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22. あたたかみ
年々、色々なものの実感、手触り、匂いが薄れてきていると感じていた。
ひとのあたたかみ。
実体の有無がわからなくなってしまう。
季節のニオイ、風にもニオイがあった。
誰かが作るごはんは高級なものでなくとも美味しく、言葉では言い表せない生きる活力・元気をくれた。(古くからの定食屋さんとか町中華で今でもそれを感じるお店もあるが…)
特別な言葉を交わさなくとも、近所のおじさんおばさんのことを知っていたし、何かあればお互い動いてくれるのだろうという無言の信頼関係があった。
なぜなんだろう?
他人と遠い。(近すぎても面倒だけどねw)
他人が無機質で、何なら「物」として扱われてしまう場面すらある。
恐ろしい…
外部のエンタメ、仕事、携帯が時間を奪う。感覚を奪う。
人間には空白、「無」が必要なのだと思う。
冬の土間、なにも考えず無心でする単純作業や暇でぼーっとする時間、ただ一緒に過ごしてお茶を飲む時間が大切だった。
約40年観察して来たけれど、人間は低血圧、低体温になるにつれて、人間味が薄れている気がする。
逆かな?
人間味低下→体温低下、かな?
ここ数年はマスクで表情も人相も見えず、何なら画面越しのコミュニケーションが多くもなり、いったいどんな生き物に変化してゆくつもりだろう?
古いものの感覚を知っている世代だからこそ、あたたかみを大切にしたい。
アナログとデジタルの間。
リアルとバーチャルの間。
お節介と希薄の間。
すべてはバランス。
「人間らしさ」の概念もupdateされてゆく。