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あなたの旅は、きっと誰かのギフトになる
旅をすることで、ギフトを受け取っているのは旅人の方でしょうか?訪れる土地の人でしょうか?
訪れる先でその土地ならではの料理を楽しんだり、そこでしか見られない景色をみたり......。わたしは、旅人の方がもらってばかりだと感じていました。
でも、よく考えてみると実はそれだけではなさそうです。訪れる人も、旅を通じてギフトを渡すことができるのです。
旅人からのギフトとは?
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そもそも、ギフトって何でしょうか?調べてみると、ギフトはプレゼントよりも広い意味での贈りものを意味しています。さらに、「価値のある贈り物」といった意味もあります。
そして旅人とは?観光・ビジネス・留学など目的や距離や滞在日数を問わず、その土地の外からやってくる人は、みんな旅人だとわたしは考えています。
旅人として届けられる価値は、ホテルや買い物で現地に経済効果をもたらしたり、訪問先のリアルな情報をSNSで発信することにより新たなファンを獲得したりなど。
こういったことももちろん大切ですが、実際に現地を訪れることそのものが一番の価値になると思います。
留学生からの贈りもの
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その価値を実感したのは、東日本大震災が起こった年でした。
当時わたしは地元名古屋で、大学職員として留学生受け入れの仕事をしていました。
この年は、震災後の福島第一原子力発電所の事故の風評被害で訪日外国人が激減した年でした。
政府観光局の発表によると、2011年3月の外国人旅行客の数は約35万人で、前年同月と比べて50.3%も減少したとのことです。
被災地から400km以上離れている東海地区でも、留学予定だった各国の学生たちから軒並みキャンセルの連絡が入りました。仕方ないことかもしれませんが残念な思いを抱えていたことをはっきりと覚えています。
ただそのような状況の中で、台湾からの留学生だけは予定通り来日してくれました。
彼らを大学に迎え入れた初日、留学生の代表がひとしきり英語で挨拶をした後に、日本語でこう言ってくれたのです。
「がんばろう、ニッポン!」
この一言を聞いて涙があふれそうになりました。
根も葉もない原発事故の噂で世界が日本を避けている中で、もしかしたら来日には両親や友人の反対があったかもしれない。
それでもなお、日本に来たいと思って行動してくれる人がいるということを、目の当たりにしました。
わたしはその言葉に気持ちが引き締まり、書類を持っていた手に力が入りました。さらに、その場に居合わせたスタッフ全員の表情が明るくなったようでした。
留学生たちの応援は、わたしたちに希望をもたらす素敵な贈りものでした。
その土地の外から来る人が、現地にいる人と交流することそのものが、応援につながるのだと強く感じました。
ギフトは循環する
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旅人が運んでくるエネルギーが訪れる場所を満たして活気づけてくれる。
さらに、現地の人と言葉を交わす時、そのエネルギーは言霊になって届けられているのだと思います。
つまりコミュニケーションを通じて、住んでいる人の心が満たされていくのです。
さらに、留学生の彼らは日本の生活を満喫していました。
日本人学生のサークルに入って飲み会を経験したこと。富士山の登山へ挑戦したこと。いろいろな経験をして楽しんでいる様子をリアルタイムでSNSで発信してくれていたのです。
投稿には「私も行きたい」という台湾の友人からの声が寄せられていた。彼らは、自分たちのコミュニティの中で日本と台湾の橋渡し役をしてくれていました。
そんな台湾の人にものすごく親しみを覚えて、わたしも恩返しがしたいという気持ちが湧いてきました。そこで、わたしも台湾に何度も足を運んでいます。現地を訪れて楽しむことが何よりのお礼になると思ったからです。
おわりに
旅先で特別たくさんお土産を買わなくてもいいんです。訪れた先で自分の気持ちを素直に表すこと。それだけで現地の人に希望を与えることができる。これが、旅人のギフトだと思います。
あなたは、どこにギフトを贈りに行きますか?