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cotaeのアイデアの検証過程

僕が構想した「疑問の答えだけを皆で貯めていくプラットフォーム」であるcotae(コタエ)というアイデアを、『起業の科学〜スタートアップサイエンス〜』に沿って検証していく過程を、それぞれのポイントとともに書いていく。

結局このプロダクトは answerbox という一応のサービスになったのだが、新たな仲間が加わって検証を進める中で別のアイデアにピボットした。なのでプレスリリースを打ったり、Twitterでバズることもなく、実質世に出ることなく閉じたサービスの検証noteなので皆さんに役に立つかは分からない。ただ少なくとも、検証のバイブルとなった起業の科学を世に広める糧にはなりそうだったので公開することにした。

起業家一年生が自分のアイデアを初めてちゃんと検証していった過程を交えることで、より臨場感を持ってこの本の内容を紹介できれば幸いだ。

Cotaeとは

cotaeはco(一緒に)とkotae(答え)を合わせた造語で「SEOではなく周りの人の評価の高い、端的な情報を上位表示するプラットフォーム」である。

もともとは以下の橋本ゆのさんのツイートを見て、日頃ぼくが何となく感じていたことを具現化してくれていて、このサービスをやろうと思いついたものだった。

ただこの時点で「既に課題が顕在化してしまっておりタイミングが遅いのでは…?」と悩んだ。スタートアップは1にタイミングと言うし(ちなみに2はチーム)。けど現状でまだソリューションは出てないし、自分ごとの課題だし、「10,000人が思いつき、100人が実行し、1人が続ける」とも言うから、最初のサービスはこれで行くことにした。

※大学時代にコワーキングカフェを起業してみたが0からの参画ではなかったので、実際これが初めて0から作るサービスとなった。

課題の質を決める3つの要素

課題の質は創業者が次の3つの要素をどれだけ持つかに依存するそうだ。

・高い専門性
・業界(現場)の知識
・市場環境の変化(PEST)に対する理解度

つまり視点、知識、経験が創業者個人に求められるとのこと。

cotaeの場合はC2CやSNSに近いモデルなのでB2Bのような"業界"というのがフワッとしててどう考えて良いか難しかった…。実際にmixiやメルカリなどで働いた事はないし(小さな会社のC2Cマッチングサービスにはバイトとして関わったことはあったが)。しかしWeb業界やアプリについてはそこそこ詳しい自負はあった。

PEST分析については、当時ちゃんとやった記憶がなく、恐らく何もしなかったのだと思う…。

自分ごとの課題か

YES。クソな商品を売るために書かれたアフィリエイト記事、答えだけ知りたいのに「そもそも〇〇とは?」で始まるツラツラとどうでも良い内容で傘増しした記事、答えを探そうとするのに出てくるポップアップ広告、これらを見ると吐き気がした。

ただ課題(痛み)を感じていながらも、既存ソリューションであるノイズレスサーチや知禅などのカスタム検索サービスは自分自身ほとんど使うことがなかった。

結局は出てくる記事のクオリティや冗長さが変わらない限り課題の解決はないと考え、「皆んなで端的な答えのみを蓄めていく」というコンセプトは変わらなかった。

※Googleカスタム検索やTwitterの高度な検索はよく使っていた(代替案を組み合わせている)ので、これをもっと使いやすいUI(マイナスやダブルクォーテーション、allintitleなどのキーワードをいちいち付けずとも絞り込み検索できるUI)にすることも考えた。

なぜあなたが、それをするのか?

シリコンバレー最大のスタートアップ養成スクールである Y Combinator の本でも言われているが、創業者のポール・グレアム氏は以下のように話している。

YCのインタビューでは『誰がその製品を心の底から欲しがっているのか?』を聞く。ベストの答えは起業家自身であることで、次によいのは、ターゲットユーザーをものすごく理解しているのが分かる解答だ」

フリル(現ラクマ)の堀井さんも、「投資するときに『なぜあなたなのか?なぜ今なのか?』に明確に答えられる人は強い」と言っていたそうだ。ただ先輩起業家の方々の記事や本を読むと、創業時にこれに答えられた人は少ないようだ。

現にメルカリをやるべき人は世界中で当時の山田社長がベストだったと、その当時で誰が言い切れただろうか。ただし山田社長のことを調べたけど早稲田リンクスの頃やフォト蔵、ジンガへの売却など経歴や尖りがやはり凄い…。

課題に出会った原体験は何か

「情報が探しづらい」「探すのがめんどくさい」「ググりすぎて腕が痛い」という課題感は日々感じているが、何か「人生感が変わった」衝撃的な体験はしていなかった。

ただ僕自身が、大学時代にやりたいことが分からなかったり、それを見出すための方法が分からず、しかしぼっちなのでそういうアドバイスをしてくれる友達は残念ながら出来なく、良い情報やアドバイスに辿り着きにくいとは感じていた(大学1年の自分にアドバイスできるなら、ちゃんとしたベンチャーでのインターンやTED、また自分の興味関心に沿ってテクノロジーのことなどを深堀りするなどのアドバイスをする)。

