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「ありがとう。ごめんね」~魔法の言葉と、マグカップ

お気に入りのマグカップ
コーヒーを飲んで、洗おうとしたら
うっかり落として欠けてしまった。

あんなにお気に入りだったのに。
大事にしていたはずなのに。
いつもそばにあったから
いつの間にか忘れていた、
大切にすることを。

いつもそこにあったから
私のそばにあったから
いつの間にか忘れてしまった、
感謝の気持ちを持って、大切に使うことを。

「ごめんね。いつもありがとう」

欠けてしまったマグカップは
もう元には戻らない。
でも大好きだから捨てられなくて。
欠けたままのマグカップ、
欠けたままで使っていたら
その欠けたところさえも愛おしくなってきて、
ずっと大事に使いつづけてた。


お気に入りのマグカップは
彼にもらったマグカップ。
うっかり落として欠けてしまってからも
ずっと使っていたけれど……。

いつの間にか聞けなくなった、
笑顔といっしょの「ありがとう」を。
わたしのことを忘れてしまって
ずっと待たせたあの日でさえ
言ってもらえなかった。
「ごめんね、待っててくれてありがとう」

だからもう、
捨ててしまおう。
欠けてしまった、
お気に入りだったマグカップ。

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