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公募落選作品:デスゲーム主催者養成所
3分漫才脚本大賞に応募したものの、落選した作品です。色々修正したいところはあったのですが、あえて応募した原文そのままでお送りしたいと思います。温かい目でご覧ください。
A・B共にハキハキゆっくりした口調。台詞と台詞の間はあまり空けない。
A・B「はいどうもー」
A「はい、じゃあこれから皆さんには殺し合いをしていただくわけですけども」
B「あ、ダメダメダメ。『殺す』ってワードで自分に注意を引くのって一番ダメだから」
A「いや、実は俺さ、デスゲームの主催者に憧れてるんだよね」
B「自分の一言で場が乱れたり、人間が疑心暗鬼になったりするのって面白いもんね」
A「でも俺、あんなにうまくいかないと思うんだよ。デスゲーム主催者だって人間だし」
B「デスゲーム主催者をまだ『人間』と見てあげられるんだ。心広いね」
A「だから、咄嗟のトラブルにすぐ対応するために『デスゲーム主催者養成所』に通った方がいいと思うんだよ」
B「『デスゲーム主催者養成所』? わくわくしてきたなぁ」
A「じゃあ俺、養成所の講師やるから、君は、デスゲーム主催者を志す、無垢な瞳をした少年の役やってよ」
B「少年の無垢な瞳、濁らせちゃうぞ~」
A「はい、おはざいまーす。プロデスゲーム主催者、ぽるたんです」
B「マスコットタイプだ! 可愛いぬいぐるみが喋ってる!」
A「おいそこ! ……私語慎め」
B「学年主任のトーンだなぁ。このタイプの人がぬいぐるみに入ることあるんだ」
A「今日はデスゲームにおけるトラブル対応の授業だ。何か聞きたいことはあるか?」
B「はい! 僕、普段仮面を被ってるんですけど、仮面が剥ぎ取られないか心配で」
A「簡単なことだ。仮面は意地でも取れないようにしておけ。顔に直接溶接しろ」
B「溶接!?」
A「万が一剝ぎ取られてもいいように、なんか手術で歯を200本くらいに増やしておけ」
B「200本!?」
A「そもそもお前はひょろすぎる。体づくりのためにビリーズブートキャンプをやれ」
B「令和なのに!?」
A「ていうか、仮面はリスクがデカすぎるだろ。厨二病っぽくてダサいし」
B「カッコいいでしょペストマスクは!」
A「そんな剥ぎ取りやすい持ち手のついた仮面やめろ!」
B「くちばし部分を『持ち手』って言うな! お前なんかこうしてやる!(ぬいぐるみを投げる仕草)」
A「いいか、デスゲーム主催者は単なる傍観者ではない! エンターテイナーである!」
B「お構いなしに喋り続けている……! これがぬいぐるみに入るメリットか!」
A「さあ、お前たちも、ぬいぐるみにならないか?」
B「こうして僕は、自らぬいぐるみになることを選んだのでした。……ちょっと待って。もしかして今僕、ゲームに負けた感じになってる?」
A「俺の勝ちだね。やっぱり自分の言葉で人間を操るのは面白いよ」
B「こいつ客の前に連れて来ちゃいけない人間だったかもな。もう引っ込めますね」
A・B「ありがとうございました」