ただのFormula 2が好きなオタクが2022年のF2について語る
はじめに
こんにちは、まゆすちゃんと申します。普段はTwitter上での意味不明・しょうもないツイートでしか活動していませんが、2022年のF2シーズンが終了したので、ちょっと真面目に文章を書いてみたいと思います。
ちなみにこういう長い文章はあまり書かない、書いてもラジオにメールを送っていたくらいなので読みづらい部分が多くなるかと思いますが、よろしければ読んでいってください。
今回は2022年に参戦した全てのドライバーについて書いていきたいと思います。
注意点
参戦したレース数や筆者の印象によって内容のボリュームにはバラつきがあります。
あくまで筆者がF2を見ていて感じたことを書き綴っています。個人の偏見がかなり含まれるので世間やあなたの考えとは異なる場合もあります。
筆者はただの一般オタクです。一般人が知ることができる情報のみ取り扱っています。内部的な情報が知りたい方は、ニュースサイトや掲示板にあるそれっぽい情報を見た方が幸せになれます。
書いていくドライバーの順番は2022年のカーナンバー順(1~25)です。では行ってみましょう。
PREMA Racing
#1 Dennis Hauger(デニス・ハウガー)
2021年のF3チャンピオン。
2020年、表彰台が1回のランキング17位から翌年は圧倒的な成績でチャンピオンということで、車に慣れた+良い体制ならチャンピオン争いができるドライバーなのかな?という印象を持っていました。
F2デビューはいきなりチャンピオンチームのPREMA、初年度からいきなり結果を求められる体制なのでどうなるかと思っていましたが、ふたを開けてみればここ2年の強さは今シーズンのPREMAには無く、その中では頑張ったのではないかというイメージです。
チームメイトより1勝多い2勝を挙げましたが、モンテカルロ、バクーのどちらもF3時代のインパクトは見受けられなかったように見えます。しかし、どちらも難しいストリートサーキットでの勝利、特にバクーは独走態勢に入りかけていたヴィップスにプレッシャーを与えミスを誘った結果の勝利と、2021年のハウガーとはまた違った一面も見ることもできました。
不運もかなり多かった印象。ピットでタイヤが外れたり、スタート後1コーナーの手前で当てられたり、空からDAMSが降ってきたり…
2023年はMPからのエントリーが決まっているハウガー、2022年のドゥルゴビッチや2021年の彼自身のようなシーズンを送れるかが注目。
(来シーズンもカーナンバー1のマシンをドライブすることとなれば、3年連続となります。)
#2 Jehan Daruvala(ジェハン・ダルバラ)
F2参戦3シーズン目。CarlinからPREMAに移籍したが、正直シーズン前からチャンピオンになれるビジョンは見えませんでした。
チームメイトが苦戦するなかコンスタントにポイントや表彰台は獲得するが、表彰台は8回中6回がスプリントレース(以下SRと表記する)で記録したもの。完全にリバースグリッドマスターと化していました。(ダルバラらしい、とも言えるレースだった?)
