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苗代新己著「連れてって」 青春の日々と、気づけなかった思いと音楽と。

ウクレレで繋がった方で、苗代新己さんという方がお書きになったペーパーバック(プリントオンデマンド)書籍を購入し、拝読しました♪

プリントオンデマンドとは、
注文を受けてから印刷するというもので、在庫を抱えないという利点があるそうです。
材質や製本が、一般に流通している文庫本より質が落ちるとか。
その点を、苗代さんは気にしておられましたが、私はそれほど気になりませんでした。意外と、と言ってはなんですが、綺麗に製本されていました。

それより、もうできたの⁈というほど早い仕上がりに驚いたくらいです。

さて、では感想いきます!

物語の始まりは、
主人公の男性が妻のそばで
ウクレレを爪弾いているところから始ります。(ここ、いいですね〜♬光景を想像すると心が温かくなります)
妻がリクエストした曲、それは、彼にとってとても思い出深い曲でした。

そこから、学生時代の回想を語るシーンが始まります。

妻の前でする、混沌とした学生時代のあれやこれや。サークル活動(という名の遊び?)バイト、そして、
ちょっと気になる存在だった郁美ちゃんの話。
その後、
段々と社会に出て行く準備の時代に入り、郁美ちゃんとも疎遠になって行った3.4年生。
郁美ちゃんとの間に浮かぶ淡い恋心に胸がキュンとしました❤︎
ぐいぐいいかないところが切なくて良いのです。

大学生の4年間というのは、よく、モラトリアムの時代と言われるけれど
大学生の特権というべき
まだ何者にもなっていないふわふわした時間、ですよね。
この時過ごす4年という月日は、
社会に出る前に過ごす最後の愛おしい日々、なのではないでしょうか。

あの中途半端な、一件無駄とも思えるようなバカみたいな(失礼!)日々を過ごすかどうかで、
その後の人生はかなり違ったものになるのではないでしょうか。

日本の大学生の在り方には
そのシステム上問題がないとは言えないかもしれません。(欧米の大学より卒業が簡単である事など)
それと、今の大学生の在り方はわかりませんが(特に、ここ2年は暗中模索の時代となりましたね)、
それでも、あのモラトリアムな4年間の事、、少し羨ましい気持ちで読みました。

余談ですが、
私の場合はこんな感じの2年間でした(短大ゆえ)(恨み節です^^;)↓

私は親の敷いたレールに乗ったまま短大へ進学。得意科目が英語だけだったので(トホホ)私大の英文科に進みたかったのですが、即却下され地元短大へ。
(家政科、保育家、音楽科、教養科しかなかったので教養科にしました)

入学して3ヶ月も経たないうちに
脱サラした父が興した会社が倒産してうちは一文なしになっちゃった。
家には、お米しかなかったんです(本当に。)
結果的に2つの奨学金とバイトでその後の全てを自分で賄い卒業できましたが、
「遊ぶ」という時間は皆無でした。

今思います。
それが、私の満足感を削いでしまった原因のひとつなのだと。

…という個人的な事情があるため
この主人公の4年間が
めちゃくちゃ羨ましいのですね。

戻れるなら戻りたい。
部室で寝たり?友達と喫茶店行ってお喋りしたり。
そんな、失われた青春時代に、こんな年になっても叶わない憧憬を抱いてしまいます。
まぁ、あの頃の暗く澱んだ実家には絶対に戻りたくないですが。^^;

話が逸れました、ごめんなさい。

ところで、私は、
喫茶店や珈琲や音楽が
絡んだ文章を読むのが元々好きで、珈琲にまつわるエッセイなど集めていた時期があります。

苗代さんの小説は、
そんな私のツボを押さえているんです。ウクレレも出てくるのがまたいい!一挙に可愛さがプラスされる。
なので、
そういった描写のあるところは特に好きです。
珈琲の香りが漂ってくるよう。

あまり書くとネタバレになってしまうので
この辺でやめますが、

読んでいて、
何冊か読んだ村上春樹の文章に
似た雰囲気を感じました。

村上春樹は
「ノルウェイの森」
「海辺のカフカ」
「1Q84」「色彩を持たない多崎すぐると彼の巡礼の年」「レキシントンの幽霊」「東京奇譚集」くらいしか読んでないのですが、手元にある本をまた読んでみたくなりました。

村上春樹の小説も
だいたい音楽が絡んでいて
「色彩を持たない〜」を読んでいる時は、you tubeでリストの「巡礼の年 ル・マル・デュ・ペイ」をよく聴いていました。

この小説に出てくる曲、
Take me take me with you 
はどんな曲なのだろう。
調べたけど不明。
Take me を繰り返すタイトルが
せつなくていいですね。

コーフンして長くなってしまいました(笑)

さらに、苗代さんが、
なんと私に短編小説「栞」をプレゼントしてくださいました。(T . T)

こんな嬉しいことがあるなんて。
生きてて良かったです。
本当に、ありがとうございます。

最後の、葉っぱの栞の写真が
また可愛くて素敵でした♡

纏まらない文章になってしまい
失礼しました。

苗代さん、素敵な小説を書いて販売してくださり
読む事が出来て良かったです‼︎
本当にありがとうございました。
ご本、大切に大切にしますね。(繰り返してみました笑)

またいろいろ紡いでくださいね。
楽しみにお待ちしております♬

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