温泉旅館をこども園にリノベーション 浅間温泉のこども園坂元屋
坂本の湯から、坂元屋へ
2020年のお仕事紹介です。こちらは、長野県松本市の浅間温泉という温泉街の、坂の一番上にある温泉旅館「坂本の湯」を、日帰り入浴は残しつつ、1階を小規模こども園としてリノベーションしたプロジェクトです。温泉旅館をこども園に?最初お話をいただいたときは、ちょっと戸惑う設定でしたが、お話を聞けば聞くほど、なんてぴったりなのだろうと思いました。この旅館をずっと切り盛りしてきたご夫婦、ご高齢になって食事の支度や掃除などが体力的に厳しくなり廃業を考えていたところ、以前から保育園をやりたかった柳沢林業さんと意気投合、日帰り温泉の機能は残しつつ、1階をこども園にすることで、温泉に来るお客様と子供たちが出会い、大人にとっても子供にとっても、素敵な空間になるということ。ずっと旅館の食事をつくってきた女将さんは、こども園ができたら厨房や保育を手伝うと張り切っていました。私たちは設計の依頼をいただいて、現地を見て、しっかりと美しくつくられた旅館の建物にほれぼれ。古くはなっていましたが、元のつくりがとても良いので、なるべく元の良さを活かして、子供たちが過ごす場所としてより明るく、風通しよく、暖かく、楽しい空間になるように考えました。
お話をいただいたときは、旅館を保育園に?と少し不安だったのですが、現地に行って部屋を見ると、もともと宴会場だったお部屋が、保育室にちょうど良いサイズ感。
元の空間が良いので、畳や壁、天井などはそのまま、建具や照明、家具を変えて明るく広々とした空間にしました。
旅館の厨房は大きすぎるので、少し狭くして廊下だった部分とあわせて広い遊戯室&ランチスペース空間をつくりました。明るい黄色の厨房の前にカウンターをつくって、子供たちが料理をしてくれている姿を見られるようにしています。
コンクリート造の建物では音の反響が大きいため、通常の吸音板等の天井よりも吸音性能を上げるように、木のルーバー状の天井の裏にグラスウールを敷き込みました。
ロビーを右手に行くとこども園の入り口。左手に行くと日帰り温泉です。
各保育室へはガラス戸と着替えなどを入れる収納棚で仕切られています。
こども用トイレと、黄色いタイルでつくったおしり洗い。
おむつ替えスペース。
料理をしてくれている姿を見られるって、とても素敵なことだと思うのです。
もともとは狭く暗い廊下だった部分も、厨房を狭くした分広げて、保育室とガラスで仕切るようにしたのでとても明るく広々とした場所になりました。
こちらがロビー。温泉から出たら、子供たちが遊んでいる。素敵なことだと思います。
既存のお庭を活かして砂場もつくりました。
屋号の看板、部屋名のプレートは、友人の彫師が彫ってくれました。
保育室の名前は、坂元の湯から使っていた名前をそのまま使いました。あえて子供らしくしないところが素敵です。
とても素晴らしい仕事をさせていただきました!このこども園で、たくさんの子供たちがすくすく育っていくことを楽しみにしています!!
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