ハーフビルドで小屋を建てる!MOUNTAIN HUT 施工編③上棟式~土台軒下塗装~屋根ポリカ貼り
前回の記事、ハーフビルドで小屋を建てる!MOUNTAIN HUT 施工編②屋根合板~断熱~防水の続きです。いよいよ上棟したぞ!ということで、まずは上棟式から。
上棟式 2019年9月10日
7日に屋根の防水貼りまで終わり、10日は上棟式を行いました。最近は地鎮祭だけで上棟式はやらない現場が多いですが、私の現場ではよくやっています。建物の骨組みが立ち上がった時点でのお披露目のような意味もありつつ、近所の人やお世話になった人、これからお世話になる人によろしくお願いしますという思いを込めて、これから工事が無事に進みますようにという願いも込めての上棟式というのは一生の記念になるものです。
そういうのが大好きな羽山さんと一緒に盛り上がって、じゃあ盛大にやろうということになりました。
当日朝、まずは現場内にたくさん置いてあった資材を全部外に出し、中を片付け掃除して、端材を使って席をセッティング。
早朝から左官職人のお友達、三郎さん由美子さん夫妻がはるばる埼玉から手伝いに来てくれました。三郎さんにはこのあとの現場でしっくいタイルなどお願いする予定。紅白の縄を飾り付けしながらキメポーズ笑。
餅まきの餅にMOUNTAIN HUTのシール貼り。このために、ちょっと前に羽山さんから真弓ちゃんMOUNTAIN HUTのロゴとかデザインしてくれる?と頼まれて、急いでロゴマークやら文字やらデザインしたのでした。
会場には食べ物をずらーり。来てくれた方々への振る舞いです。こちらは島田担当。
そうこうしてるうちに、だいぶ人が集まってきました。羽山さんの友人やら、私の友人やら、ご近所の方々やら、かなり遠方から来てくれた人まで様々。
羽山さんからみなさんに挨拶してもらって、カンパーイ!!
そしてお楽しみの餅まきです。ふつうの白いお餅ではなく、小網でつくっている栃の実からつくった栃餅。ものすごく美味しいんですよ。みなさんとても喜んでくれました。
餅まきのあとはひたすらパーティーです。みんな食べて飲んでおしゃべりして、楽しい時間の始まり。屋外では寺田さんのカレー3種類の振る舞い。めちゃくちゃ美味しいと大好評でした!
何度もカレーをおかわりする男性陣。
女性陣にはパッタイが大人気
さらにカオマンガイを炊いたり、、もうおなかいっぱいです!!!
おなかがいっぱいになったみなさん、向かいのおじいちゃんの家の前や軒先でそれぞれおしゃべり。上棟式には、もともと旧羽山邸でシェアハウスをして暮らしていた元住民の方々も来てくれました。みんな再建を喜んでくれて何より。楽しい時間でした。人が集まる場所と、美味しいもの。私たちのやりたいことはこれだなあと、いつも思ってることをまた実感できた一日でした。
上棟式後の現場作業 防水の末端処理
たっぷり楽しんで解散した後の16時ごろから、残ったメンバーで現場作業スタート。先日終わらせられなかった屋根の防水の末端処理をやることにしました。この日のメンバーは若者揃い!
防水シートの端をちゃんとおさえないとそこから水が入っちゃうんですね。ふつうは板金の水切りなど金物を使うのですが、この建物はあんまり、それを使いたくなかったのです。金物つけるとパキっとしてしまうというか、とんがった印象になるし、実際にとんがってるから屋根の低いこの建物ではちょっとあぶなっかしいんですね。なので、合板の小口に防水をぐるっと巻きあげた上で、檜の押縁で端部をおさえました。これで水がまわってきても、押縁のところで水が切れます。とても地味だけどとても大事なこと。建築ってこういうことの集積でできてます。
地味ーな作業でしたが、みんな楽しそうにやってくれました。感謝!妻側も含め全周の処理が終わって、この日の現場は終了。
(セルフビルド6日目 11名)
上棟式の様子をMGプレスに掲載していただきました!小さいけど意外とたくさん人が入ることが判明!!
