【920/1096】問題はなにもない
しょっちゅう、トラウマやら防衛反応やらのことを書いて、今自分にある問題を解決するために変化するのが大事だという考えの持ち主のように思われるだろうが、実のところ、私は「問題な人は誰もいない。問題などなにもない」という考え方が好みである。
社会構成主義という考え方で、「問題な人というのは存在しない。ただ、それを問題だと定義している人がいるだけである」というものだ。
だから、自分の中でそのように捉えているだけであって、その有り様が変われば、問題だと思っていたものが問題ではなくなるのである。
これに出会ったのは、2017年頃なのだが、当初はこのような考え方をしたことがなかったし、自分は問題だらけで、こういうことを言う人は問題を見ていないだけだ、と思っていた。
でも、自分の中に問題があると思って、その問題に取り組もむと問題がだいたい悪化するのである。
だから、目を向けるのがイヤになって、目を背けたり、投げ出したりしてしまう。
でも、たとえば、心のことでなんらか不具合があるとき、身体を動かすことでその不快が解消する、というような変化がおきる。
心のことそのものに取り組まなくても、身体を動かすという変化を起こしたことで、心も変化するというわけである。
社会構成主義はこういう考え方で、これをセラピーにしたのがシステムズアプローチという手法である。
「変わりたいのに変われない。」
セラピーやカウンセリングにくるクライアントさんは、この葛藤を抱えている人が多い。
問題と思っているものに直接取り組むと、「変わりたくない!」という抵抗が強い。
抵抗の弱い、変化が起きやすいところに目を向けるようにすると、わりあい取り組んでくれる。
そうすると、実のところ、問題だと思っていたことにも変化が起きるのである。
部分が変われば、全体に波及するからである。自分が取り組みやすいところから手をつければいいというのは、気持ちが楽になる。
こういうのは、セラピーのような高葛藤のことでなくても、なんにでも当てはまる。
子どもが「勉強したくない」と言う。
でも、本当は勉強したい気持ちもある。
みたいなことは日常よくある。
そのときに、勉強するかしないか、とその問題を直接取り組むと、だいたい硬直する。
そんなときは、その日にやる予定の勉強以外の子どもが興味を持ちそうなことを提案してみる。
でもちょっと勉強につながりそうなこと。
クイズをするとか、今日のスケジュールを書き出すとか、なんでもいいのであるが、子どもが「それならやってもいいか」と思えるようなものを探してみる。
そうすると気持ちが変化する、みたいなことは起きるのである。
このときのコツは「変わっても変わらなくてもどちらでもいい」ということを提案する側が持っていることである。
「変化させたい」と思っているとうまくいかない。
変わっても変わらなくてもどちらでもいい、というのは、「選択し、決めるのは本人だから」という相手への尊重によるものだ。
自分自身にもそこを尊重する。
吟味して、自分で決めればいいだけである。
悩んでいるのは、決めてないからだ。
決めるのに迷ったら、息で決める。
息で決めると自分にとってだいたい良いことしかないし、大丈夫なのである。
では、また。
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