彼のハイライトはRd.13のモンツァでしょう。
直近の6レースで1ポイントしか獲得できていなかったが、大荒れのフィーチャーレース(以下FRと表記する)で今シーズン、そして自身のFR初優勝を記録。SRの3位を含め両レースで表彰台を記録しました。(両レース表彰台は今シーズン、ダルバラ含む6名が記録しています。)
Virtuosi Racing
#3 Jack Doohan(ジャック・ドゥーハン)
昨年のF2スポット参戦2戦目でいきなりの予選2位、そして1周目にスピンアウトという強烈な印象を残したドゥーハン。
デビュー戦でいきなりPP(これによりVirtuosiは19年から4年間、ずっと開幕戦のPPを獲得している)と、これまた鮮烈な印象を与えました。レースを見ていても攻撃的なドライブ、不運、ウィングの破損を含め、2020年の角田裕毅を彷彿とさせた印象があります。
シルバーストーンの雨のSRの走り、ドゥルゴビッチとの真っ向勝負に勝ったスパSRなど、勝ち切れるレースは勝つ印象。(思えばこの2つ、角田も勝ってますね。)
しかしサクヒールFRの追突によるウィング破損や、終盤3ラウンドのFRでのクラッシュやトラブルによる不運など、失ったポイントがあまりにも多かった印象。角田裕毅がF2で2年目を迎えていればどうなったか?というのが来季のドゥーハンと重なって見えるかもしれません。
#4 Marino Sato(佐藤万璃音)
ついに世界最速のオタクが戦えるチームに移籍・・・!と思った人は、これを読んでいる人たちの中にも多かったと思います。チャンピオン争いは無理でも21年のドゥルゴビッチ、18年の牧野くらいの活躍は出来るかな?とは思っていました。
現実は28レースで6ポイント。これより少ない獲得ポイントのドライバーはウィリアムスの5ポイントとフルエントリーしていないノーポイントのドライバーのみ。
レースペースが良いときに限ってタイミングの悪いSCやタイヤ戦略のミス。モンツァの予選、岩佐がクラッシュしていなければフロントロウだったなど色々ありましたが、やはりあまりにもチームメイトとの差が大きすぎた。実はドゥーハンにも某ニュースサイトのインタビューで遠回しにちょっと言われてました。
3シーズン走って1度もリバースグリッド圏内に入ることが出来なかったのもなかなか厳しかった。脳内F2ごっこで「リバースグリッドでポールポジションは、ついに来ました!佐藤万璃音!」って市川アナの声でよく再生してたんですけど、今シーズンも聴くことは叶わず。
来シーズンのVirutosiはドゥーハンとコルディールのラインナップが発表されたため、彼はどうなるのでしょうか。(コルディールもどうなるのか。)
Carlin
#5 Liam Lawson(リアム・ローソン)
おそらく今シーズンのチャンピオン争いは彼を中心に回るのでは?と予想した人も多かったはず。
序盤3レースで全て表彰台フィニッシュ。「これはりあむの年ですわ」と思ってました。個人的に流れが変わってしまったと思っているのはジェッダのFR、ピット作業でナットが締まってないままリリースしてしまいリタイヤ。続く6レースを8位や9位でフィニッシュしている間にブラジル人が3勝してチャンピオン争いは実質的な決着を迎えていました。
夏休み明けのスパ、ヤスアイランドでダブル表彰台を獲得し最終的にはランキング3位を獲得。勝利数もドゥルゴビッチに次ぐ4勝をマークしたが、全てリバースグリッドによるスプリントレースというのが評価を難しくしている。(ローソンはこの2年間で6度トップチェッカーを受けているが、全てSRでのもの。)
来季は日本のスーパーフォーミュラで走るというような話があるので、こちらでどんな活躍をするかも注目です。
#6 Logan Sargeant(ローガン・サージェント)
2021年のシーズン開幕前、彼が2023年にF1で走ることになっていると考えた人はどれくらい居たのでしょうか?
