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「あたたかい中心」をつくる   ロッジやまじうのリノベーション

増改築を繰り返してできた建物、どうするか?

2020年のお仕事紹介です。
白馬のロッジやまじうさん。元オリンピック選手の福嶋のり子さんが若女将を務めるこの民宿は、昔からの常連客でいつも賑わう、知る人ぞ知るお宿。岩岳のスキー場の真下にあり、冬にはたくさんの滑り手が集います。

増改築を繰り返してきたお宿、真ん中の部屋は窓がなかったりして、空調も昔の謎の非効率なシステムだったり、古いボイラーから煙が出てたり、柱の位置も梁の位置も謎だらけ、その場その場でいろいろやってきた歴史の蓄積のような状態。

それでもお母さんたちからのり子さん夫婦への世代交代していくタイミングで、のり子さんたちの代がこれからもお宿をいいかんじに続けていけるようにしたいという依頼でした。

旅館の改修って、いろいろ他の建物も相談を受けてきて思うのだけど、広いし設備も多いし大分いろんなところが古くなってるし、かといって全部まるっと改修するのはものすごくお金がかかっちゃうしで、なにに手をつけるかの選択がとても難しいんですよね。お金をかけすぎず、でもこれからのことを考えて、必要なことをバランスよくやっていかないといけない。単純に空間をかっこよくすれば良いというわけでもなく、単に機能を満足すれば良いというわけでもない。

いろいろ悩んだ末私たちは、建物の真ん中の窓のない部屋をぜんぶ潰して吹き抜けをつくって、廊下もどんづまりで暗い場所が多かった全体をひとつの吹き抜けでつなぎ、2階の廊下にも回遊性を持たせる提案をしました。たくさん手を入れるわけじゃなく、主にど真ん中に、「あたたかい中心」をつくることに重きを置いて、その中心がすべてをまとめてくれるようなイメージで。窓の光も照明の温もりも薪ストーブの暖気も、宿全体に行き渡るようになってとても良いかんじ。

最後に客室の扉に木を貼ってオシャレにするワークショップをやって、わりと大味な空間に密度濃い扉を入れて、全体の雰囲気をきゅっとまとめました。うん、とてもいいかんじ。ワークショップには安曇野の愉快な仲間達をはじめ、やまじうさんらしく白馬の滑り手のみなさんが大集合!いやあ、さすがすごい人にいっぱい会えました。

完成からしばらく経って度々立ち寄ると、いつも薪ストーブの前に人が集まっていて、とてもいいかんじ。特に昔からの常連さんたちがこのリノベーションにとても感動してくれたそうです。やまじうらしさを残したリノベーション。とてもうまくいったと思っています。

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