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「べつに友達じゃないけど」やまもとりえさんと漫画を作りました
ヤァヤァヤァ! 今日はやまもとりえさん最新刊「べつに友達じゃないけど」の発売日です。清は企画・編集で携わりました。
始まりは、好書好日でのインタビューでした。
もともと、やまもとりえさんのファンでしたが、「他者の背景を想像してみよう」というモットーのもとに漫画を描いているというお話を聞き、いつか、りえさんと一緒に漫画を作りたい!と夢みるようになりました。
最初に描いた『Aさんの場合。』からずっと、私は作品で「他者の背景を想像してみよう」っていう提案をし続けているんです。昔、デザイン事務所で働いていた時の社長が、「声が大きくて偉そうにしゃべる嫌いな男がいたんだけど、ある日、そいつが街角でプラカードを持って大声でしゃべっていて。そのプラカードに『吃音を直したいので僕の話を聞いてください』って書いてあったんだ。その人の大きな声が嫌いだったけど、それはその方が話しやすいからだったんだ」って話をしてくれたんです。そのとき私は23歳くらいだったのですが、自分も他人の一場面だけを見て好き・嫌いって思ってたなって。そこから、その人の背景を想像することを始めてみたら、嫌いな人がいなくなって、生きやすくなったんです。
取材の中で同じく82年生まれであることも知り、当時、「ブラッシュアップライフ」や「SUNNY」など懐古系のお話がヒットしていたこともあり、自分のことをつまらない大人になったと感じている人が、昔を振り返り、自分を肯定するような物語を作れないか?と考え始めました。
しかもそれが、誰かひとりの人生だけでなく、「他者の背景を想像する」りえさんの漫画でしかできない、「誰しも」の人生を肯定できるものにしたい……。
企画書を作り、インスタグラムのDMでりえさんに「りえさんと漫画を作りたくて、企画書を書いてみたんですけれど、見てもらえませんか?」とおそるおそる送ってみたのです。
フォロワーが26万人もいるりえさん。DMなんていちいち見てない可能性もあったし、読んでいたとしても、一度インタビューしただけの出版社にも属していない自分の話なんか聞いてくれるだろうか、と賭けでしたが、ものすごーく、あっさりと「面白そう!やりましょう!」と言ってくれたのです。(※良い子はまねしないでね。清、仕事でまんが編集もやってるので話を聞いてくれたんだと思います)
そこから二人で出版社を探すところから始め、縁あって、KADOKAWAさんで出版させてもらえることに!
りえさんとは、中学生や高校生のときに同じグループではないけれど気になっていた人たちの話や、自分自身の「親友がいない」コンプレックスの話をたくさんしました。当時流行っていたもの、好きだった曲、衝撃を受けた事件などについても。
そして、すばらしいネームを作ってくださったのです。
「べつに友達じゃないけど」はこちらで期間限定で試し読みできます↓
【あらすじ】
あの頃の未来に僕らは立っているのかなあ――。
そんな風に自分のことをつまらない大人だと感じている4人の男女のもとに、「お葬式の招待状」が届く。差出人は、クラスでも存在感のなかった女の子。「べつに友達じゃないけど、なんで私に??」
友情も恋も夢もなく、キラキラとした青春時代が自分にはなかったと思うすべての人へ贈りたい、友情物語B面。
ぜひ読んでいただきたいです。
構成する中で、ひとつ提案をしました。
それはエピソードタイトルを当時流行っていた歌謡曲のタイトルにすること。
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りえさんと三時間かけて歌いながら決めました。
漫画が先で曲名タイトルが後付けだったのに、気が付いたら、その曲の歌詞が伏線みたいになっていたり、重要なモチーフが歌詞に出ていることに後から気づいたり……。
試し読みしてくださった方からは、「自動的に脳内BGMが流れてきて、あたらしい読書体験でした」「エモさ倍増!」「一気にあの頃の空気が蘇った」などなど好評いただいています。
なぜこの曲名なのかな?という考察もぜひ楽しんでください。
※考察とは別に、これらの曲についてのライナーノーツを別途書こうかな