21年、F2にエントリーできず、結果的に残っていたシートという雰囲気のあるあのF3のCharouzから3シーズン目のエントリー。結果はあのCharouzで1勝を含むランキング7位。3年もやればこれくらいできるか、といった評価も個人的にありましたがこのシーズン終わりにウィリアムズのサポートドライバーになりCarlinからF2にデビューすることが出来ました。
21年に無理やりCamposからF2デビューしていても多分ろくな成績を残せなかったと思うので、ラッキーかな?という感想もありました。
シーズンを通しては、バクー、シルバーストーン、シュピールベルクと、中盤の3ラウンドで稼いだポイントが効いたな、と振り返って感じます。
その流れで迎えたル・カステレ(ポールリカール)。予選はPPを獲得、しかしFRではピットでストールしリタイヤ。これが後半に向けて大きく流れを変えてしまったイメージは強いです。(結果的にその後のスパ、ザントフォールト、モンツァではクラッシュ。)
最終戦はとてつもないプレッシャーがあったと思いますが、きちんと完走し、F1への切符を手にしました。
Hitech Grand Prix
#7 Marcus Armstrong(マーカス・アームストロング)
スプリントレースマスターとなったニュージーランド人、2人目。
予選、レースともにいい位置につけていると何かが起こってレースを失う印象があるアームストロング。今シーズンの彼は1位を走っているときは無風でしたが、それ以外ではやはり何かが起こってレースを失っていました。
サクヒールのSR、ヒューズに当てられリタイヤ。バクーのFRではHitechの1-2が見えてきたタイミングで同士討ち。シュピールベルクのFRでも序盤で当てられスピンなどと、挙げればキリがないレベルです。
年間では3勝を挙げましたが全てスプリントレースという点、そしてコンスタントにポイントを重ねられなかったということでランキングはまさかの13位、優勝ドライバーの中では最下位でした。(ちなみに3年連続で年間ランキング13位らしい。)
F3までのレースを見ていると思うようにいかなかったF2でしたが、来季から参戦するインディカーでは、どのような活躍を見せてくれるでしょうか?
#8 Jüri Vips(ユーリ・ヴィップス)
とにかくいろいろあった人。
予選の速さはピカイチ。しかし決勝に結果がつながらない。そんな焦りが表面化し始めたのはRd.3のイモラでしょう。
予選ではPPを獲得。しかしFRではスタートで大失敗。遅れを取り戻そうとしたのか、単独ミスでクラッシュ。(余談だが、このSCでミディアムスタート勢のレースは終わってしまった。)
続くバルセロナもSRで単独スピン。DAZN Japanのコメンタリーでは「ヴィップス、やっぱりFP1でF1をドライブすると走りが良い感じなんですかね」と解説が話した5秒後にスピンしたためTLの空気がザワついた、なんて話もありました。
そして筆者も思い出したくないRd.6バクー。
2年連続でのポールポジション。FRも残り6分半というところで、後ろのハウガーが1秒差まで迫ってきたところで単独クラッシュ。25点を失いました。
次にチャンスが回ってきたのはRd.13モンツァのSR。見事勝利を挙げましたが、もうチャンピオンは決まっていました。
彼自身のミスで失ったポイントもかなりの量ですが、ピットストップで失ったポイントも大量にあると思います。
そしてゲーム配信中の差別発言事件。これでレースキャリアにおける大きな後ろ盾を失いました。気を付けないといけませんね。
来季に向けてはどのようなプランがあるのか分かりませんが、速いドライバーであることは間違いないと思うので、どこかで走ってほしいですね。
ART Grand Prix
#9 Frederik Vesti(フレデリック・ヴェスティ)
正直もっとやれると期待していたドライバー。
F3を2年走って満を持してのF2デビューといった感じのあるヴェスティ。しかし開幕5レースを無得点で終えました。6レース目のイモラFRではレース展開にも助けられ初のポイントを獲得。ARTの2台目の呪い?なんて思ってもいました。
しかしそんなことはなくバルセロナFRでは初めての表彰台を獲得、バクーのSRではダルバラを抑えきり初優勝を記録。シュピールベルクではPPもゲットしました。
