パリのマミコさんとわたし【4】
※パリのマミコさんとわたし【1】〜【3】の続きです。
土曜の朝、少し二日酔い気味で起きたが、まだルームメイトのみんなが起きないうちに、バスルームを独り占めして、一本映画を見ながら湯船に浸かったら、すっかり治ってしまった。映画が4姉妹の物語で、日本に住んでいる姉や妹を思い出して、日本が恋しくなった。お金もないし最近、日本に帰っていない。
とりあえず、日本が恋しい。日本食が食べたい。だが、日本食レストランに行くお金はない。
ということで、土曜の午後に久しぶりに、オペラに行った。オペラには、京子、Kマート、エースマートなんていうアジア食品店があって、普段は、タンフレールなんかの中国系の安いスーパーで我慢してても、どうしても、日本食が食べたいってなった時に重宝している日本人街だ。
近くにブックオフもあって、日本の本が1€から買えるので、日本が恋しくなったら必ず行く場所だ。
フランスでは日曜日はどこのお店も閉まってしまうので、買い物は土曜日のうちに済ませたい。それに、最近ルームメイトに料理を振舞ってもらってばかりなので、日本食で喜んでもらいたいという気持ちもあった。何より、今日は快晴で、歩いていてとても気持ちよかった。オペラからチュイルリー公園は近いので、日本食も売ってるけれど、韓国系に強いKマートでキンパを買って、お日様の下で公園で食べようかな。
なんて思いながら、今日も変なものを踏まないように足元を見ながら
オペラ駅の地下道から地上に出た時だった。
また、あの香水の匂い。
バックに畏怖堂々とオペラ座が佇む前をそれに負けず劣らず、身長190cmはあろうか、毛皮のハイヒールマダムが横を通り過ぎるところだった。腕にはkマートの袋を下げている。
「あのっ。」
怪訝そうな顔でアイラインをしっかりと引いた目がこちらをギロリと見つめる。昨日の夜、「声かけるわ。」なんて、軽口叩いたものの、流石に、なんで声かけちゃったんだろうと後悔してしまった。
「なによ。」
日本語でドスの効いた声が返ってきた。
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パリに住んだ作者がパリの日常と生活を書いていく短編小説です。場所などは実在の場所です。
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