目標設定と壁
陸上コーチのMBです。
スポーツをやるせよ、会社で仕事をするにせよ、日常生活を送るにせよ、小さなものから大きなものまで「目標」を立てることは多い。
目標設定をするときよく言われることは「目標は低いより高いほうがいい」
なぜ目標は高い方が良いのか?
ラインの引き方
とある陸上投てき(やり投げ)名門校の監督が言っていたことを覚えている。
投てき競技の準備でまず1番必要なことは「ライン引き」。自分が投げた投てき物がどこに落ちたかを判断するための基準作りである。
その高校のやり投げが強くなかった頃、そのラインを40m⇒45m⇒50m⇒55m⇒60mというように5m間隔で引いていたそうだ。このラインの引き方は一般的である。
指導者はコツコツ地道に指導を行い、ようやく、60mを超えそうな何人か選手が育ってきた。しかし、なかなか60mという節目の記録、いわゆる陸上でいう壁を練習で越えることができず、選手が投げても投げても記録は58mや59mだった。
このような状況が数年間続いたとき、その指導者はあることを変えた。それはラインの引き方。
今まで5の倍数で5m間隔で引いていたラインを42m⇒47m⇒52m⇒57m⇒62mのように2m奥へずらした。そうすると、今までの59mや58mが嘘のように、どんどん60mのラインを超える投てきが増えていったそうだ。
遠くへ物を投げようとしたとき、人はだいたい目標のラインよりも手前で落ちることの方が多い。物を遠くへ投げようとしたら、人は遠くへ投げる方法や努力をする。その結果が高いパフォーマンスを生む。
記録の壁
特に陸上や水泳・自転車などの記録と戦うものは「記録の壁」という言葉をよく使う。実際に記録の壁なんてない。もともと記録の基準なんて遠い昔の人が勝手に決めた基準。
100mの10秒00も9秒99もほんの10cm程度しか変わらない。1mの基準が、1秒の基準がほんの少し違っていただけで、10秒00の選手も9秒台だったかもしれない。
そのぐらい大差はない。というか、差はないと言っていい。でも差があることすれば自分たちが勝手に作り上げた「記録の壁」だ。
先ほどの話に戻ると、この「記録の壁」もどこを目標にやっているかでポーンっと一気に破ってしまう可能性もある。大きな目標を達成する過程であっけなく達成するかもしれない。
やはり、目標が高いほうがいいというのはこういうことだ。人間の心理・傾向からすると、「目標物が遠ければ遠いほど、そこへ向かってする努力も大きくなる」そこを目指す過程に壁なんてない。
あるのは「自分で作り上げた壁」だけだ。
今年注目の選手がいる。彼女は壁を突破するだろう。なぜならば、彼女は高い目標を設定し、行動しているからだ。
ぜひ皆さんも注目してほしい。
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