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花と朗読 制作記(6) 陶工・山本源太 半生の展示

宝満山の玉依姫様を河北家にお運びした後、杉工場の山本源太さんの展示準備を見に行く。想像以上に大掛かりな展示だった。源太さんが書き溜めていた日記や手紙、そして詩を集め、若かりし頃からの写真を引っ張り出し、整理し、年代ごとに展示しようということだった。大きな木造の杉工場は大きく4ブースに分けられていた。一つ目の部屋は源太さんの半生の展示。写真と日記、手紙、詩などの文章、そして陶器が年代ごとに並べられる予定に。

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2つ目の部屋は「源太の部屋」と名付けられ、杉工場の家具なども起きながら、源太さんの持ち物を運び入れ、源太さんが暮らしているかのような部屋に仕立てられる予定に。

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3つ目の部屋は「タケノコ村の部屋 土の惑星」と名付けられ、真ん中に近年の災害で山から崩れ落ちた木片が真ん中に展示され、その周りには太陽系を意識した配置でスクエアの台が設置され、その上にタケノコ村が作った陶器が並べられていた。

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そして最後の部屋は真っ白い机が暗い部屋にスポットライトを浴びて展示されていた。その上でインスタレーションのように花が生けられる。

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杉さんと話ながら会場をまわり制作メモをとる。
さてさて、明日から本番までの4日間で内容を詰めなければならない。
まずは杉工場から。最初の2日はとりあえず杉工場のために時間を費やそう。
源太さんの出版された2冊の本は読んでいたけれど、手紙や日記は今回初めて目にする。なんでもギリギリ(涙)。2日間、部屋に缶詰だ。

以下、制作メモ

@杉工場

(1)源太の人生 写真 子供の頃から 書いた文章も一緒に展示

まだ自分が何者でものない時代
そんな時に家に問題があったり 暗さ
鳥取出身 じめっとした山陰の雰囲気 
若者の現実逃避

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多感な思春期の時代
修行さきを求めて先生のところに入る

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詩人の病院の先生に出会い 詩の才能を開花していった
人生の節目節目を表現するような展示
その節目節目ごとに花を生ける

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(2)源太の部屋 実際に家で使っている私物 食器 読みかけの本
杉工場の家具と私物 カチコチ時計を置く。ろくろの前に座って聞いている
音楽。窓の外の景色。季節の移り変わりの時間。
生きている時間を感じられるような空間

この部屋でも花を生ける のべに咲いているような 雛菊のような道端の花
テーブルの上だったり 書斎の上だったり、コーヒーテーブルだったりに生ける。

日常的な詩を。

お客さんがぞろぞろついていく形で見せる。

ここまでで人生の部屋と家で7つぐらいの花が生けられる
なので、そこに合わせて即興で詩を読んで!
読みたい時に読んで良い。

(3)タケノコ村の部屋 土の惑星 

私たちが土というものに火にかけ土器が生まれた。
そういう知恵によって人間になった

近年の異常気象によって土砂崩れがあり 近所で死者も出た
沢山の木が薙ぎ倒された 丸太がまるで割り箸のように割れる力。
自然の力の凄さ その倒木が流れ着いた。その倒木を真ん中に置いた
人をも殺してしまうような凄さ。
ここにある焼き物はこの倒木を燃料にしてできている
人に恵みも与えるけれど、恐れも知ることになる。
そのことを知ることによって、もっと大きな災害から身を守っている
人間は自分のしてしまったことの尻拭いもできないぐらい愚かである。

その全ての象徴としての土と木と火

土の展示の部分に命の刹那を表現するために花を

儚い花でもあるけれど咲いていた一瞬は確かに存在していた。
そこには一瞬の真実がある。

*土の上に梯子を立てる
 囚人のような血のような 真っ赤な椿がぽたりぽたりと落ちる

*山で撮ってきた粘土に腐りかけた花びらを混ぜてこねる
 中から腐敗しかかった肉が出てくる
人の命は一瞬でなくなってしまう
蕾から花を咲かせるのが人生
見事に花を咲かせられても土に帰っていく
蕾のままに終わってしまったらそれは残念だけど
それもまた土にかえる

終わりの花

栄華を極めても土に還っていく

詩の朗読
源太さんの詩
抽象的な表現


(4)白いテーブル一台 闇の中に手術台のように浮かび上がる机 

以上の4つの部屋によってミュージアムエリアを構成する。

*通路で火の花
 火によって浄化する
 脚立に乗って高い位置から空中で火を起こす イメージは東大寺のお水取り
 空中で火が舞いながら落ちてくる

次に照明がついて明るくなる

真っ白な手術代の台が見てくる

*いろのない椿
花びらの色素を抜く
椿の花の花びらの色素を抜く

池に落ちた椿は酸素に触れなければ色だけが抜けていく(と、思う)
その花びらの色の抜けた椿がぼたぼたと落ちてくる

色のない椿に合う詩を読んでほしい
逆に全くそれとは関係のない詩を選んでもOK

*大量のススキ
大量のススキの綿毛を破れた土器に降らせる

種が大量に空から降ってくるという絵に人は何を想像するんだろう?

そのシーンにある種の情景が人々に浮かんでいる時にドラムがなる。
そこにまた詩を一つ

*バラの花びらの汁を絞る
水の上に落ちて滲んでいく姿
ここでもその情景に合わせて詩を一つ

*小さな赤い花 ぷるんとした唇のような花
丸い実のような球に人の唇を切り取ったように生ける
人間は全体でものを見るけれど、パーツでは見ていない。
切り取ってパーツで見てみるとすごい!
例えば耳 音をキャッチするために育ってきたもののパーツ
口、口がなかったら生きていけない 栄養分を吸収する掃除機のような入口
唇は粘膜が露出しているような感じ。
ものの最初の印象。唇に一回預ける時の、粘膜に最初に触れる、食べ物を最初にキャッチする部分。とても繊細でナイーブ。花そのもの生殖器。花は受粉をして実を作るための道具。性行為の入口の口
セックスはキスから始まる。その場所をよってたかってそれをみる。
そういう行為。

*割れる壺の中にバラの花びらを詰める
グジュグジュの花びらを先に入れる
詰めていくとそのしるがつぼから滲んでくる。
その液がつぼから垂れていく。
そこら中に血が滲んだようになる。
一心不乱に花びらを詰める。そして、つぼは割れる。

ここで何かセリフ!!詩?

*天上より竹が2本/部屋は真っ暗
一本のたけは生きている青竹
もう一本は死んだ竹。
竹の生死。

真っ直ぐに上に伸びるから意味をもつ。人生。天に向かって伸びる。
竹の先にお天道様、太陽信仰への祈りの花が竹の先についている

サプライズ。
竹の中に夕顔の花を仕込もうと思っている、けれども急激に冷えているので、当日採取出来るかまだわからない。
能の舞台で「はじとみ」という舞台がある
光源氏が奥さんに内緒で廃墟に通う。
実はお化けに騙されていたという話。
そこに夕顔が咲いている。
夕顔の霊にばかされている。

膨らんだ蕾を生けると花開くことがある。

その奇跡が当日起こったら面白い。

竹の途中に窓を作り、水を張っておく
そこに青竹に絡み付かせながら白い夕顔を生ける

これから花開くであろう予感を残して終わる。

(4)の部屋は天の声になる
部屋にはいず、声だけの出演
会場に声だけが響く。
花の化身になる。

その時のテンションで何をやってもいい。
水を飲むのも、動き回るのも、なんでもあり。


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