映画のはなし:はじめて途中退出したくなった映画『エベレスト 3D』
ちょっと前に気づいたのですが、私、山岳映画が好きらしい。じゃぁ登山も好きか、と聞かれたら別に好きじゃないです。両親は登山好きなので、私も歳を取ったら好きになるかもしれませんが、現状は「山に行きたい!」と思って行くことはないですね。マチュピチュみたいに「二度と来れないかも!」という時は頑張りますが。
ちなみに小説「孤高の人」のモデルとなった登山家・加藤文太郎が大好きな父が、私に「文子」と名づけようとしたらしいですが、母親が猛反対して違う名前になりました。
いや、そんなどうでもいい話は置いておいて……。
生まれてはじめて「あ、ちょっともうムリかも……映画館出たいかも……」と思った『エベレスト 3D』(2015年)。1996年に発生した、16名が命を落としてしまったエベレストの遭難事故を描いた作品です。実際にエベレストの約4800メートル地点まで登って撮影されたらしい。ってかエベレストって8800メートルでしょ?半分じゃん!
「公募隊」と呼ばれ、費用を払ってエベレスト登頂を目指すアマチュア登山家たち。登山技術はもちろん、登頂を目指す背景や職業、年齢に国籍もさまざま。アドベンチャー・コンサルタンツ隊(AC隊)のリーダー、ロブ・ホールと、ロブの友人であり良きライバルである、マウンテン・マッドネス隊(MM隊)を率いるスコット・フィッシャー。それぞれ公募で集まった隊員を登頂させるため最終アタックに挑むが、AC隊のメンバーに体調不良などのトラブルが発生。しかしロブはメンバーを登頂させることを優先し、予定より長時間頂上に滞在し下山を開始するが、急激に天候も悪化してしまった。
人間が生存できないほど酸素が薄いデス・ゾーンで遭難したロブ達の状況を知ったベースキャンプの面々は、彼らを救出しようとあらゆる限りの手を尽くす。
いやもうIMAX 3Dのど真ん中で観たもんだから、遭難してからの迫力がすごくて「マジでちょっと怖すぎるから出たい……」と、恐れ慄きましてね。映画観てこんなに心拍数上がったのはじめてかも、というくらいの戦慄体験をしました。
当時、山好きの先輩に「『エベレスト』観たんですけど、めっちゃ怖かったっす」という話をしたら、「この映画を観て怖いと思うなら、山の怖さを分かってる証拠だ」と、よく分からんお墨付きをもらった記憶。
しかし遭難した人とトランシーバーを使って通信することはできるし、どこにいるかも分かってる。でも助けに行くことができない、という状況は厳しいですね。
後半部分がずっとこんな感じだったので、こちらも息が詰まり、マジでこんな状況耐えられないんですけど!と、最後まで観たい気持ちと逃げ出したくなる気持ちとの戦いでした。
自宅でも改めて観直したのですが、映画館で感じたあの息苦しさは感じなかったので、映画館の素晴らしさを改めて感じた作品でもあります。
ほかの山岳映画を映画館で観たこともあるけど、逃げ出したい!と思ったのは『エベレスト』だけ。
ちなみに出演しているのは、サノスことジョシュ・ブローリンだったり、ナヴィ族に転生したサム・ワーシントンだったり、大人になったジョン・コナーことジェイソン・クラークだったりと、四角いお顔におひげが似合う男たち(失礼)。
全員が「マジで撮影大変だったっす!」って言ってるので、そら一般ピーポーの私は観てるだけでギブアップですよ。