しかし成績にはかなりの波があり、夏休み明けはモンツァで両レースとも2位という素晴らしいリザルトを記録するも、ポイント獲得はこのラウンドのみに。
調子のよかったラウンドを安定して記録できれば、来季のチャンピオンも十分狙えるドライバーだと思っているので、古巣と言ってもいいPREMAとの組み合わせはどうなるのか注目です。
#10 Théo Pourchaire(テオ・プルシェール)
不運に泣かされた感が凄い今年のプルシェール。
開幕戦のSRでいきなりマシントラブル、続くジェッダでもトラブル。しかしコンスタントにポイントを重ねて、Rd.10ブダペスト終了時点ではランキング1位のドゥルゴビッチとのポイント差は21にまで縮まりました。
しかし、スパのFRでトラブルによりノーポイント。ザントフォールトは予選でクラッシュし、モンツァは他車のクラッシュによる影響でタイムを出せず、FRでは1周目のクラッシュに巻き込まれる。最終ラウンドのヤスアイランドではFRで最終盤にまたしてもマシントラブル。
シーズンが終わってみればドゥルゴビッチとの21点差は101点差にまで広がっていました。
どうやら来シーズンもF2にエントリーするようですが、これ以上走っても評価を上げることができないでしょうし、むしろ評価を落としてしまうのではないかと思っています。
一時期噂されたスーパーフォーミュラ参戦はこの点ではすごく合理的だと思ったのですが・・・。
MP Motorsport
#11 Felipe Drugovich(フェリペ・ドゥルゴビッチ)
優勝するだろうとは思っていましたが、ここまでチャンピオンシップを支配するとはブラジル人も思ってなかったんじゃないかな?と思います。
なんといっても特筆すべきはバルセロナの圧巻のダブルウィン。F2になってから初の週末全てのレースを優勝(GP2時代も遡ると16年のバクーでジョビナッツィが記録している)を記録。グリッドペナルティも関係なしのロケットスタートとタイヤマネジメントは、「あ、こいつすげえわ」と思わざるを得ませんでした。
続くモンテカルロのSRはどったんばったん大騒ぎなレースでしたが、FRではきちんと勝利。ここから彼は「チャンピオンを獲る」こと重きを置いたレースをするようになったように思います。
チャンピオン決定がかかったモンツァのSRではまさかの1周目に接触でレースリタイヤ、しかしライバルが下位に沈んだことによりピットウォールでチャンピオン決定の瞬間を迎えるという珍しい出来事も(ちなみにドゥルゴビッチが接触でリタイヤしたのはこのレースのみ)。
F2はチャンピオンが決まった後のレースではグダグダな展開になることがある人もいますが、彼の場合は最終ラウンドのヤスアイランドも勝利を目指して戦えた、というのも印象的でした。
育成枠に入らずここまで来たのでF1チームとの関係が無かったドライバーでしたが、チャンピオンを獲ったことによりアストンマーティンとの契約を結ぶことが出来ました。F1で見たいのはもちろんですが、F2で磨いたタイヤマネジメントやレースの強さを活かせるシリーズでも見てみたいですね。
#12 Clément Novalak(クレモン・ノヴァラク)
ドゥルゴビッチと対照的なシーズンを送ったチームメイト。
FRでのプライムスタートがハマったレースではポイントを重ね、ザントフォールトではリバースPPを活かして初めての表彰台(2位)を獲得しました。
チームのリソースがドゥルゴビッチに集中していたのか、後方でレースすることが多かったノヴァラク。他チームから優秀なエンジニアがMPに加入したなんてニュースは聞いた事がある人も多いと思いますが、それがこの差を生んだのかな?と考えることもできます。ワンメイクだからこその難しさですね。
来シーズンはTridentに移籍するようですが、後述するフェシュホーのような活躍をF3時代の古巣でできるでしょうか。
Campos Racing
#14 Olli Caldwell(オリ・コールドウェル)
期待外れなのか、期待通りなのか、よくわからなかったというのが正直な感想。
F3では優勝も飾り、ランキングも8位を記録してましたが、終盤戦の下り調子が気になりました。F2も2021年の終盤2戦をCamposからエントリーしましたが、ほぼ毎レース誰かと接触していた点も気になっていました。
