銃と宗教とお茶
前回の「国家」でややこめんどくさいことを言いまして、やっとモンゴル帝国がなんでこの世から消えちゃったかいう準備が整いました。
近年、社会主義の崩壊とともにモンゴルも近代化が進んでいるようですが、ちょっと前までは、街は汚物が散乱し、マンホールに孤児があふれかえる、なんかもう世界に冠たる乞食帝国だったのです。
この状況は、モンゴル帝国の終焉と歴史的につながっています。
彼らから最強の騎馬民族の地位も誇りも奪ったのは、大きな意味で「近代」なわけですが、より正確にいうと、「銃」と「宗教」と「お茶」でした。
元朝衰退の後、草原に帰ってからも意外に長く帝国は続いてました。しかし、モンゴルを含む中国全土を席巻した女真族の次世代王朝「清」は、それまでの漢民族の王朝と全く違ってました。女真族はつまり満州人で本来、半農・半牧の生活。つまりモンゴル人に近いわけで、この騎馬民族の弱点を知っていたわけです。
まず、軍備を近代化し、辺境に出没する騎馬民族を銃で掃討します。銃の前にあっては馬はよき標的以外の何者でもありませんし、縦横無尽の曲乗りの威力も半減してしまいます。
すでに彼らの戦い方では勝てなくなっていたのです。
でも、そのくらいで済めばよかったのですが、民族というのは時に“ご近所”に対してとんでもない残虐性を示すことが知られています。(続く)
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