時間と場所にとらわれない働き方 in 西会津町<day3>
福島県の「お試しテレワーク」のため、西会津町で2泊3日のテレワーク体験中です。
いよいよテレワーク最終日。今日は、宿泊したゲストハウスの紹介と、福島でのテレワークについて感じたことをレポートしたいと思います。
何度でも泊まりたくなるゲストハウス
今回、西会津で宿泊しているのが、ゲストハウス「ひととき」。空き家だった元桐下駄屋さんをセルフリノベーションしたそうです。
玄関からすでにかわいくてテンションが上がります。
こちらの宿のオーナーは、地域おこし協力隊で西会津に移住した奥様の祐子さんと、旦那様の雄介さん。
2人とも福島県の中通り生まれ。東京で働いていましたが、震災後にそれぞれ福島にUターンし、南相馬市の一般社団法人あすびと福島に入社。そこでの出会いがきっかけとなり結婚し、2017年に西会津町へ移住しました。
先日、西会津国際芸術村で開催された「SNOW SAUNA in Nishiaizu」は、祐子さんの発案。
私も、宿泊中にアイデアの相談にのってもらったのですが、新しいこと・面白いことを発見し、企画するのが抜群にうまいと思う!
※2人が来ているのは西会津発祥「ジョセササイズ」のロゴが入ったジャケットです
福島にゲストハウスをつくりたいと思ったきっかけは、「もっと気軽に福島へ来てほしかったから」という2人。
オープン半年で宿泊者は130名を超え、県外の友人を中心に、さまざまな人が訪れているそう。また、地域の方がちょっとした集まりの場に使うなど、地元にもすっかり馴染んでいます。
こちらのゲストハウスの魅力は、素敵な空間であることはもちろんなのですが、なんといってもオーナー夫婦のあたたかいおもてなし。
実は、2人が南相馬市にいる頃に、お仕事でご一緒させていただいたことがありますが、とても素敵なご夫婦です^^
ゲストハウスには、無線LANなども完備していて、フリードリンクもあり、お仕事するにもとても良い環境。
夜はオーナー夫婦とお酒を飲みながらのおしゃべりが最高!家族のようにゆったりとした気持ちで気兼ねなく過ごせ、あまりの居心地の良さにかなりリラックスできますよ。
次に西会津に行った時も、また泊まりたい!2人に会いに行きたい!そう思える素敵なゲストハウスです。
福島県耶麻郡西会津町上野尻字下沖ノ原2650−1
そんな、今でも最高のゲストハウスですが、今年5月にはさらにパワーアップするそうです。
現在「ひととき」では、おもてに面した土間を工事中。ここに食を通して旅人や地域の方が交流できる「町のキッチン」がオープンするそうです。これまで、福島県の東の端から西の端まで住んできた2人だからこその、福島への想いがつまったステキなプロジェクト!こちらのサイトもぜひご覧ください。
旅するように、暮らすようにテレワークする西会津
今回、私が訪れたのは福島県内で高齢化率トップ5に入る西会津町。それでも、ここに魅力を感じ何度も足を運ぶ人が多くいます。さらに、ゲストハウス「ひととき」のオーナー夫婦のように移住する方も。
たった3日間だけど、私もすっかり西会津が好きになって、何度でも通いたいと思える場所になりました。
今回テレワークをする場所としての西会津の1番の魅力は、旅するように、暮らすようにゆったりと滞在しながら、そこで気軽に仕事もできるという環境がとてもよかった!ということ。
かなり仕事を持っていったので、若干それに追われたりもしましたが、西会津の景観や人々との交流に癒され、とても気持ちよく働けました。
そのほかにも
・西会津国際芸術村を通して、地域の奥深さを知り、さまざまな出会いを楽しめる
・高速を降りてすぐという思いのほか良いアクセス
・西会津国際芸術村以外にも無料のWi-Fi&電源スポットがいくつもある
・食事が美味しい
あげたらキリがありません。
がっつり仕事を持っていってもはかどると思いますが、西会津という場所を楽しみながら、そこで仕事もするという、ゆるやかな感じが私的にはオススメ。
ここは何もないようで、なんでもある。地元の方とのおしゃべりを楽しんだり、のんびり散策をする・・ありふれているけどここでしかできない、そんなとても豊かな時間を過ごせる場所です。
福島におけるこれからのテレワーク
福島県内においてこれからのテレワークを広げていくときに大切だと感じたことを2つあげてみます。(決して目新しいものではないですが・・)
【1】様々なものと掛け合わせる
都心とは違い福島でテレワークをする場合、「テレワークをするために福島に来る」というより、「福島に来たいから来て、そこで仕事もする」という感じです。
そうなると、単に「仕事をするスペース」があること・それを整えることがテレワークを広めるために重要ではなく、その地域へ来たいと思う人を増やすことが必要になります。そこで、旅やその地域ならではの体験・観光などと掛け合わせ、ここに来たいと思えるようなPRやファンづくりをし、それと同時にテレワークをする人たちが気軽につかえる魅力ある場所を整えていけばよいのかな、と思います。
西会津では、「西会津国際芸術村」という場があり、それを通して西会津を知り、地域に訪れる人が増えました。そこには気軽に立ち寄り、お仕事をするスペースもあります。
西会津国際芸術村は、「西会津に行ってみたい!」と思うきっかけとなる場所。こうした場所があることはとても大きいです。その他にも、西会津だからこそある建物や自然などの素晴らしい景観もあります。
でも、そうした魅力に感じるものは”西会津だからあるもの”でしょうか?
