ポストのフォン

郵便局に用事があったので行ったら昼休憩の時間だったようで閉まっていた。

営業再開まであと15分ほどあった。

少し悩んで、入り口の前で待つことにした。

入り口のすぐそばにポストがあった。

俺は無意識にそのポストに右手を乗せた。

するとポストからフォンという音が鳴った。

フォンという音が鳴ったので、俺はおっと思った。

ポストからフォンと本来鳴るはずのない音が鳴ったということはぁだぁ、これは始まっちまう感じぃ?

つまり、俺がポストに吸い込まれて、そのポストがどこか違う世界の入り口になっていて、俺は違う世界に飛ばされて、なんだかんだあって、活躍しちゃう感じぃ?

参ったなぁ、こんなことになるなら、爪切ってこりゃよかったよ。爪が長いのが気になって全力で挑めねぇや。

参ったなぁ、今朝食ったネギが奥歯に挟まってるのも気になるし、

眉毛を最近整えてなかったから真ん中で薄っすら繋がってる気がする。

鏡ねぇか、鏡

と俺は鏡の代わりになりそうなものを探して辺りを見渡すと、郵便局のブラインドが降りているガラスが丁度良い感じに自分の姿をチェックできそうな反射具合であることを発見した。

俺はガラスに近づき、自分の眉の状態を確認しようと凝視した。

眉毛が真ん中で繋がってるかどうかが見えそうで見えなくて、顔の角度を色々変えたりして調整していると、ブラインドが上がって郵便局員と目が合った。

郵便局員は俺がガラスを凝視する姿を見て身体をビクリとさせた。

ポストよ、早いところ異世界へ飛ばしてくれないか?


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