そしてその気になっていた何かは開幕ラウンドのFRで分かってしまった。フォーメーションラップ中の違反とトラックリミット違反で1レースで7ペナルティポイントを荒稼ぎしてしまったのです。
シュピールベルクのFRで6位に入り初のポイントを獲得しましたが、このレース開始時にペナルティポイントは11、(12になると1ラウンド出場停止となる)チームラジオで「これ以上トラックリミットの違反をしないでくれ!」と無線が入ったとき、5秒ペナルティで順位を失うだけでなく、次のレースに出られなくなるという意味も混ざっているんじゃないか?と考察してしまう無線でもありました。
しかしブダペストでトラックリミット違反によるペナルティを受けてしまい続くスパは出場停止となってしまった。
出場停止明け、大荒れのザントフォールトFRでも8位に入りポイントを獲得しましたが入賞は上記の2レースのみ、アルピーヌアカデミーのメンバーとしてはどうなんだ、という成績でした。
来季のF2のシートの噂には彼の名前はあまり上がってきませんが、WECのアルピーヌをテストしたなんて話もあったので、動向が気になる一人でもあります。
#14 Lirim Zendeli(リリム・ツェンデリ)
コールドウェルが出場停止となったスパで代役参戦したツェンデリ。
今シーズンはF3にもエントリーしたラウンドもあり、スーパーサブのドイツ人の1人となりました。
レース結果は20位とリタイヤであまり書くことがない。アルピーヌロゴがないアルピーヌカラーのCamposが見れたことくらいでしょうか。
#15 Ralph Boschung(ラルフ・ボシュン)
✌😄
特徴的なマシンリバリーで一目でわかるボシュンのマシン。
開幕ラウンドは両レースとも4位に入り、ジェッダ、イモラも予選でともに4位と好ダッシュを決めたスイス人。イモラのFRでは3位表彰台を獲得しました。
しかし首を痛めたことによってフリー走行や予選のみのエントリーでレースは棄権するといったことが増え、シュピールベルクからは夏休み明けまでは休養に専念しました。
休養明けは首に負担がかかるスパ、しかしリバースPPを活かし3位表彰台を獲得。カール・ルネフェルト*と抱き合うシーンは印象的でした。(そこ?)
しかしそれ以降はポイントを獲得できずにシーズンを終了。
予選で前に来るが、レースペースが悪く順位を落とす展開が非常に多かった印象を受けます。
2023年もCamposからエントリーすると発表がありました、念願のF2初優勝を来シーズンは達成できるでしょうか。
*(カール・ルネフェルト:ボシュンのマシンに描かれている顔の本人。2012年のロータスルノーのF1をテストドライブした経験もある暗号通貨系のYouTuber、インフルエンサー。パドックでいろいろな出来事を起こしてたりもするらしい。(筆者のツイートを遡ると出てくるかも?))
#15 Roberto Merhi(ロベルト・メリ)
ボシュンの休養中のピンチヒッター。
4年ぶりのF2参戦となった復帰1ラウンド目のシュピールベルク、予選はトラブルもあり21番手からのスタートでしたが、FRではハーフウェットの路面をスリックでスタートする戦略が大成功。トラックリミットによるペナルティを受けたものの3位でフィニッシュしました。(もしペナルティが無ければ優勝だったため、Camposチームは車両のGPSデータを用いてFIAに抗議をしましたが、F2マシンに搭載されているGPSはトラックリミットを判定できるほど正確ではないという理由で棄却されました。)
その後はポイントを獲得できず、スパでボシュンが復帰したため、F2からはブダペストをもって離れることに。
来季は日本のスーパーフォーミュラで走る噂もあるとかないとか・・・
DAMS
#16 Roy Nissany(ロイ・ニッサニー)
ところどころで成長を見せましたが、失礼ながら「やっぱりニッサニー」といったシーズンでした。
ハイライトはイモラFR、抜群のロケットスタートで6番手から一気にトップへ!さらにタイミングよくSCが入りロスタイムがほぼない状態でピットストップを完了し、実質的なトップでコースに復帰します。
普通に走れば優勝間違いなしの展開。
