『マギ』考察⓪〜少年誌に載せられた哲学漫画〜
『マギ』という漫画をご存知でしょうか?
20年ほど前に『週刊少年サンデー』で連載開始されたファンタジー漫画です。
二度のアニメ化もされてそこそこ人気のある漫画ですが、やはり『ONE PIECE』や『名探偵コナン』ほどの知名度はありません。
連載当時は僕も中高生でちょうどこの手のファンタジー漫画に嵌りやすい時期でした。
単行本を買うほどにのめり込んでいたのですが、大人になって読み返すと、その哲学観にやられます。
これは哲学漫画なのか…
しかし、先にも示した通り、国民的漫画というほどの知名度はなく、ネット上の感想を見てみてもその多くがファンタジー漫画としての感想です。
僕と同じように感じた人間がいないのか、はたまた発信している人間がいないのか。
この漫画の良さ・魅力を知ってもらいたい。
というわけで、不定期ですが連載ものとして『マギ』の考察をしていきたいと思います。
全部終わるまでに何年かかるかわかりませんが、興味のある方は僕やマガジンの方のフォローをお願いします。
『マギ』とは
アラビアンナイト(千夜一夜物語)をモチーフにした王道ファンタジー漫画。
ジャンルとしては魔法バトルもので、過去の記憶がない主人公、謎の強大な力を持つ主人公、ダンジョン攻略というRPG色の強い世界観、主人公とその仲間たちとの友情…などなど
少年向けファンタジー漫画としての要素を多数兼ね備えていて、非常に読みやすい漫画です。
アニメ化もされているので、そちらを視聴して大まかなストーリーを把握するのも良いでしょう。
今回の記事はある程度内容を知っていただいた上での考察になっております。
事前に読んでおいていただけるとより理解が深まると思います。
もちろん、極力細かい設定やキャラクターなど知らなくても理解できるような内容を心がけていきますが、考察記事という性質上、どうしても原作を知っての上での記事となってしまうことをご了承ください。
世界観
前述の通り、元ネタは『千夜一夜物語』であり、舞台はアラビアとなります。
が、アラビア世界に留まらず、ヨーロッパや中国、日本のような設定の国家も出てくる非常に壮大なストーリーとなっております。
そして重要なのが、この現実世界・歴史上での「アラビア・ヨーロッパ・中国」などの各国家とお互いの関係性。
この漫画を読む上で、そして考察する上で現実世界のこれら国家間の関係性、歴史上どのような変遷を辿ってきたのかという点などが非常に重要になるのです。
魅力
そしてこの漫画の魅力は
「子供と大人で異なるメッセージを受け取る」という点だと感じております。
子供には他の少年漫画同様、「仲間の大切さ」、「信じるということ」、「諦めない心」などを伝えていきます。
非常によくあるテーマでストーリー設定も相まって読みやすい作品となっています。
一方、大人になってからこの漫画を読むと受け取るものが変わってきます。
「正義とは何か」、「争いとは何か」、「現実とは何か」といった抽象的で答えの無いものを問うてくるのです。
人間社会を営む上で何度も直面する問い、
他者の言う“悪”は自分にとって“悪”ではないのです。
何故こんなにも辛い思いをしなくてはならないのか。
“正義”とは、“悪“とは何なのか。
そういった疑問を感じさせられます。
また、その延長線上として
“宗教とは何か”
派生する形で
“人は何故争い合うのか”
といった社会的なテーマにまで疑問を投げかけてきます。
もはやただの少年漫画では片付けられないでしょう。
ここまで壮大な問いを投げかけてくる漫画はそう無い気がします。
大人になって改めて良さ、そして意義を実感する漫画、それが『マギ』なのです。
設定
正直、解説をする上で細かいストーリー上の設定やキャラクターの設定などは関わってこない気がしています。
そのため、今回は設定については省きます。
ネットで検索すれば大まかな設定やキャラクター同士の相関は知れると思います。
(少年誌らしく多種多様なキャラクターが登場するため、覚えるのは大変ですが)
また、解説する上で設定を知っていなくてはいけない場面では、その都度記していきたいと思います。
とりあえず、【魔法を使ってダンジョンを攻略する友情もの漫画】だと思っていただければ問題ないでしょう。
これが上項で言った子供が読みやすいという理由となります。
一方、他の漫画と異なる点が”明確な悪が存在しない“という点です。
途中、様々な“敵役”が出てきますが、どれも単純な悪者ではない。何かしらの事情を抱えていたり、強い信念を持っています。
これが大人が楽しめるという理由
登場キャラクターを通して、これまで逃げて通ってきた哲学について改めて考えさせられます。
知識
読む上で事前の知識は特に必要ありません。少年漫画ですから。
純粋な気持ちで読めばいいのです。
ただ、知っておくとより考察しやすくなることもいくつかあります。
大人になって読み返すと伝わるものが変わってくる理由です。
1.『千夜一夜物語』について
元ネタを知っておくと登場キャラクターの名称などにより愛着が持てるでしょう。
ちなみに、僕は『千夜一夜物語』を全く知らないので、まだまだ考察が足りないところがあります。
『千夜一夜物語』の知識が増えたら書き直すこともあると思います。
2.地球上の国家について
元ネタとなる国が多数あります。
中国、中東、ヨーロッパ、日本
大まかでいいので各国々の相対関係を知っておくとより楽しめると思います。
ある程度現実世界に即していることがあります。
3.政治体制について
独裁的な専制政治、民主的な民主政治
簡単でいいので知っておくといいと思います。
4.宗教について
ユダヤ教の世界観をモチーフにした漫画です。
ここが一番難しいと思いますが、ユダヤ教の神話について知っていると物語後半の理解の助けになると思います。
さて、下準備は終わりです。
冒頭でも説明した通り、今後は不定期で『マギ』についての個人的な考察を行っていきたいと思います。
記事の上げられる時期は不明。いつまで続くかも不明です。
もしかしたら途中で終わってしまうかもしれません。
完全に自己満足なシリーズ記事です。僕のペースでやっていくのでお付き合いくださいませ。
なお、この記事に今後投稿される記事はまとめてリンクしていく予定です。
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