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一瞬の不安[ダウン症の花緒がお腹に来てくれてから産まれるまでの話〜第4話]
このnoteは、
マガジン「ダウン症の花緒がお腹に来てくれてから産まれるまでの話」
での連作第4話です。
第1話「妊娠に気づく」
第2話「お腹の赤ちゃんに異常が見つかる」
第3話「十二指腸閉鎖について検索する」
帰り道、車を運転しながら急に不安が襲ってきた。先のことが全くわからない不安。どうなるんだろう。
本当に十二指腸閉鎖かどうかも明後日タマソー(多摩総合医療センター)に行ってみなければわからない。十二指腸閉鎖だった場合、これからどんな流れになって行くのかもわからない。心臓に合併症があるかも、そのほかに合併症があるのかないのか、とにかくなんにもわからないのだ。どんな苦しみよりもわからないことの方がわたしにとってはずっと辛い。わからないということが不安で涙が出てきた。
そのとき、お腹の花緒がわたしに声をかけた。「お母さん、わたしはここにいるよ!」と。いや、もちろんそれはわたしの想像なんだけど。でも突然話しかけられた感覚だった。
そうだった!いるんじゃん、ここに。そしてずっと元気。異常があると知った前と後とで変わった事実は何もない。変わったのはわたしの意識だけ。赤ちゃんが急に具合悪くなったわけでもない。そうだったそうだった。ここにいるあなたのことを放置して、わたしは何も実態のないことに意識を取られていた。ごめんごめん!そうだよね、いるよね、お腹に来てくれてからずっと一緒に過ごして来たじゃんね。しかも元気に。ああ、ほんとにごめん!
わたしのお腹に来てくれてからずっと、花緒からは陽の気しか感じなかった。いつも明るくて朗らかな子、という印象だった。わたしは4人出産しているが、どの子もお腹の中にいるときから性格の違いを感じたし、性別も病院からは敢えて教えないでもらっていたが感覚でわかった。これは「当たる」という感じではなく、完全に「わかる」感覚。疑いようがない感じ。
まだ目の前に何も見えていないことに勝手に不安になって、こんなに近くにいる花緒のことを置き去りにしていた。そんな間にも花緒はきっといつも通り朗らかに過ごしていたに違いない。さっきまで不安の涙が流れていたが、今度は一変して安堵と温かさの涙が溢れてきた。
そうだそうだ。今ここにいてくれる花緒を大切にしよう。今まで通り楽しくお話ししようね。もう腹は決まった。どんなことがあっても多分わたしは大丈夫だ。
さて、先がわからないことを一瞬不安に思ったわたしだったが、ダウン症であるかもしれないということについては全く不安に感じたり落ち込んだりしなかった。ダウン症であってもなくてもどちらでも良かった。むしろ わたしの知らない世界を見せてくれるのではないかと、ちょっと楽しみなくらいだった。
夫はどうだろう、きっとわたしと同じように思ってくれるのではないかと思ったが、果たしてその通りだった。ダウン症の子が産まれる確率は、ネットで検索したところによると一般的には600〜800人に1人だそう。わたしはこのとき43歳だったが、母親が40代だとだいたい100人に1人くらいらしい。それを伝えると夫は「じゃあ俺たちは花ちゃんに選ばれたんだな」と言った。なんと素晴らしい!この人とパートナーになって本当に良かったと思った。
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