しかしニッサニー、最終コーナーの立ち上がりで右タイヤをダートに落としコントロールを失い、そのままクラッシュ…。
これ以降シーズン終了までは7ポイントしか稼げず、絶好のチャンスを失った代償は大きかったように思います。
危険なドライビングも悪い意味で目立ってしまいました。シルバーストーンのFR、ハウガーとのクラッシュはHALOが無ければ命に関わるクラッシュになっていた可能性が高かったでしょう。
(あれは5グリッド降格で済むものじゃないと思っています。2019年ソチSRのマゼピンの15グリッド降格と同レベルの過失だという個人的見解。)
それらを含む危険なインシデントが積み重なり、ザントフォールトFRでのSC中の危険運転でペナルティポイントは13となってしまい、モンツァは出場停止となりました。
復帰したアブダビでは予選で2位に入りDAMSにF2初のフロントロウ独占をプレゼントしましたが、FRでは2位スタートを活かせず最終的にはトラックリミット違反による5秒ペナルティで10位フィニッシュに。
来季は新たにPHMと提携したCharouzからエントリーすることに。チーム力からして優勝することは難しいのではないかと思っていますが、彼のF2での経験がチームを引っ張っていけるでしょうか。
#16 Luca Ghiotto(ルカ・ギオット)
ニッサニーの代役としてRd.13モンツァにエントリー。母国で思わぬサプライズとなりました。
SRでは13位、ギオットの持ち味とされるレースの組み立てが発揮されそうなFRでは1周目の多重クラッシュに巻き込まれリタイヤとなってしまいました。久々にF2でのギオットを見られると少し期待したファンからすると残念な結末ではありました。
#17 Ayumu Iwasa(岩佐歩夢)
日本人ドライバーだから、地元が同じドライバーだからというのは抜きにしても、すごいドライバーだなと感じさせられました。
F3は年間ランキング12位、レッドブルジュニアの中では最上位だったものの、F2デビューは時期尚早ではないかと思っていました(2021年のハウガーはレッドブルのサポートを受けてはいるがレッドブルジュニアではない、ドゥーハンも同様)。しかしDr.マルコの目は間違っていませんでした。
開幕ラウンドの予選、アウトラップでスピンアウトしノータイム。うーん...と思った金曜日の夜でしたが、そこからのSRで14ポジションアップの8位入賞。FRではソフトタイヤを引っ張り22位スタートから一時は暫定1位を走行。ピットアウト後も7位を走行したもののマシントラブルで最下位へ。手首がねじ切れる週末でした。
そしてコンスタントにポイント、表彰台を獲得する中迎えたRd.9 ル・カステレFR。スタート後のミストラルストレートでトップに立ち、そのままレースをコントロールし初優勝。完璧なレースでした。
Rd.13のモンツァは試練のラウンドに。
予選で大クラッシュ、上位グリッドからスタートしたSRはまるでペースが無く16位でフィニッシュ。FRもこのままかと思いましたが、厳しい中後続を抑え3位でフィニッシュ。しかし車検で規定違反が見つかり失格に。
最終ラウンドは「ミスだらけのラップ」ながらPPを獲得。FRではドゥルゴビッチの猛攻を抑え2勝目を挙げました。
DAZN Japanのインタビューを聴いていてもとても賢いドライバーなんだろうなというのが伝わってきますし、2シーズン目のF2でどれだけ強く、速くなれるのかがとてもとても注目です。
Trident
#20 Richard Verschoor(リチャード・フェシュホー)
いくらフェシュホーでもTridentじゃなぁ・・・と思っていました。しかしそれは開幕らうんどですぐにいい意味で裏切られました。
開幕ラウンドのサクヒール、リバースPPを活かしSRでTridentにF2初優勝をプレゼント。
続くジェッダではピット戦略が絡むFRで2位に入ってみせました。ここらで「Trident、やれるな」と思ったのもつかの間、以降10レースでは1度の入賞のみに留まりました。
彼のハイライトはなんといってもシュピールベルクFR。
ハーフウェットの路面、8番手グリッドの彼が選んだのはスリックタイヤ。序盤は苦しみましたが、路面が乾くにつれペースが上がり、独走状態のトップに。そしてフィニッシュ時には2位に10秒差を付け圧勝!
