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「水通し」要るか?

こんにちは、まゆら先輩(妊娠6ヶ月)です。
今日も混乱したマタニティ界を斬っていこうと思います(即お縄)。

皆さんは買ってきた服は着る前に洗う派ですか? 私は別に洗わない派です。
「不特定多数が店頭でベタベタ触ったと思うと汚い」「コロナ流行ってから洗える服しか着てない」という意見は聞いたことがあり、まあ衛生感覚の違いだなととらえていました。
しかしメルカリなどでもやけに「着るつもりで洗ったけど着ませんでした!」みたいな出品多いなーと思っていたところ、化学物質に過敏で肌が荒れるから、という人もいるんですね。
原因物質は主にホルムアルデヒド、名前自体はメディアやなんかで見かけた覚えはあります。

水通しって何?

そこで思い出したのが「水通し」と呼ばれる作業です。
上述のホルムアルデヒドを除去し糊を落として吸水性を高めるために、新生児が使用する衣類を水洗いしましょう!というもので、妊産婦向け情報サイトでもよく「世界一幸せな洗濯!」「赤ちゃんの敏感なお肌を守りましょう」などと推奨されています。

やり方はざっと以下の通り。
・対象は衣類や寝具など新生児が触れるものすべて
・大人のものと混ぜず、新生児用のもののみで行う
・洗剤は使用しない
・洗濯機を使用する場合は槽洗浄を行ってカビや汚れを落とす
・乾燥機よりも天日干しを推奨
・水通し後は大人の衣類と分けて保管
・2~3歳ごろまで実施を推奨

え、めんどくさ…

つい本音が…
買ってきたもの全部、通常の洗濯とは別にして手間のかかる方法で行い、終わった後も気を遣って保管する、しかもそれを2,3年間にわたって続ける…?

ちょっと待ってほしい。
メディアに取り上げられる程度には社会問題化したことがある物質で、現に健康被害が心配されるレベルなら業界で何か基準を設けているはずです。
調べたところ、確かにベビー用品においては法律でホルムアルデヒド検出基準が厳しく管理されており、大人向けのそれよりも低い数値が設定されています。

また、特殊な洗剤を使用せず水洗いすれば落ちるというのも考えものです。
裏を返せばそれだけあちこち移りやすい物質だということ、特に衣類に吸着しやすい性質もあるようで、市販のベビー服が袋に密閉して売られているのはそのためです。
現に「あまり早くやりすぎると再付着してしまうのでタイミングを考えましょう」と言っている情報サイトもありました。ますます無理ゲー感出てきた。

水通しに対する温度感も情報源によって異なります。
・妊婦向け情報サイト:水通しをしましょう!(出典付きは少ない)
・繊維業界、小売店:必須ではない、気になる人はやってください
・政府、自治体:中立的な情報(工業レベルでの毒性、数値基準等)

そもそも、法律で規制されるようになった現在の環境におけるホルムアルデヒドの被害は、人によっては新築の家や車のにおいで頭が痛くなる、新しい衣類で肌がかゆくなるといった程度のようで、ざっと調べても特に医師が注意喚起している様子を見かけません。

無理があろうかと思われます

これらを見た限りだと、やはり衛生感覚の違い、体質の違いというほどの差しかない気がしてきました。

それに、すでに環境中に存在してしまっている物質で、しかも移染しやすいものから素人の手で子供を守ろうというのはかなり無理があります。
たとえ新生児用品だけ綺麗にしようとも、家の中には子供向け基準を満たさない大人向けの工業製品が大量にあるわけで、まさか非汚染環境に隔離して育てるわけでもないのですから遅かれ早かれ曝露するに決まっています。
まさに気にし始めたらキリがない、の典型です。

結論、私は水通しはやらないことにしました。
特に臨月のデカいお腹を抱えてやるのはダルすぎる。
もし生まれた子供が敏感肌でどうも調子が良くない、という場合には試してみようと思っていますが。

またこのパターンか

それにしても、この話題も妊娠線クリームと同じでいたずらに親の不安を掻き立てるような情報ばかりが多いと感じます。

こうした健康に関するトピックは、科学的に誠実に発言しようとすればするほど「被害がないとは言い切れない」などと留保するような態度になってしまい、専門家からは一般市民が一番欲している「絶対安心です!」という言葉はなかなか聞けないものです。
誰かがどこかで責任をもって見解を示すべきなら政治の仕事なのでしょうが、その手も必ずしも行き届いているとはいえません。
十分な知識や信頼できる指針がないなかでも親は自分が全責任を負って最大限子供を守らなければならないとなれば、どんな犠牲を払ってもとりあえず安全側に倒せという判断になるのは当然かと思います。
極端な例では、原発事故後にあった放射性物質の危険性をめぐる混乱は記憶に新しいでしょう。

微妙な判断が素人でしかない親に一任されており、無駄かもしれない努力をさせる・あるいはその結果どうなっても親のせい、という場面は散見されますが、正常なあるべき状態ではありません。
少なくとも正確な情報や誠実な助言にアクセスしやすくし、各自がよく納得したうえで家庭の事情に合わせてどうするかを決め、何か起こっても救済手段があるという状態にととのえることも、必要な育児支援だと思います。

参考(一部)
5 ホルムアルデヒドとはどんな物質ですか 東京都福祉保健局 (tokyo.lg.jp)
ホルムアルデヒドを家庭用品に使用するわけ 東京都福祉保健局 (tokyo.lg.jp)
2才用と3才用の服のホルムアルデヒドの規制 東京都福祉保健局 (tokyo.lg.jp)
乳幼児の衣類に含まれるホルムアルデヒドについて|大阪健康安全基盤研究所 (iph.osaka.jp)
赤ちゃん服によく見る表示「ホルムアルデヒド」とは | MIMI STAGE (24028.jp)

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