鹿児島県政記者クラブにだけ県知事会見主催が許される理由
8月11日、フリーランスの記者で構成される任意団体「清流会(せいりゅうかい)」は、同会主催の「オープンな形での記者会見」への塩田康一鹿児島県知事の出席を依頼することとし、清流会メンバーであるフリーランスライターの畠山理仁氏が県広報課に申し入れをした。
「清流会」は「取材・報道を目的とする記者」を対象に、オープンな記者会見を主催し、「鹿児島モデル」ともいうべき新しい情報発信を行い、公平で開かれた記者会見モデルを全国に示したいと考えている。新型コロナの状況を鑑み、インターネットを活用した形での実現を目指し、現時点(8月26日現在)で15人が名を連ねている。
8月14日、畠山氏に鹿児島県広報課から連絡があった。畠山氏からは「結論から言うと、私たち清流会が8月28日に求めていた塩田康一知事の記者会見には応じられない」が、「フリーランスを取材機会から排除することは一切考えていない。申し入れがあれば個別に取材対応する」旨の連絡を受けたと清流会に共有された。
そこで、私も8月17日、鹿児島県広報課 報道企画係主幹兼報道企画係長の水溜義仁氏に問い合わせた。
――清流会主催の知事会見について、出席依頼には応じないと聞いている。日程確保が大変だということだった。四半期毎開催など、会見回数を減らしたり、青潮会主催会見同日の続きで同室でそのまま続けるなどの方法ではどうか。
水溜氏:ほかの(青潮会以外の)団体の主催する会見への(塩田知事の)出席は考えていないという回答になる。時間も限られている中で、県としては県政情報を記者さんとのやりとりを通して広く県民に発信してもらいたいという目的(で応じている)。パブリシティ効果が最も高いので記者クラブの記者会見に出ているということだ。
――県として青潮会以外の団体が主催する会見に時間を確保できないのであれば、青潮会に対し、現在の知事会見出席に関する規約をオープンなものにするような働きかけは? 会見を2度開く必要もなくなる。
水溜氏: なかなか誰でもいいですよという体制は、県としても知事の会見なので、安全確保や会場の問題もあり、まだ厳しいかなというところがある。
――保安上の問題であれば、別の安全確保の方法もあるだろう。(情報を発信する)チャンネルが増えるのは(パブリシティ効果にとっても)悪いことではないと思う。塩田知事からは真摯にこたえようという姿勢を感じた。
水溜氏: 冗談も交えながら話されますからね(笑)
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再度になるが、県から畠山氏への回答は、清流会主催会見には応じられないが「フリーランスを取材機会から排除するということは一切考えていない」というものだった。
現時点で私を含め、複数人のフリーランスが個別取材対応を求めている。
「県政に新しい風」を望む県民に期待され、激戦を乗り越え当選した塩田知事。就任初日には、会見に出席を禁じられたフリーランス向けのぶら下がり取材にも応じた。
就任1か月を経て、塩田知事からフレッシュなままの「しおかぜ」が県政にそよそよと吹き続けるか。今後の鹿児島県知事記者会見のありかたやフリーランス記者への対応は、開かれた県政となるか否かの分かりやすい指標といえそうだ。注視してほしい。
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