しかしフィニッシュ直後にストップ。嫌な予感がしましたがそれは的中。燃料サンプルが足りずレースから失格に。
記録には残りませんでしたが、視聴者の記憶には彼の素晴らしいレースが残っているでしょう。
母国のザントフォールトのFRでもマシンにダメージを負いながら2番手でフィニッシュ。オレンジ軍団もニッコリだったでしょう。
これだけの活躍ができるドライバーですから、来季も戦えるカテゴリで見たいものです。
#21 Calan Williams(カラン・ウィリアムス)
F3ではJenzerで時折光る走りを見せたウィリアムス。
筆者の記憶に残っていることとしては、
ルーキーイヤーのF2ではジェッダSRで4位を獲得。
バルセロナのSRではリバースグリッドで2番手スタートの大チャンス。しかしフォーメーションラップでマシンが動かず彼のレースは実質終了。
バクーのFRではステイアウトを選択し一時的にトップに立ちますが、後続から迫る上位集団に追いつかれたところをブレーキングミスでコーナーを直進。
これくらいしか覚えていないのが申し訳なく思う。
最終的に最終ラウンドの前にチームを離脱し、M4 GT3の写真をSNSにアップロードしていたため、そちら方面へ行くのでしょうか。
#21 Zane Maloney(ゼイン・マローニー)
ウィリアムスが離脱した空席に座った2022年 F3副チャンピオン。
デビューラウンドは15位と16位、いい経験になったのではないでしょうか。
来シーズンはCarlinからのエントリーが噂されていて、F3シーズン終盤の勢いを開幕から発揮できればとんでもないルーキーになる予感がします。
Charouz Racing System
#22 Enzo Fittipaldi(エンツォ・フィッティパルディ)
チャロウズでここまでの成績を上げられると想像していた人はほとんどいなかったでしょう、私も想像していませんでした。
レース展開も味方したイモラFRで2位に、そこからコンスタントにポイントを積み重ねました。
ブダペストFRでは格上チームをピット戦略(オーバーカット)で打ち負かし、2位でフィニッシュ。SRでも3位に入っており、両レースで表彰台に登ってみせました。
勢いはレースだけにとどまらず、スパでは予選で2番手につけました。PPがドゥルゴビッチだったため、ブラジルは大熱狂だったでしょう。
しかしチーム力の限界もあったでしょうか、全てのラウンドで上位に来ることは叶いませんでした。ですが、とても手強いドライバーだということは世界中に認知されたでしょう。来季はレッドブルジュニアのメンバーとしてCarlinをドライブするようなので、チャンピオン候補の1人だと考えている人が大多数でしょうね。(筆者もです)
#23 Cem Bölükbaşı(ジェン・ブリュバシェ)
Esportsからやってきたドライバー。F1公式のEsportsシリーズにも出場していたこともあり、F1のYouTubeチャンネルで特集動画*も作られる期待っぷり。*動画URL(https://www.youtube.com/watch?v=-4fPaDmzRbc)
しかし実際のレースではポイントを獲得できず、夏休み明け直前にチームとの契約を解消しF2から離脱を発表しました。(余談だが、F2離脱後にF1 Esportsの解説に来た際の肩書は"Formula 2 driver"だった。)
スタートが得意な印象があり、毎レース4つや5つポジションを上げていた記憶があります。モンテカルロではSRとFRでそれぞれ12位と11位を記録、それが彼の最上位となりました。
このページを書いている今現在、彼は東京にいるようです。将来的に日本のレースに参戦する可能性もあるのでしょうか?
