入院生活(4)
退院できる日が決まり、夫に電話を掛けました。
「やっとやっと、退院できる日が決まりましたよ。」
と私が言うと、
「決まったのか、良かったね。」
という夫の声も弾んでいます。
お互いにホッとしているのが伝わります。
「人間て一人では生きていけないんだな。
『助けあっていかなくては』って思い知らされたよ。」
と夫が言いました。
「帰ってきたら何が食べたい?
天ぷらでもうどんでも作ってあげるよ。」
と夫が続けました。
でもなぜかこの時、
食べたい物が思い浮かばなかったのです。
あんなに『帰ったらあれも食べたいこれも食べたい』
と思っていたのに。
喜ぶ夫には何も言えませんでしたが、
私の中でかすかな不安が湧いてきました。
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