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1111

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#小説

1111③

1111|mazytsu|note ←これまでのエピソードはこちらから

深夜25時の住宅街に、私と共に取り残された友人がどんな顔をしていたか、もう思い出せない。きっと友人も、私も、見たことのない顔をしていただろう。
二人とも、マジか…、やりやがった…、マジか…、あいつ…、え、ほんまに…?、マジか…などあまり会話にならないような単語を並べて、朝を迎えるための場所を探し住宅街を歩き回った。
友人は泣

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1111②

第一話はこちら

23:30ごろ、宗田の自宅に着いた。消防隊と救急隊はもう帰っていて、警察が現場検証を行っていた。いろいろな質問に答える。警察はまだ、実家のほうに連絡はしていないと言った。
「貴女から電話しておいてください」
「え・・・無理です。絶対絶対無理です。警察から電話していただいて、それを私に連絡してください。そのあとで私から電話をします。第一報を私がするのは・・・本当に絶対、無理です」

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1111①

宗田が死んだ。金曜日だった。
「お世話かけるかもしれません。」
あ、これはやったな、とツイートを見た瞬間に思った。

 火曜日の晩に、宗田は私の家に泊まった。泊まる予定を事前に聞いていなかったから、私は慌てて簡単な食事の用意をする。まずはすぐに炊けるからタイ米をフライパンで炊き、昼に食して余っていたベトナム料理を温める。きゅうりのぬか漬けと、それから温かいルイボスティーを淹れ、少し遅めの夕食を摂っ

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