#23 David Beckmann(ダービット・ベックマン)
CharouzでのエントリーはRd.3のイモラ、ブリュバシェが直前のテストで負傷したため代役として出場。
FRではレース展開にも助けられ、8位でフィニッシュ。Charouzのチームポイントに貢献しました。
#23 Tatiana Calderón(タティアナ・カルデロン)
夏休み明けからブリュバシェに代わってエントリー。期待したファンもいたでしょうが、最高位は18位と厳しい結果でした。
2019年のプレシーズンテストでCharouzからエントリーしたことがあり、シートやペダルポジションはすぐに用意された、という話があるようです。
Van Amersfoort Racing
#24 Jake Hughes(ジェイク・ヒューズ)
新規参戦、VARの頼みの綱。
デビューラウンドの予選でいきなり8番手に食い込み、さすがヒューズといった感想を受けた人も多いでしょう。
ジェッダのSRでは3位でフィニッシュし、チーム初の表彰台をプレゼントするが、車両規定違反により失格となり幻に。しかし翌日のFRで4位に入ってみせました。
しかしレースペースに苦しむレースが多く、バクーではリバースPPからほぼ最下位まで下がってしまうレースもありました。
モンテカルロでは予選で大クラッシュ。しかしグループで5番手だったため翌日のSRでPPの権利がありました。
チームはマシンの修復をレースまでに間に合わせ、1番手グリッドに並んだヒューズ。しかしストールしスタートが出来ない!まさに天国から地獄とはこの事か・・・といった感じ。
(スタートできていれば優勝は出来ていたんじゃないかなと未だに思います。)
Rd.8 シュピールベルクのFRでは5位入賞、しかしその後COVID-19感染によりRd.9のル・カステレと続くブダペストを欠場。夏休み明けにフォーミュラEのシート獲得に専念するためVARからの離脱を発表しました。
先日マクラーレンフォーミュラEチームのレギュラードライバーに発表されたことは本当にうれしかったです。
#24 #25 David Beckmann(ダービット・ベックマン)
再び登場ベックマン、ドイツ人スーパーサブはヒューズの代役でRd.9-13を#24、後述する出場停止のコルディールの代役でRd.7では#25をドライブしました。
スパとモンツァでは両レースでポイントを獲得。モンツァではチームオーダーが発令されるというF2では珍しいこともありました。
#24 Juan Manuel Correa(ファン・マヌエル・コレア)
最終ラウンド、ヤスアイランドにエントリー。2019年スパの大クラッシュから3年ぶりにF2にカムバック。ここまでの努力は素晴らしいと思います。
しかしレースでは復帰早々佐藤と接触。いろんな出来事があっても根本的なドライビングは変わらないのかもしれませんね。
#25 Amaury Cordeel(アマウリー・コルディール)
急成長を遂げたドライバー。
F3でノーポイントながらF2に昇格したため、実力を疑問視されていました。
Rd.3 イモラではトラックリミット違反でペナルティポイントを5加算、その他のインシデントも重なり、シーズン半分に満たないRd.6 バクー終了時点でペナルティポイントが12となってしまいシルバーストーンでは出場停止に。
流れが変わったのはRd.12 ザントフォールト。荒れた展開のFRで6位に入り初ポイント。続くモンツァでもFRで7位に入ってみせました。
最終ラウンドのヤスアイランドでは、SRでは表彰台争いを繰り広げ最終的に5位フィニッシュ。FRでも堅実なレースで6位に入りました。
来季はVirtuosiに移籍が決まりましたが、過去にTikTokにアップロードしたスピード違反のいろいろなアレの判決が出たらしく、今後の動向がいろいろな意味で気になります。
(個人的にはDM事件も燃やされそうだと思ってるけど日本ではあんまり燃えないね)
いかがでしたか?(←言ってみたかった)
ここまで読んでくださった皆様、お疲れさまでした。
書いてる途中で文章の雰囲気が変わってたりバラバラになってるかと思いますがその辺りは許してください・・・。
2023年のドライバーラインナップが確定した時、「F2 2023シーズンの展望」みたいなのも書きたいなとは思っています。(書くとは言っていない)
ではまた、Twitterでお会いしましょう!
ありがとうございました!