[第2話]お腹の赤ちゃんに異常が見つかる
* * * * * * * *
このnoteは
マガジン「花緒がお腹に来てくれてから産まれるまでの話」
での連作第2話です。
第1話はこちら
* * * * * * * *
助産院の健診の1回目、2回目と見てもらったが、子宮内のスペースが広くて赤ちゃんがぷかぷかしているとのこと。わたしは筋肉が乏しいせいか もともと妊娠中にお腹がだいぶ大きくなるタイプである上、2人目、3人目と産む毎に体重の増加も腹囲も大きくなっていて、今回も妊娠中期にして既に大きい気はしていた。そしてとても苦しい。でも助産師さんも異常とまでは言っていなくて「ぷっかぷか ぷっかぷかしちゃってんのよ〜」と笑っているくらいだった。特に対処法もない様子。ただ、スペースが広くて赤ちゃんがクルクル回ってしまうので頭が下に固定されず逆子の状態だと。お腹が重いから腹帯を巻くと良いかも、と言われたかどうかは もう忘れてしまった。苦しいのは我慢するしかないようだった。でも赤ちゃんは相変わらず元気だった。
妊娠30週で再び病院の健診に行ったとき、エコーで赤ちゃんの体に異常が見つかった。赤ちゃんのお腹に「ダブルバブル」というサインが見られ、十二指腸閉鎖の疑いがあるとのこと。パソコンの画面を見せてもらうと確かに赤ちゃんのお腹にふたつの丸があった。どうも先生の様子が深刻そう。「紹介状を書くのでタマソーに行って」と言う。今電話で予約するから。明後日大丈夫?・・・できるだけ早く行った方が良い様子。それにしてもダブルバブルって!なにその韻を踏んだリズミカルな名前は!?それには内心ちょっとくすっと笑った。
「タマソー」と先生は言ったが、わたしには一瞬でそれが東京府中市にある「多摩総合医療センター」のことを指すのだろうと察しがついた。わたしは特に詳しくなかったのだが、「東京の西側界隈で重篤な症状の新生児が運ばれて来る病院」というイメージがあった(実際にはタマソーは大人の病院で、NICUがあるのはタマソーの隣に建っている都立小児総合医療センター)。
イメージは雑過ぎではあったものの間違ってはいなくて、ハイリスクなので助産院での出産は無理、健診してくれている病院でもダメで、ハイリスク産婦を受け入れている母子周産期医療センターを紹介されたのだった。もし本当に十二指腸閉鎖だと産まれてすぐに小児外科で手術が必要だそうで、ここから先は全て多摩総合医療センターで診てもらうことになりそう、という話だった。
十二指腸・・・よく聞くけど、どこにあるのか考えたこともなかった。胃の次の器官なんだそうだ。つまり、口から入ったものが肛門から出てくるその道の途中で、胃のあとに通る場所ということか。十二指腸閉鎖と言うのは十二指腸のどこかが閉鎖していてその先に流れなくなっている状態とのこと。でもとりあえず心拍はちゃんとしていて体も成長しているし元気ではいるようだった。