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コーヒートラベリング

もう1万杯以上飲んでいると思う。コーヒー。
時にカフェラテ、キウイラテ、フラットホワイトコーヒーにカフェモカ、アメリカーノに抹茶ラテ、ソイラテにソイモカ。浅煎りに、中深煎りに時々深煎り。みんな違ってみんないい。

コーヒーは中南米やアジア、アフリカ、インドなんかでも取れたりする。
実に70カ国で採れるそうだけれど、ほとんどの国に行ったことがないし
行かずに死ぬんだろうかなんて考えることもある。

子供の頃、コーヒーを飲んだらまずかった。まずい気がした。
飲んだら胃がおかしくなった気がしたし、とにかくまずくてこんなの飲めたもんじゃないと心底思った。それは二十歳の頃である。
留学時代にスターバックスにいったけど、おいしかったかどうかは忘れた。
だけど、しばらくはカフェラテとか牛乳が入っているものを飲んでいたんじゃないか。ある時から浅煎りが流行り出し、いつしかブラックでも飲めるようになり、美味しいと思うようになり気づけば飲んでいる。
お酒はもうやめたけれどコーヒーは飲んでいる。

コーヒートラベリングをしたいけれど、エルサルバドルなんて治安などに関して怖い国のイメージがある。プリズンがあったり、とても怖い。
世界はとても広く、オリンピックの開会式でみていた時も知らない国だらけだった。私は日本人だといいたいけれど、インドに行った時に日本を知らない人もいっぱいいた。あれれ?日本を知らないの?と思ったけれど、やっぱりたくさんある国の一つだし、自分の国からどころか村から出ないままで一生を終える人もたくさんいるのだと思う。

そんななか、コーヒーを飲めば旅ができる。豆の旅、味わいの旅。今はどこの農園で取れた豆かまでわかるので、今日はエルサルバドル、明日はケニアとまるで旅気分でコーヒーを飲むことができるのだ。
とても嬉しい。ブレンドも悪くはないけれど、国がわかる方が思いを馳せやすい。アフリカの言葉など1ミリもわからないけれど、美味しいって伝えられたらいいのになぁ。

今までのんだ1万杯以上のコーヒーには、たくさんの国が詰まってる。
元気がない時に飲んだあのコーヒーもエチオピアからのエールを感じるし、泣きながら落ち込んでいた時に飲んだコピルアックだってインドネシアからのあたたかさが込められていたに違いない。
70カ国に旅をすることは難しくても、いつだって側にあたたかさがある。
人は時々寂しくて、孤独を感じる。思い通りに行かなくて地球上でたった一人しかいないように思える時だってある。だけど、1万、いや10万杯は飲んだコーヒーは人を孤独にはさせない。たくさんの人の手を経て作られているコーヒー。コーヒーフレンドでコーヒー仲間がいる。

孤独な夜も、楽しい昼も、いつもコーヒーはともにある。

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カロリーヌ・オハナ
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