パリのマミコさんとわたし【10】
※過去記事パリのマミコさんとわたし【1】〜【9】の続きです!
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早速、アニスは今日振られたことを話し始めた
彼はチュニジア出身で土地柄からか他の友人や親戚たちと同様に
29歳になる今年、30歳になる前に
どうしても奥さんを見つけたいとのことだった
婚期をとうに逃しているのであろうアラサーの私は
結婚て、そんな欲したり、探したりしてできるものなんだろうか
という初歩的かつ根本的な疑問を胸に抱えながら、
同時に、でも結婚したいよなぁ、
アニス、気持ちわかるよ
と思いながら聞いていた
そしてアニスは淡々と
アニスは彼女といかに愛し合っていて
今日の別れがいかに悲しいものだったかを熱を込めて語り出した
その時だった
それまで静かにアニスの話を聞いていた
自称マミコさんが急にため息をつき、こう言った
「あんた、なんか勘違いしてない?
人はデフォルトで孤独なもんなのよ
誰かと愛しあったり
繋がることでそれを一瞬忘れるのかもしれない
だけど
人って結局他人同士で
だから本当の意味では分かり合うことなんてできない
だから
基本的に孤独なのよ
誰かを愛すこともとても大事だけど
自分自身を愛すこともそれと同じくらい大事だと
私は思ってるわ」
急に核心をついたマミコさんの言葉に3人とも黙り込んでしまった
気付けば
パリの北を照らす陽の光が西に傾き
ずいぶん眩しくなっていた
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パリに住んだ作者がパリの日常と生活を書いていく短編小説です。場所などは実在の場所です。
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