また光回線の飛込営業をしていた頃に、無数のオプションが付けられてネット代に毎月12,000円を払っているお客さんなどに出くわすと、いわゆる情報弱者を搾取している奴らがいることに憤りを覚える。ただ後になって思うのは、こちらの方の原体験は「情報の正しさや信頼性」に対する課題感であり、「短時間で情報に辿り着ける」という情報収集の効率性についての課題とは被る部分はあれど別問題であることは、この当時は理解できていなかった(俗に言う課題に対する解像度がボヤけている状態だと思う)。

話が逸れたけど、「ネット検索で情報が探しづらくなった」という課題に対する原体験は自身でもある状態だった。

アイデアはクレイジーか

「一見アンセクシーだが、実なセクシーなアイデアか」がスタートアップには適しているそうだ。アンセクシーとは何かというと「人に話すのが恥ずかしいかどうか」で判別すると良いらしい。これはウンコを漏らしたとかだけではなく、課題を言語化して説明するフレームワークがまだ入手できていないために、人に伝えるのが困難ということである。

あなたがそのアイデアを話したときに、相手がリアクションやコメントに困って戸惑うような、しかも、世の中では未解決のままである深刻な課題にフォーカスすること

cotaeの「SEOではなく、周りの人の評価の高い情報を上位表示するプラットフォームを作る」というアイデアは、人に話したときに相手がリアクションに困って戸惑うようなアンセクシーなものではないようだった。天下のGoogleに喧嘩を売ると言う意味ではクレイジーだとは思うが、それは競合をすべきでないスタートアップにとっては単なる愚か者なだけであった(苦笑)。

一方でSmartHRやcansell、アイカサなどはクレイジーなサービスだろうか?また時間を売り買いするプラットフォームとして話題になったタイムバンクはクレイジーそうだが、今はクーポンアプリにピボットしている。つまり日本の上手くいっているスタートアップはクレイジーなアイデアというより「あったら便利じゃん!」というアイデアで成功しているように思えた。だからcotaeにおいても「クレイジーかどうか」はあまり考えないことにした。

ただ「長持ちするモバイルバッテリー」のように「情報を短時間で探せるプラットフォーム」だと誰もがあった方が良いと思うダメなアイデアだと思ったので、1つスパイスが必要だと思っていた。しかし何か斬新さが感じられるほどの物は思い付かず、当時は「1人1アカウントで本人確認を必須とする」という点がスパイスになるかなと思っていたくらいだった。

誰もが当たり前と思ってきたことに疑問を投げかけることができるだろうか

ただインターネット=匿名でやるもの(某氏の「嘘は嘘と見抜ける人でないと使うのは難しい」もの)というのは、もはや時代に合っていないと強く思っていたし、今も強く思う!

なぜクレージーなアイデアが求められるのか?

この答えは「ITの進歩」で、マーケットのパラダイムシフトが高速化しているから、一見すると悪いように見える代替サービスのないアイデアでないとタイミングが遅すぎる時代になったからだそうな。

cotaeがフォーカスした課題については正直、前述の橋本ゆのさんのツイートがバズったり、「最近の若者はInstagramで検索すると言われる」と言われるほど課題が顕在化しかけてたので正直セクシーなアイデアではない(取り組むには遅い)きらいがあった。

スタートアップが避けるべき7つのアイデア

①誰が見ても、最初からいいアイデアに見えるもの
②ニッチすぎる
③自分が欲しいものではなく、作れるものを作る
④根拠のない想像上の課題
⑤分析から生まれたアイデア
⑥激しい競争に切り込むアイデア
⑦一言では表せないアイデア

このうちcotaeが該当しそうなのは③と⑥かなと思う。

③について、cotaeは僕がWebとiOSのエンジニアだったので、まさにWebサービスやiPhoneアプリのプロダクトとして提供しようとしていた。しかしcotaeの提供価値は「友達に聞くように答えを知れること」なので、自分のスキルの枠を外して考えると音声アシスタントやGateboxのようなホログラムキャラクター、はたまたリアルで友達を作りやすくするようなイベントの開催などが最適なソリューションの可能性もあった。少なくとも機械学習やAndroid、xRの技術も毛嫌いせずに必要とあらば習得し、最も顧客にFITするプロダクトを作らねばならないのだが、結局ここには目を瞑ったか、忘れて進めていた。

⑥については「情報の検索」という天下のGoogleに切り込む市場だから、よっぽどの超最先端なテクノロジーでもない限り戦っても気付きすらされずに踏み潰されるだろう。

こういった自分の中での仮説検証をある程度した上で、不安点はありながらもユーザーインタビュー(CPFの達成)に進むことにした。

続く。


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