Track Island TSUSHIMAへ
林田章紀@対馬です。
4月も終わり今日から5月、対馬に来てちょうど1週間が経ってだいぶ対馬での生活に慣れてきたところ。昨日は漁港でもらったイカを生まれて初めて捌いて食べた。めちゃくちゃ旨かった。笑
今日はなぜ対馬に来た理由を書くことにする。
対馬に来たきっかけ
対馬のスポーツイベント
遡ること昨年の5月。高校の恩師から『対馬でスポーツイベントをやりたいそうだから、ゲストを紹介してやってほしい』との連絡があった。その依頼をしたのは、高校陸上部の1つ上の先輩で対馬市教育委員会生涯学習課の安田さんだった。安田さんと連絡を取ったのは15年以上振りだったのではないかと思う。そのイベントは順大の後輩の高瀬慧にお願いして教室を実施してもらった(高瀬が1週間前に大きな捻挫をして、急遽大西にも手伝ってもらった)
数十年ぶりに対馬へ
そのイベントきっかけに、安田さんとは頻繁に連絡を取るになり、久しぶりに対馬に行きたいと思い、視察を兼ねて大西と10月に対馬を見に行くことにした。実は、父親の仕事の関係で2-3歳の時に林田は対馬に暮らしていた経験はあったので、数十年ぶりの対馬に行けるのが楽しみだった。
久しぶりに対馬に来てみた感想は「マジで海と山しかないやん!」だった(対馬の人すみません)。千葉出身の大西は「俺ここで暮らす自信はないわ」とポロリとこぼす。笑 一方で、林田は元々長崎の田舎で暮らしていたこと、対馬に幼少期住んでいたことが影響したのか、「対馬で暮らすの全然アリだなぁ」と心の中で思った。
対馬の人口減少
色々なところを案内してもらう中で、対馬の魅力や課題について市の方に教えてもらった。その中で、対馬の人口減少の話をすることがあった。
この半世紀で人口が約半分になり現在は約28000人程度であり、変わらず減少傾向にある。地域の人口減少は珍しい話ではないが、離島の場合には特徴がある。それは、中学生が高校進学とともに島を離れてしまうことだ。約30%、3人に1人の子どもたちが島外に出ていく。
島外に出て行ってしまう、理由の一つにスポーツがきっかけになっていることを知った。林田が高校生の頃、対馬から本土にスポーツ推薦で来ている陸上の友達は周囲に沢山いたことを覚えている。さらなるレベルアップを求めて、指導者や環境が整った本土に行くことは普通のことだろう。
そんな中、対馬市としては島の魅力の拡大を重点戦略として打ち出し、政策企画課・しまの力創生課の施策の一つとして【対馬の3校の特性に合った文化スポーツ指導者招聘事業】を計画しており、駅伝の指導者を探しているとのことだった。
この話を聞いて、2021年の東京五輪以降腰を据えたコーチングから離れていた自分がこれまでやってきたことを活かして対馬に長崎に恩返しができるのではないかと強く感じたし、何よりこの対馬を自分が好きで得意な陸上を使って盛り上げられたら面白いだろうなと感じた。その後すぐさまプレゼン資料を作り、市の担当者へ送った。
それから現在に至るわけで、今年度、対馬市とONE COACHが共同で高校の魅力化に取り組むことになった。これが林田が対馬に来たきっかけである。
Track Island TSUSHIMAへ
2019年以前の林田であれば、陸上の指導者として選手を、駅伝チームを強くすることでしか、考えられなかったと思う。以下の記事を読んでもらえればわかる。
しかし、MDCを通してこれからの陸上は選手を強くするだけではダメだと改めて気づいた。
日本の陸上は強化に特化しすぎている?
先日、対馬で初めて開催した非公認の記録会『対馬のタイムトライアル』に参加していた小学生の話を聞いた。
『当日会場に来るのが怖かった。なぜなら、タイムトライアルをするから。タイムトライアルはキツくて、記録が出ないと責められるような気持ちになる。でも、今日のタイムトライアルは好きな音楽が鳴ってて、お兄さんたちが引っ張ってくれたし、楽しかった!』
半分嬉しくて半分悲しくなった。もちろん、そういう子どもたちばかりではないと思う(思いたい)、そしてそれ以上何も言う気はないがその結果は今の陸上の現状にあると思う。
日本選手権をはじめとして、日本国内の陸上大会でスタジアムにいる観客は少なく、ガラリとしている。
陸上はサッカーや野球、テニス、バスケに次いで5番目に部活動で入る人が多いと聞いたことがある。(ソースが間違っていたら申し訳ない)
その割にはトップの競技会での観客数は少な過ぎる。そして、これまで数多くの大会を観戦してきたが、抱き合わせのイベント(こどもレース)が終わったら、みんな帰ってしまう光景を何度も何度も目にしてきた。結局、陸上は【する、みる、ささえる機会を多くの人に提供できておらず、陸上を特定の人のための特別のものにしてしまっている】ような気がしている。それを変えていかなければと強く思う。
走ることを通して、対馬の魅力を作る
ONE COACHが、林田が関わる事業のメインは駅伝を中心とした陸上部の強化をし、島内高校への進学率を上げることが目標だが、この施策の重点戦略、目的は対馬の魅力を拡大することだ。走ることの、陸上に関わることの、面白さ・楽しさを作って魅力を増やしていき、事業に繋げていきたい。
そんな思いのもと生まれた考え方が、Track Island TSUSHIMA(通称Tit、ティット)である。聞き覚えのあるような言葉の人もいるかもしれない。笑
林田が毎週聞いているラジオである。このラジオは陸上のどんなコンテンツよりも陸上の魅力を発信し続けれているものだと思う。
対馬は韓国との国境に近く、東京などの都市部からかなり離れた地域だが、このラジオのように、離島、そして地方から陸上を盛り上げる活動をこれから対馬の人たちと作っていきたい。Titの考え方を軸に多くの人がこれからも陸上に関わり続けていける未来を。(Titのことに関してはまたいつか詳しく書くこととする)
そのために、ONE COACHは、林田は以下のことに取り組んでいく予定。これから始まる物語が楽しみだ。
・対馬にしかできない陸上の面白さ作り
・陸上を使った対馬の人たちの交流の機会作り
・日本一対馬が大好きな陸上・駅伝チーム作り
対馬には海と山が多くアップダウンが多いが一方で自然豊かで風光明媚な場所ばかりだ。これからは対馬のみんなと一緒にたくさん走りたい。そして、多くの人が対馬に足を運んでもらったり、対馬の良さについて知ってもらいたい。