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【社会人/博士/体験記】第3回「なんだか自分をダマしているみたいですね」
こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!
このマガジンは、
働きながら、「博士後期課程="社会人"博士」
を目指す体験談です。
前回の記事はこちら ↓↓↓
1つの記事あたり、だいたい5分で読めますので、お気軽にスクロールしてみてください!
何を研究するんだろう?
家族からの後押しもあり、「博士号」を目指そうと鳩が心を決めたのは、
2020年の年の瀬でした。
しかし、賢明なる読者のみなさんはお気づきかもしれません……。
(おいおい、この鳩、博士号を取ることが自己目的化してねーか?)
そうなのです。
「博士号をとるぞ!」
というだけで、得体の知れない奇妙な満足感を味わっているだけではダメなのです!
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これまで私は、
「ふーん、おもしろそうじゃん」
という心に任せるまま、行き当たりばったりの人生を送ってきました。
そうやって、心の中のリトル井之頭五郎に耳を傾けるのはいいのですが、
肝心の「何を研究したいのか」「研究して何を得たいのか」が見えてこないことには話になりません。
とはいえ、鳩にも興味のある分野はありました。
それは、自分が担当している業務そのものです。
その頃、鳩の会社では、
「会社内のマネジメントシステムを再構築しよう」
という動きがあり、鳩が所属している部署は組織改正を控えておりました。
そして、
「どんなマネジメントシステムにするのか」
という姿は決まっておらず、
「再構築後の青写真を含めて、改正後の組織がいちから検討する」
ということになっていました。
改正後の組織に配属され、
プロジェクトチームに所属できれば、
日々の活動そのものと研究と結び付ければ、
おもしろい成果をあげられるのでは。
これはひょっとして……ひょっとするかも……。
まずは比べてみてください
さて、年が明け、2021年。
私を勧誘してくれたX先生に改めてお話をすべく、コンタクトをとります。
コロナ禍の緊急事態宣言の影響もあって、なかなかお会いできず、
気持ちが落ち着かなかったことを覚えています。
ようやく数か月後、X先生の勤務先の大学近くで、ごはんをご一緒することになりました。
「X先生のお誘いのこと、あれからいろいろ考えてまして……」
「働きながら、博士号をとる、ということですね、鳩さん」
「ちょうど、私がいま勤めている部署で、組織改正が控えており……。
会社内のマネジメントシステムを再構築しようという試みがあるんです。
しかし、いち企業の事例研究なんて、みんな興味ありますかね?」
「いやいや、おもしろいじゃないですか。
私が鳩さんだったら、絶対、それをテーマに論文を書きますよ」
X先生の後押し。
……。
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勝利を確信した鳩には、得体の知れない奇妙な満足感。
それからは、ややリラックスした気持ちで会話ができました。
X先生に聞くところによると、
いわゆる理系の博士号に比べて、
文系の博士号というのは、なかなか授与されない傾向にあったそうです。
「単位取得満期退学となって、学位が授与されないことが多かったんです。
特に法学者なんかは、
『研究者として業績を積んでから授与してやる』
というような傾向にありましてね」
しかし、近年は、文科省が博士を増やそうとする傾向にあるので、
「狙い目」だというのです。
これはもう、完全にX先生のもとへ弟子入りする流れがきているな……と思いながら、鳩はX先生へ、これでもかとビールを注ぎに注いでおりました。
そんなとき、X先生から、意外な言葉が。
「まあ、鳩さん。まずは比べてみてください」
……?
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家電量販店みたいなことを言い始めるX先生。
他校より1円でも学費が高い場合は、お申しつけしてもいいのでしょうか。
「鳩さん、まだまだ時間はあります。
まずはいろいろな大学院を比べてみてください。
その上で、私の研究室にお越しいただけるようでしたら、またお声がけしていただければと思いますので……」
そうなのです。
思えば、X先生が強引な勧誘をしてきたことは、一度たりともありませんでした。
そうか。自分は比べるべきなのか……。
道筋が決まったようなところで、
するっと肩透かしにあう。
これぞ、得体の知れない感じ……。
いかがでしたか?
しかし、博士号を取るならどんな学校があるのか、気になりますよね。
そこで次回は、ビジネスパーソンが行くべき大学院5つをご紹介……
なんてことはしません!
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このマガジンはそういうまとめサイトのようなnoteではないのです!
このnoteの文末に「いかがでしたか?」というコメントが出ることは未来永劫ありません。
ええ、そりゃあ、多少は調べましたよ。
しかし、私の研究領域がマイナーなのもあって、
(ゆえに、公表すると容易に特定されそうなので、
このnoteでも言及できないのですが……)
専門とされる教授が近所でなかなか見つかりません。
「行きたい先が近所かどうか」
というのは、しょうもない理由のようで、
なかなか重要だと鳩は思っています。
ビジネススクールを選ぶときも、
「近いから」
という流川楓方式を採用したぐらいです。
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ただでさえ忙しくなるのに、
余計なところでストレスを感じたくないのです。
そもそも、いわゆる”社会人”で、博士後期課程へ進学するにあたり、
「信頼できる先生を見つける」
というのが、まずもって一番難しい関門です。
普通であれば、
・自分が無理なく指導してもらえる条件の先生を探す
↓
・コンタクトを取る
↓
・先生にある程度気に入ってもらう
というステップが必要です。
大学院の入試準備にあたってのコミュニケーションや、
入学してからの指導も考えれば、
「ある程度相性が合い、
自分の研究したい領域の知見があり、
相手に迷惑をかけすぎない程度で通学できる」
というのは重要な必要条件であり、
それを当初にクリアしているというのは、十分すぎると思っています。
そもそも、
「信頼できるX先生の勧誘だからこそ、
博士号について本気出して考えてみた」
わけです。
だから私は!
他校のことを調べなくてもいいんです!
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いやいや、そんなことはない、そんなことは……。
そう思いつつも、X先生からのアドバイスを何となく無碍にしているようでもあり、というのは正直なところ……。
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さて、2か月後。
ここで、組織改正後のプロジェクトへの配属が決まります。
全く異なる部署へ配属、となっては、
「日々の業務の課題解決と研究を結びつける」
という大前提が崩れ去るところだったので、
この采配はありがたかったです。
X先生へご報告をするとともに、
ぜひX先生のもとで学びたい旨をお伝えすると、
X先生は温かく迎えてくれたので、ほっと一安心する鳩なのでした。
さて、次回は、
「大学院へ通学することを会社に話すべきか」
について、つらつら書いてみました。↓↓↓
お楽しみに。
to be continued...
参考資料
・挿入マンガ①③・タイトル:久住昌之(原作)谷口ジロー(作画)『孤独のグルメ』(扶桑社)
・挿入マンガ②:井上雄彦『SLAM DUNK』(集英社)