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内包された24の物語


内包された24の物語


花弁が開く時
そこに世界の中心が現れる

蓮華座に並ぶ
いくつもの「時」を内包した
数々の物語


花が咲くと中から花托が現れる。
仏教でいう蓮華座のような場所。

雄蕊が周りを囲んで雌蕊が大切に保管されている場所。

虫たちが受粉のお手伝いをしてくれると24個の雌蕊たちは時空を超えた情報を孕みながら大きく膨らんでいく。古代蓮は原始形態をもつ。
つまり、その小さな一粒の種には1400−3000年の記憶が凝縮されているのだ。そして、次にそれが発芽し、花を咲かせると、その花の記憶もまたそこに足されていく。くらくらするような途方もないスケール。

雄蕊は雌蕊を取り囲んでいるのに、自分たちでは雌蕊に近づくことが出来ず、受粉は他のものの力を借りなければ成立しない。なんだか、お釈迦さまのお話のようだ。だから、花は甘い香りを出し、虫を誘い、お礼に蜜をプレゼントする。地球上の生きとし生けるものたちはみな、そんな風にデザインされているのだ。生命維持には他のものの力を借りなければならない。そして、自分もまた、他のものの命の継続に一役買っている。

ついつい一人で頑張って生きているように思ってしまうこともあるけれど、実はそうではないということを心に銘じて、今日も感謝を忘れずに生きなければと、花の姿から学ぶ。


追伸:今回の詩は5月21日から31日まで赤坂のドイツ文化会館で開催される私が撮影した「花」の写真展「KATARIBE」に展示するものの中から書きました。曼珠沙華が2点、そして蓮の花の写真を8点、展示する予定になっています。蓮の花たちには1つずつ上のような言葉を添えようと思っています。
是非、見にいらして下さい。

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流れゆく景色を眺めながら心に浮かぶ言葉を紡ぐ。物理的に移動する旅もあれば、たったひとつの言葉から心の中の風景が流れることもある。その気にな…

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