今回もっとも大切だと感じたのは、「〇〇で人気があるから」「〇〇ではうまくいっているから」などのように、他の地域での成功事例をそのまま取り入れるのではなく、その土地ならではのモノや想いを活かし高めるという「エッセンス」をそれぞれの地域で取り入れることです。
そう思うと、地域のお宝はそれぞれの地域に眠っていて、そこに気づき良さをどう高めていくかということを考えていけば、その地域にとっての「西会津国際芸術村」のような存在ができていくと思います。
それが、この場所だから来たい!と思えることにつながり、それがいずれ「テレワークする場所としてこの地域がいい、ここに来たい」につながっていくと感じました。
また、そうしたテレワークを楽しめる地域があるということも、その地域単体ではなく、福島県として伝えることができれば、県内に気軽に訪れたり、巡ることにもつながるかなと思います。
【2】テレワークという働き方の認知
福島でのテレワークを広めるにあたり課題と思うのは、そもそも、福島県の人にとって「テレワーク」という働き方への認知がまだ低いということがあります。
こうした働き方というのは、フリーランスだったり、ITやクリエーターなどでしかできないのでは?という視点から、今までは無理だと思っていた職種でも柔軟に取り入れることができるんだ、という意識へ持って行けるといいなと思います。
会社にとっては、「セキュリティ」「コミュニケーション」「労務管理」「テレワークにかけるコスト」などに不安の声があるのはもっともだと思います。また、それが難しい職種もあります。
しかし、全国に先駆けてテレワークを導入した中のひとつに佐賀県庁があります。
佐賀県庁で、2008年に在宅勤務を導入したきっかけは、育児や介護による離職を防ぐことや、災害時などでも行政として業務を継続することの必要性などを考えたからです。
意識改革にはじまり、何年もかけてテレワークが浸透してきた2016年。佐賀県では大寒波の雪の影響で交通網がストップしました。その時、佐賀県庁に登庁できた人は少なかったのですが、多くの職員は自宅などそれぞれの業務をまっとうすることができたということです。
佐賀県庁がこのように取り入れることができたことを考えると、前例がないことや無理だと思える中からでも、視点を変えてみることはできるのではないでしょうか。
「時間や場所にとらわれない働き方」というのは、フリーランスの特権でも単に自由であることでもありません。私たちの「生き方」「あり方」を考えた際に、今あるお仕事との折り合いをつけながら、うまくとりいれることができればよいな、と思います。
最後に
私が今回のテレワークに参加したのには理由があります。
私が福島に移り住んでちょうど丸4年になりました。福島は、様々な課題を抱えながらも、とても魅力ある場所というのが私の一番の感想です。
これまで福島に住んできた中で私が感じているのは、震災による津波や地震、原発事故の影響も含め、福島の課題も魅力も伝えていくためには、そこに滞在し人と関わりを持つことを通して、そこを知ることが大切だということです。
メディアからでもなく、ここに関心を持って来てくれた多種多様なバックグラウンドを持つ方々が、何をどう見て、何を感じたのかということ、そこに価値があると感じているからです。
だから、もし福島県がテレワークに力を入れていくことが、「ライターインレジデンス」のように、地域に滞在した方々を通して福島を伝えることになっていけばとても素敵だな、と思います。
様々な方が福島でテレワークをすることで福島のことを伝え、それを見た人たちが福島を身近に感じたり、好きになったり、足を運んだりするきっかけになり、それがさらに広がっていったら嬉しいです。
今回お世話になった皆さま、ありがとうございました!