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チームの凝縮性

対馬トラッククラブの林田章紀です。

先週の2月1日(土)に長崎県高校新人駅伝に対馬高校駅伝競走部として、出場をしてきた。林田が対馬高校に関わり始めて2回目の駅伝シーズンである。これまでの駅伝の結果は以下である。

202311月長崎県高校駅伝男子29
20242月長崎県高校新人駅伝男子15
202411月長崎県高校駅伝男子22

県駅伝と新人駅伝で順位が大きく違う3つの理由

①参加チーム数

県駅伝に対して新人駅伝はエントリーが少ないため上位にいきやすい。

②区間距離と区間人数

県駅伝は10km×1、約8km×2、5km×2、3km×2の7区間に対して新人駅伝は8km×1、5km×2、3km×2の6区間である。長距離部員が少ない対馬高校では県駅伝よりも新人駅伝の方が戦いやすい。

③他の部活動からの助っ人協力

県駅伝は陸上部長距離は3名でその他の区間は短距離が走らなければいけない。しかしながら、新人駅伝は他の部活動で長距離適性がある選手が走ることができる。以上の点から対馬高校は新人駅伝の方が部がある大会である。

対馬高校で臨む駅伝大会は「オール対高」で戦うチームづくりを目指している。駅伝大会を通じて、部活動やクラス、学年の垣根を越えて一体感を作ることができれば対馬高校は盛り上がり、対馬高校の盛り上がりが対馬に良いニュースを届けることができる。良いニュースが届けば、対馬の活力につながると考える。そんな取り組みに繋がっていけば非常に有意義である。

駅伝に向かうためのテーマ

2025年の新人駅伝のテーマは「チームの凝縮性」である。

「凝縮性(ぎょうしゅくせい)」 とは、複数の要素が密接に集まり、一体化している状態やその度合いを指す言葉です。一般的には、物理的・抽象的な対象の両方に使われます。

簡単に言えば、強いまとまりを作ることである。今回は陸上部以外に、バスケ部、野球部、サッカー部、テニス部、バレー部など参加して合計6部活動から選手を集めた。

駅伝というのは、一人ひとりが走る個人競技×人数ではなく、全員が襷をつなぐこと成立するチームスポーツだと認識している。つまり、普段違う部活動で活動している個々人の強みが活かせるようにチームを作らなければいけない。しかもそれを短期間に行う必要がある。意識的に取り組んだことは以下である。

①陸上部によるリーダーシップ

オール対高と言えども、駅伝というのは陸上部がリーダーシップを発揮して進めるべきだと考えている。普段関わりが少ない部員とコミュニケーションをはかり、メンバーのモチベーションを向上させること、短期間の中でも信頼関係を構築できるように努めることが大切。例えば、トレーニングをする上でのグルーピングや前向きな声掛けなどを積極的に行うように促し、普段よりも意識的に活動ができていたように感じた。

②選手たちによる区間決め

昨年はシンプルに走力を元にオーダーを組みことをしていたが、今回は指導者側がメンバーを決めることをしなかった。あくまでもチームの凝縮性を高めるために、どういう形でオーダーを決めて本番当日を迎えるかを大切した。

駅伝というのは個々人の走力が記録として目に目える分、レギュラーと非レギュラーの線引きが明確になりやすい。そのため非レギュラーは元々「走らないだろうな」という気持ちを抱くことが多く、モチベーションを保つことができない。結果ができるタイミングというのはチーム内のレベルが均衡することによって、誰が選ばれることがわからないために良い意味の競争生じていることが多い。

今回オーダーを決めるにあたっては、必ず「自分を配置する」ことを前提として、駅伝を他人事にせず自分ごととして捉えさせて、その意見を個々人に出させた上でに話をして決定するという方式をとった。そうすることによって、チーム内で駅伝を他人事にすることなく、また他メンバーの特長を他者評価という形で理解してオーダーを決めることができたと思う。また、オーダーに入らなかったメンバーは前日駅伝の最短距離をタイムトライアルすることにした。そうすることで、コースの試走ができ、メンバーにアドバイスrができるし、好タイムを出せばメンバー入れ替えという可能性もつなぐことができる。

まさに男子は前日のタイムトライアルによって、2名のオーダーを変更することになった。

③記録目標と行動目標の設定

駅伝のオーダーを決めたら、各個人の区間記録の目標を設定する。それを全部足したタイムがチームとしての目標になるだろう。そういう意味では一人ひとりが各区間を責任を持って走る必要がある。設定した目標記録よりも早く走ることができれば、チームを楽にすることができるし、逆であればチームを苦しくするものである。特にそれは最終区間であるアンカーが決める順位に影響を与える。6区間を6秒の差がまければ1人1秒を削り出せば勝てた可能性があるということだ。最終的にこの記録の目標で選手たちは喜んだり、悲しんだりと結果に対して強い感情を持つことができるわけだ。

一方で行動目標とは何かというと、普通で言えば目標を達成するためにどう行動するべきかということであると思う。しかし今回はチームの凝縮性を高めることをテーマにしていたので、個人としての記録目標と同時に今大会で個人として、チームとしてどうコミットメントして成長できるか、そして成長するためにどんなことを意識して行動するかを考えてもらった。

2025年新人駅伝の結果

女子
1区 藤優衣帆 (雞知中)区間10位
2区 平尾璃子(厳原中)区間9位
3区 橋本佳奈(長岡中)区間8位
4区 播磨佑奈(厳原中)区間7位
5区 寺田千夏(雞知中)区間6位
総合8位

男子
1区 長瀬渉(雞知中) 区間9位
2区 田中蒼龍(厳原中)区間16位
3区 橘裕生(雞知中)区間14位
4区 中島凰介(雞知中)区間13位
5区 西山桜雅(豊玉中)区間14位
6区 須川玲(雞知中)区間18位
総合13位

女子は8年ぶりの新人駅伝8位入賞。

男子は昨年の順位を2つ上げる13位でゴールすることができた。

結果に対する評価は人それぞれあるだろうが、林田自身は今回の取り組みに関して非常に満足度が高いものだったと感じている。なぜならば、下のアンケートにもあるように、選手の補欠も一人ひとりが大会に前のめりで取り組み、大会を通じて学びがあったからだと感じているからだ。

競技スポーツに取り組む上で結果というのは、選手たちのモチベーションであり、何かを生み出す原動力だろう。しかし、結果を出すまでの向き合い方は、学校や部活動を終えた後に大きな影響をもたらすことは科学的に証明されているし、間違いのないことだと林田は考える。

記録というのは、年を取れば体は衰え、求められるものが変わり失われていくものであるが、大会に目指す・出場することで得られる体験は一生の経験として残っていく財産である。

短い期間ではあるが、駅伝大会を通じて作った「オール対高」の取り組みは、いつか参加した選手たちのプラスの財産として生きていくことを願っている。

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