【感想】『解体屋ゲン』で学ぶゲンさんの生き方
こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!
マガジン『本を読んだら鳩も立つ』での本のご紹介です。
前回の記事はこちらです。↓↓↓
このマガジンで、今回は初めて、マンガを取り上げます。
その題材は……『解体屋ゲン』です!
なお、「解体屋」と書いて「こわしや」と読みます。
なんとこのマンガ、2021年11月現在で、既に80冊以上が刊行されています。
いやいや、とはいえ……
古臭い個人の散髪屋の棚に並んでそうなマンガを紹介されてもねえ……
と、思った、スーパーエリートビジネスパーソンのそこのあなた。
なんとこのマンガから、ビジネスに大切なエッセンスがたっぷり学べるのです!
1つの記事あたり、だいたい5分で読めますので、お気軽にスクロールしてみてください!
『解体屋ゲン』とは
さて、『解体屋ゲン』とは、いったいどんなマンガなのでしょうか。
孫請け解体業者「朝倉工務店」の社長・ゲンこと朝倉巌は、
大手ゼネコン「三友重機リース」社員・大月慶子が持ち込んだ爆破解体の仕事をきっかけに、
世界を股にかけて活躍していた爆破解体技師としての情熱を取り戻し、
彼女からの「三友グループ」への参加の誘いを請け、
爆破解体会社「三友爆破株式会社」を設立する。
Wikipedia「解体屋ゲン」より(2021年11月28日閲覧)
その、世界を股にかける爆破解体技師の主人公・ゲンさんは、
こんな感じの人です。
どう見てもただの現場監督です。
ゲンさんは、凄腕の爆破解体の技術を持っているのですが、
あらゆる現場にこの格好で現れ、いつも自ら現場で工事しています。
そのため、実際、作中でも、
えっ!? あなた、社長なんですか!?
というくだりが頻出します。
さて、そんなゲンさんは常に、大企業や社会悪と戦い続けています。
このマンガを読み始めた当初は、どことなく、
『スーパーくいしん坊』
の面影を感じておりました。
ただ、スーパーくいしん坊のような、
「ハープの弦でイカを切断して、いっぺんに大量の握りずしを作る」
というような展開はありません。
では、ゲンさんがどのような問題解決をしているのかを見てみましょう。
ヒデやっちまえ!
ゲンさんが最高潮の怒りに駆られたときの解決方法は、主に2つです。
1つ目は、
悪党のいる事務所にカチコミをかけて、テーブルを破壊する
という手法です。
突然、熊のような大男がやってきて、目の前で机をハンマーでたたき壊す、
という技を食らうと、たいていの悪党は縮み上がります。
問題解決の2つ目の手法は、
相手の敷地を爆破してしまう
というものです。
もちろん、ただ破壊したり爆破したりしているだけだと、
刑期が何年あっても足りません。
相手の悪行の裏どりをした上での爆破なので、ご安心ください。
インテリ・ゲンさん
さて、これだけのご紹介だと、
行動力があるだけの脳筋おじさん
に映ってしまうかもしれません。
しかし、冒頭に紹介したように、ゲンさんはもともと、
世界を股にかけて活躍していた爆破解体技師であり、
明晰な頭脳を持っているという事実をお示するために、
あるエピソードをご紹介しましょう。
爆破解体のセットをしたビルのてっぺんに、自殺志願者の男が昇ってしまいます。
飛び降りようとした男を片手で捕まえたゲンさんは、
そこからもう片方の手で無線を手に取り、
なんと、「このままビルを爆破しろ」と指示します。
誰もが死を覚悟しての行動かと思いますが、
爆発のさなか、なんとゲンさんは瞬時に自由落下速度の計算を始めます。
この頭脳明晰ぶり、
インテリゲンチャならぬ、インテリ・ゲンさん、といったところでしょう。
さて、ここまででも十分に、ゲンさんの凄さが伝わったかと思います。
作中のゲンさんの活躍をさらにお伝えすると、
通常の重機を使った民家の解体や爆破解体だけではなく、
建築物の緑化事業にも多角化していきます。
また、そのリーダーシップを買われて、商店街や地域の町おこしにも参加します。
さらには、海外の油田基地で発生した火災事故の消火に向かったり……
スーパーゼネコンの社外取締役に就任したりします。
ちなみに、社外取締役就任を阻止しようとした、武闘家社員たちには、
就任早々、頭突きで報復しています。
ゲンさんからの学び
さて、ここからは、そんなゲンさんの言動から学べるポイントを抜粋していきます。
○リスクマネジメント
みなさんは「リスクマネジメント」と言われると、
どのようなイメージを持たれるでしょうか。
どのようなリスクが発生するかを予測し、
リスク低減の手段を事前に取っておくことで、
リスクを回避する
というような印象があるかもしれません。
しかし、実は、リスクマネジメントには、
「リターンを得られるよう、あえてリスクをとる」
という「攻めの姿勢」もまた、重要なポイントであると説かれています。
さて、ここまで見てもらった描写からもわかるように、
ゲンさんは、生粋のリスクテイカーです。
ときには、リスクを背負い込む姿勢が、企業にも個人にも求められる、というわけですね。
○クライシスマネジメント
「事前のリスク分析」をしていても、
危機、すなわちクライシスが発生するときもあります。
世の企業の多くは、過去の失敗から学習し、安全対策をとっています。
それでも「ゼロリスク」というのはありえない、というわけですね。
だからこそ、クライシスが発生したときのトレーニングが必要です。
さて、クライシスにはどのような心構えで対応すればよいのでしょうか。
ここで紹介された、
・事実を隠さない
・常に冷静に対処する
・専門性を持つ社員に権限移譲する
・社員は、連携を密にする
というのは、工事現場に限らず、
個人情報漏えいなどのクライシスにおいても、重要なポイントです。
○自律とティール組織
ゲンさんの職場にはしばしば、
ゼネコンの社員や役員が研修をしにやってきます。
現場の社員が、ゲンさんの指示無しに、自分たちで考えて行動している様子を見て、研修にきたゼネコンの役員たちは驚きます。
これはまさに、「ティール組織」だな、と鳩は思いました。
ティール組織とは、簡単に言うと、
上司が、部下の業務管理をしなくても、メンバーが主体的に行動する組織です。
ティール組織について学びたい人は、
600P近い当初を読むより先に、
まずは『解体屋ゲン』80冊を読破しましょう。
○大企業への批判
最後に、ゲンさんの大企業への「喝」をご紹介します。
孫請け解体業者として生きてきたゲンさんは、これまで、元請け業者からの様々な圧力にさらされてきました。
それだけあって、大企業への反骨精神にあふれています。
信念に沿って行動し、正面切って反発するため、
ゲンさんは、しばしば、大企業の社員から痛めつけられます。
それでも、ゲンさんの反骨が止むことはありません。
でも、あくまで、マンガの世界の話だしな……
と、遠い目をする大企業の人たちは、
ぜひ、最後のこの1枚のコマをご覧ください。
このコマを見たとき、
ふと、日々の自分の仕事について、立ち止まった鳩なのでした。
こんな一言で、自分をシンプルに表せられる人間になりたいものですね。
さて、次回は、『観察力の鍛え方』を見ていきます。
お楽しみに。
to be continued...
参考資料
・挿入マンガ①:星野茂樹(原作)、石井さだよし(作画)『解体屋ゲン』(芳文社)
・挿入マンガ②:牛次郎(原作)、ビッグ錠(作画)『スーパーくいしん坊』(講談社)
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