Vol.4

この活動がきっかけになり、現在は人的資本経営推進協会が新しくスタートしました。
その取り組みがどう始まったのかについても、別の記事で書きたいと思います。


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