軒先塗装と土台の防蟻処理 2019年9月20日
上棟式の準備で燃え尽き気味。この日はちょっとゆったりめに、塗装工事に専念することにしました。
塗装の前に合板小口のサンダーがけ。合板は表面よりも小口がめちゃくちゃ水を吸います。雨があたる部分は処理をしておかないと水を吸ってぺりぺりに剥がれていきます。本当は屋外では小口は出さず、ふつうは金物やらなにやらで小口を隠すところですが、前回書いたのと同じ理由で今回はそこははしょって、しっかりと塗装する作戦でやってみることにしました。
塗装といってもものすごくたくさんの種類があります。今回MOUNTAIN HUTでは、塗料のロスをおさえるために、中も外もすべて同じ塗料でやることにしました。1缶で数万円するので、何個も買って全部余らせるともったいないんですね。塗料はかなり科学的なものから、天然のものまでいろいろあります。今回はリボスを使いました。天然オイルが主成分で、価格はそれなりにしますが高すぎず信頼できる、バランスのよい塗料だと思ってます。
こんな感じで軒天全体、合板の小口、前回設置した檜の押縁まで全部、木部をしっかり塗装しました。
この日の現場メシは、タコライス!このころマイグラントではメキシカンが流行っておりました。
足元の塗装も開始。基礎はあらわしなので色がつかないようにシートで養生します。
土台と柱の足元には、防蟻処理として渋墨という塗料を使いました。柿渋が主成分の天然塗料で、防虫効果もあるものです。柿渋だけにものすごいニオイがします。実は防蟻処理はかなり悩んでこれにしました。一般に防蟻剤として売られているものってものすごくケミカルなんですね。なるべく化学物質を避けたかったので、いろいろ調べた結果これに落ち着きました。値段もお手頃。
通りすがりの羽山さんのお友達も手伝ってくれました。
この日、前々からコツコツと探していたヤフオクで購入したサッシが届いていたので、いよいよ開封。実際にあててみて、窓の位置を決定。いい感じになりそうです。
大きいのは玄関の扉になります。全部開封して、しっかり採寸して、事務所に帰ってから枠の設計をします。普通は枠も建具も一緒に設計するから楽なんだけれど、今回は古民家建具の寸法から逆に設計していくので超大変。そもそもなんでこういう建具にしたかというと、まずは値段が安いから。小さい建具は2枚で1万円ちょっと。ガラスも入ってるので、製作するのに比べたらかなり安いのです。そして見た目。古い建具、味があって素敵じゃないですか?合う合わないはあるけど、私たちがイメージしているMOUNTAIN HUTのイメージにはぴったりでした。逆に新しくつくったものではこの温かみは出せないですよね。
後々描いた建具の図面はこんなかんじ。取り付けはまだずいぶん先になります。
(セルフビルド7日目 5名)
屋根ポリカ貼り 2019年9月26日
上棟式で燃え尽きたりでちょっと間をあけて26日。屋根の一次仕上げとなるポリカを貼ります。一次仕上げとは?ポリカで仕上がりじゃないの?と思われるところですが、ここがこの建物の設計・意匠的な要でもありました。
「自然素材でつくりたい」というのは、設計者である私たちも、羽山さんも、最初から持っていた共通のイメージ。壁やら床やらは問題ないのですが、いつもネックになるのが屋根なのです。雨を面で受け、太陽の紫外線を直に浴びる屋根は、建物の本質である「雨風凌ぐ」の雨の部分を担う大事な部分。防水がしっかりしていれば、屋根材自体は防水を紫外線劣化等から保護する役割であるとはいえ、屋根材を木や杉皮などの本物の自然素材だけでつくるのは、設計者として到底おすすめできることではありませんでした。
一方、ポリカは安価で耐久性もそこそこ良く、軽くて先端もとがっていなくて危険もないので素人が施工するには最適と思われます。一時は防水の上にポリカを貼って終わりにしようかと思っていたのですが、羽山さんから珍しく難色を示され、もう一度考え直すことに。やっぱり仕上げは自然素材にしたい。雨漏りしない自然素材の屋根、どうやってつくろう。
さんざん悩んでいろんな人に相談して、大工の青山さんにも相談していたところ、「ポリカでいったん雨仕舞を完結させた後、化粧で板を貼れば?」という意見。今まで、あまり化粧で材を貼るということを良しとしてこなかったので(なんか不純な気がする、余計にお金がかかる)、一瞬うーんと思ったものの、全体的に考えるとそれはとても画期的なアイディアに思えました。そうか。ポリカがあれば雨は安心だし、上に貼ればいいのか!
そんなわけでけっこう直前まで悩んでいた屋根仕上げ問題も一気に解決し、いよいよポリカの貼り始め。ネットで注文していた長めの材を、青山さんがグラインダーで切ってくれました。何枚か重ねて一気切り。超速い。
屋根の頂部に折り曲げ式の梯子をかけて、上にも人が登れるようにしてポリカの貼り始め。もう防水を施工してしまったので、桟木を打ったりはできないんですね。ポリカは雨の溜まらない波状の山の部分に専用のビスを打つので、雨漏りしないんです。加えて改質アスが熱で溶けて、ビスの貫通部も止水ができます。
この日は青山さんの先輩であり旧羽山邸の住人である山口さんと、屋根合板貼りを手伝いに来てくれて知り合ったご近所友達の岡崎さん、知床エクスペディションにて知床半島を一緒に旅した宇城さんが手伝いに来てくれました。屈強な男性陣!助かります!!
ポリカ貼りは順調に進んでいたものの、ひとつ事件が。必要枚数頼んで現場に届けていたはずのポリカが足りない、、配達のミスなのか、はたまた現場から盗まれたのか、理由はわからず。人を疑っても無いものは無いので、急遽私が買い出しに行くことに。近くのコメリにはないので、遠くのカインズまで。青山さんが自分の現場に行ってしまったので、カットはポリカはさみでやりました。
若干色の違うカインズのポリカを混ぜて貼っていきます。もともとは、そういう仕上げも面白いかなーと思ってたんです。ちょっとシマシマなかんじ。ブラウンのポリカは一応透明なので、防水の「モラサン」という文字が見えまくります。もう少し見えないと思ったけど、結構見えてたね、、
さて、お昼どきに千葉事務所のOB野副くんと柳橋くんとその奥様方が到着!まずはみんなで現場メシ。
野副くんには塗装屋さんをやってもらいました。塗装は二度塗りが基本です。前回に続きこれが二度目でようやく終了。
ポリカ貼り部隊も順調。
村男Tに村男ボトルでドヤ顔の寺田さん笑
そろそろ終わりが見えてきたころ、事件発生。ギリギリ足りるはずだったポリカが、重ねしろをちょっととりすぎた関係でほんの少し足りないことが判明。また私が買いにいくことに。もーカインズまで行く時間はないので、近くのコメリにて、一応売ってた透明のポリカを買ってきました。終わらせることがだいじ!
そしてなんとか16時半ごろ、無事に両面のポリカが貼り終わりました!梯子で隠れてるあたりのポリカだけ透明。メッシュ入ったみたいで結構おしゃれでした。こういう仕上げも、目指す意匠によっては全然ありだなーと。
そして東京からはるばる来てくれたみなさんはMIGRANTで民泊。またまた楽しい現場&宴会でした!!みんなありがとう!!!
(セルフビルド8日目、9名)
施工編④に続く
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